大型商業施設内のレストランや個人店など無数の飲食店がひしめき合い、入れ替わりも激しい池袋の駅近エリア。そんな池袋で50年以上続く町の洋食屋『キッチンABC』があるのをご存知でしょうか?
ハンバーグやオムライス、ポーク焼き肉など昔ながらの洋食や、オリジナル料理が安くお腹いっぱい食べられると評判で、老若男女に大人気なのです。

今回伺った池袋西口店は東京芸術劇場前の通りを渡ってすぐ、「グルメ通り」の入口至近にあります。
お店のルーツは、かつて東口にあった大型手芸品店「キンカ堂」の食堂部。時代の流れで食堂部の規模が縮小され、当時の取締役がシェフらとともに昭和44年に洋食店を立ち上げたのが始まりなのだそう。
今回は魅惑のメニューがずらりと並ぶなか、見た目も味もインパクト大で、一皿で2度美味しい名物メニューの盛り合わせを味わってきました。
2大名物にメンチ付きで930円の神コスパ!

今回注文したメニューがこちら、「オリエンタルライス&黒カレーセット」です。お皿の上であふれんばかりに盛られているのは、看板メニューの「オリエンタルライス」と、その輝きと色に度肝を抜かれる「黒カレー」。
サイドメニューのフライは「メンチカツ」をチョイスしましたが、同額でカニクリームコロッケ、チキンカツも選べます。

ガツンと立ち上るニンニクの香り、豚バラ、ニラ、生卵と、スタミナ満点の一品が「オリエンタルライス」です。あるラーメン店で麺の上に盛られていた肉野菜炒めにヒントを得て、37年前に考案されました。
秘伝ダレをまとった香ばしい豚バラと玉ねぎ、シャキシャキのニラが口中で得も言われぬハーモニーを醸し出し、白いご飯が進む進む。タレがしみたご飯の美味しさもたまりません。
もう一つの名物「黒カレー」はじわじわとやってくる辛さ

もう一つの名物「黒カレー」は、欧風ともインド風とも違う、まさに『キッチンABC』ならではのオリジナル。5種類ほどのスパイスを組みわせたその味わいはスパイシーで奥深く、漆黒のようなルーの色と艶めきにも目を見張ります。
食べ始めはさほど辛さを感じないのに、食べ進むごとにじわじわと辛さが押し寄せ、一口ごとに元気とパワーがみなぎるよう。
サイドメニューのフライ&汁物も主役級の満足度!

2大名物の合間に味わったサイドメニューの「メンチカツ」も絶品。大ぶりで、衣はサックサク、見るからに美しいキツネ色に揚がっています。

一口食べてみると、合い挽き肉とともに粗みじん切りされた玉ねぎが顔をのぞかせます。炒めずに肉ダネに混ぜて揚げてあるので、お肉と玉ねぎの味と食感がしっかり感じられ、昔ながらのお肉屋さんが揚げているメンチカツのような懐かしい味わいです。

脇役になりがちな汁物も、ここでは負けていません。メニューには“味噌汁”とありますが、その正体は立派な“豚汁”。豚バラ肉にニンジン、大根、ごぼうなどの根菜類、豆腐、油揚げ、シイタケなど、多彩な具材からいいダシが出ていて旨みたっぷり。
ちなみに50円でお代わり可能で、〆にしみじみ追加の一杯を楽しむ通な人もいるそう。味わえばその気持ちがわかります。

昼食時には行列もできる人気店ですが、待ち時間にオーダーを受け着席とほぼ同時に料理を提供するなど、味と価格はもちろん、スピードにもこだわっています。池袋駅西口や東口、南大塚、江古田にも店舗があるので出かけやすいですね。
近くの立教大生が社会人となって家族とともに訪れたり、遠くに転居しても近くに来れば必ず立ち寄る往年のファンが多いのも納得。初めて食べた時の感動の味をまた食べたいと思わせる『キッチンABC』の洋食。ぜひ一度、味わってみてください。
(撮影・文◎池田実香)
●SHOP INFO

店名:キッチンABC 西池袋店
住:東京都豊島区西池袋3-26-6
TEL:03-3982-1703
営:11:00~22:00(L.O.21:30)
休:年末年始
https://www.kitchenabc50.com/