先日、名古屋に遊びに行った時に、在住の友人から、「これ美味しいよ」とソースをもらいました。え? なんでソース? とちょっと面食らいました。
しかし友人いわく、「名古屋でソースといえば、このコーミソースが定番なのよ。このソースで焼きそばを作ると美味しいよ」と言って、「コーミソース焼きそば」という即席麺まで一緒にくれたのです。

さっそく家に帰ってコーミソースをなめてみたら、思わず「ウマっ」と声が出てしまいました。普通のソースよりも甘さがなく、キリッとしていながら旨みは強く、ソースと醤油のいいとこ取りをしたような、不思議な美味しさ。これは洋食でも和食でもどちらにも使えそう!

コーミソースのパッケージには“こいくち”と書いてありますが、関東&東北で使われている「中濃ソース」や関西でメジャーな「どろソース」、はたまた広島人御用達の「おたふくソース」のような、どろどろした感じはありません。ウスターソースのようにサラサラして酸味があるのに、独特なツンとしたトゲもなし。
試しにメンチカツにかけて食べてみると、控えめに言って最高のひと言。揚げ物といえば、しばしば醤油派、ソース派に分かれがちですが、その両方の良い部分が同居しているのです。これは超便利なソースなんでは…? 名古屋で愛されまくっているのが一瞬でわかった気がしました。

調べてみると、このコーミソース、昭和20年代に名古屋で誕生したんだそう。八丁味噌を好む中京圏の嗜好に合わせて「こいくち」にしているそうですが、実は塩分控えめ。
即席麺の「コーミソース焼きそば」も最高に美味!

続けて即席麺の「コーミソース焼きそば」を作ってみたら、これまたかなりの美味しさ! ちなみにこの「コーミソース焼きそば」は、いわゆる炒めて作る一般的な焼きそばと違い、ソースで煮込んで作るタイプです。
どういうことかと言えば、まずフライパンに水250mlと付属のコーミソース、油小さじ1を入れてかき混ぜ、そこに乾麺を入れてから火にかけるんです。沸騰したら中火にして1分半。続いて麺をひっくり返してさらに1分半。水分がやや飛んでくるので、ここで初めて麺をほぐします。ソースが麺に染み込み、全体に行き渡ったらコーミソースの煮込み焼きそばの完成です。

食べてみると、コーミソースの美味しさがしみじみわかります。スッキリしているのに深みがあって、ソースと言うより醤油のようなあっさりした後味です。野菜や肉がなくてもソース自体に複雑な旨みがあるので、物足りなさもナシ。これぞまさに“ソースを味わう焼きそば”といった感じです。うーん、こんな美味しいソースを日常使いしていたとは…名古屋人、恐るべし。

名古屋の味といえば、なんとなく“甘くて濃い”というイメージがあったんですが、コーミソースはそれを覆すようなスパイスのキレと華やかな香りがあって、とても上品な味わいでした。
というわけで、筆者は「今度また名古屋に行ったら、コーミソースをお土産に買ってみんなに配ろう!」と心に誓ったのですが、なんとつい最近、東京のスーパー「西友」でも売っているのを発見。みなさんも見かけたらぜひ一度買ってみて、フライにかけたり、ソース煮込み焼きそばを楽しみつつ、コーミソースの美味しさを体験してみてください。常備したくなる美味しさですよ。
(撮影・文◎土原亜子)