名古屋の名物グルメといえば味噌カツ、ひつまぶし、手羽先などが有名です。しかし、全国的な認知度は高くはないものの、地元民からの絶大な支持を誇る「あんかけスパゲッティ」なるものをご存知でしょうか?
数年前、名古屋が舞台のとあるドラマで「あんかけスパ」の存在を知ってから、どんな料理なんだろうと気になりつつも未食のままだった筆者。
超極太2.2mmのスパゲッティと「創業」「現在」のソースをゲット

注文したのは、「あんかけスパ」を特徴付ける直径2.2mmの極太スパゲッティと、創業時・現在で味が異なるパスタソース2種類。
ちなみに『ヨコイ』は、丸栄ホテル(現 名古屋国際ホテル)で洋食を学んだシェフの横井博さんが、友人とともに昭和36年に出したあんかけスパの店から2年後に独立して開いたお店です。
横井さんは、当時まだ一般的でなかったスパゲッティを広めようと、デミグラスソースとイタリア家庭料理をヒントに、野菜と肉をじっくり煮込んだとろみのあるソースを考案。このソースがよく絡む極太麺を合わせて誕生させた、名古屋ならではのソウルフードが「あんかけスパゲッティ」なのです。

パッケージ裏には詳しい作り方が、お店の公式サイトには作り方の動画もアップされていて、誰でも気軽に作れそうです。ちなみに今回は、30年以上前に開発された「創業ソース」で『ヨコイ』の看板メニュー「ミラカン」を、現代の技術と開発力で誕生した「現在ソース」で創業時から続くメニュー「スペシャル」を作って食べ比べてみました。
王道メニュー「ミラカン」と基本の作り方

まずは一番人気の「ミラカン」から。ちなみに「ミラカン」は、お客さんのリクエストから生まれたメニューで、ウインナー・ハム・ベーコン入りの「ミラネーズ」、玉ねぎとピーマン、マッシュルームなどがトッピングされた「カントリー」、この2つの合体からネーミングされたそうです。
鍋にたっぷりのお湯を沸かして、一人分100gのスパゲッティを茹で始めます。麺が太いので茹で時間は11~13分。並行してパスタソースも箱から出して温めておきましょう。

麺を茹でている間に、サラダ油を熱したフライパンで、細切りにしたピーマンと玉ねぎ、マッシュルーム(缶詰のスライスでOK)、カットしたベーコンとハム、薄切りにした赤ウインナーを炒めます。

麺が茹で上がったらザルにあげ、流水(冷水)ですすいで粗熱をとります。
ちなみにこの行程はパッケージの箱には書かれておらず(動画では紹介されています)、一度目の試作で筆者は知らずに省いてしまったのですが、後からわかりますがこの行程は絶対にした方がよいです。
パスタを炒めるのもポイントの一つ

麺を焼く行程も「あんかけスパ」ならではのもの。水気をよく切った麺を、ラードをひいたフライパンでキツネ色になるまで3分ほどよく炒めましょう。ラードの代わりにサラダ油でもいいのですが、仕上がりに差が付くので筆者はラードを強くオススメします。

お皿の中央に麺を盛り、温めた「創業ソース」を麺の周りに半円状に盛りつけ、炒めた具材をのせたらできあがりです。
くるくるとフォークで巻いて一口味わってみてびっくり。あんかけというネーミングから、あんかけ焼きそばのような甘辛味を想像していましたが、「あんかけスパ」は黒コショウがガツンと効いていて、びっくりするほどスパイシー。
ラードの香ばしさをまとった極太麺はモチモチで噛みごたえ抜群。トマトの酸味と野菜の旨みを感じるとろみのあるソースが実によく絡んで、食べ進むごとに汗がじわりと噴き出します。旨辛という言葉がぴったりの、クセになる味わいに衝撃を受けました。
創業時の人気No.1メニュー「スペシャル」は「現在ソース」で再現!

2品目の「スペシャル」は、60年前の創業時に一番人気を誇った、いわば原点ともいえる一皿。材料は赤ウインナーとゆで卵という超シンプルメニューです。
ウインナーは縦半分に切って皮に切れ目を入れて焼き、ゆで卵は殻をむいてフォークで細かくつぶしておきます。「現在ソース」は辛みの中にコクと甘味を感じ、「創業ソース」よりもまろやかな味わい。トッピングの玉子と懐かしの赤ウインナーが辛さを和らげ、とても食べやすかったです。
ご紹介した「ヨコイのソース」。スパゲッティだけでなく、ピリリとした天津飯のソースなどにもアレンジできますよ。ご自宅で、名古屋ならではのご当地グルメを楽しんでみてください。
(撮影・文◎池田実香)
●スパゲッティ・ハウス ヨコイ
https://yokoi-anspa.jp/