新宿・市ヶ谷エリアの住宅街、市ヶ谷薬王寺町。防衛省の近くだったり、外苑東通りに隣接していたりと、アクセスは悪くないものの住宅街ということで、特定の用事がなければ足を踏み入れないエリアです。
昼はランチ、夜は居酒屋として、住宅街にあるこの店を目指し、地元客や常連さんが多く訪れるようで、筆者も片道40分かけて『家庭料理はなむら』までランチを食べに行くことがあります。

この『家庭料理はなむら』、どうしてもそんなにも人々を魅了するのかと言うと、どのメニューも絶品で、十分すぎるほどの量であるのに対し、リーズナブルだからです。
『家庭料理はなむら』には様々な人気定食がありますが、その筆頭が唐揚げ。醤油味の「鶏の唐揚げ定食」(700円・税込)、「塩味唐揚げ定食」(700円・税込)、「唐揚げ丼」(700円・税込)と、唐揚げにまつわるメニューが3つもあり、この店を代表する名物メニューにもなっています。今回はこの『家庭料理はなむら』で、「塩味唐揚げ定食」をいただくことにしました。
700円で、絶品の塩からあげとこれだけの盛りが!

『家庭料理はなむら』で「塩味唐揚げ定食」をオーダーすると、わずか数分でサーブされました。ゴロッとした唐揚げ複数と盛りの良いご飯、副菜、漬物、味噌汁で構成されています。大きめの唐揚げなので、火入れにも相応の時間が必要なはずですが、注文からサーブまではわずか数分。作り置きではないはずなのに、この点もまた謎です。

さっそく唐揚げをいただきましたが、カリッとした衣に中の肉は艶々のプリップリ。あっさりとした味付けで、肉の旨みを十分感じることができます。
結構なボリューム感なので、普段筆者は「ご飯少なめ」をお願いしますが、これなら大食漢の方でも満足できるはずです。
流行りの大分唐揚げの真逆を行くあっさりした東京発祥唐揚げへのこだわり

この『家庭料理はなむら』、この市ヶ谷薬王寺の住宅街に店を構えて今年で41年になる老舗だそうです。2代目となる佐藤彬さんはこの『家庭料理はなむら』を切り盛りするほか、幡ヶ谷にある『から揚げ専門店 黄鶏屋(かしわや)』も並行して経営。やはり唐揚げには相当なこだわりを持っているとのこと。佐藤さんに話を聞いてみました。
「最近の唐揚げの流行りは、大分唐揚げをベースにした『にんにく強め』『醤油』といったものですが、『家庭料理はなむら』『から揚げ専門店 黄鶏屋(かしわや)』はその真逆の東京発祥唐揚げで、あっさりとした味付けにしています。もともとこの唐揚げの味付けを決めたのは母なのですが、先代の父親が一時味を変えていました。しかし、私が店を任せてもらうタイミングで、母の味に戻したのが今の味ですね。
普通の醤油味もありますが、『塩唐揚げ』を作ったのは、10年少し前のことです。夏場は唐揚げが売れなくなる時期でもある一方、塩味のさっぱりしたメニューが結構ウケるんです。
この手間隙のおかげで、あっさり美味しい唐揚げを提供できている点に納得。しかし、これだけの手間隙をかけているにもかかわらず、前述のような謎(低価格など)もあります。この点についても聞いてみました。

「安くご提供させていただいているのは、家族経営なので人件費を抑えらるからです。さらに仕入れを行う取り引き先の業者さんは昔からずっと同じところで、いろいろと便宜をはかってもらえる点も安くご提供できる理由です。
『鶏臭さ』が苦手な方、『にんにくキツめ』が苦手な方には是非一度食べていただきたいです。原則『家庭料理はなむら』も『から揚げ専門店 黄鶏屋(かしわや)』も同じ味の唐揚げをベースにしています。お近くにおいでの際は是非食べてみてください」(『家庭料理はなむら』佐藤彬さん)
味、量、価格全てがハイレベルの『家庭料理はなむら』。唐揚げにかける思いは都内でも屈指のように思います。遠方からでも行く価値が十分あるお店です。
(撮影・文◎松田義人)
●SHOP INFO

店名:家庭料理はなむら
住:東京都新宿区市谷薬王寺町77
TEL:03-3267-5324
営:11:00~13:30、17:00~20:00(L.O.19:30)
休:日曜