普段から牛丼チェーンや定食チェーンで食事をされる機会が多い方は、既に一度は「すき焼き系メニュー」を味わっているのではないでしょうか。同じ牛肉、似たような味わいでありながら、料理の格的にはワンランクもツーランクも上の位置に存在するといっても過言ではない「すき焼き」ですが、実は『吉野家』、『すき家』、そして『やよい軒』では、秋の期間限定メニューとしてすっかり定番化。
そこで今回は、上記3チェーン店にて絶賛提供中のすき焼き系メニュー3品のガチ実食を敢行。各店のすき焼き系メニューの構成及びテイストを詳しく紹介していきます。ここで仕入れた知識を友人や知人、家族の方などとの実食時にちらっとひけらかせば、嬉しいのかどうかはともかく”すき焼きの違いが分かる腹ぺこ”と称されること間違いなし…かも!?
肉の食べ応えが抜群!『吉野家』の「牛すき鍋膳」

まずは『吉野家』で提供中の「牛すき鍋膳」から。2013年に初登場し、お店の季節限定メニューで人気No.1を獲得している評判の一品は、大判サイズのすき焼き肉とたっぷりの野菜、お豆腐、きしめん、別添えの生卵と豪華な構成。固形燃料で常にアツアツの状態でいただける上に、ご飯の増量とおかわりがOKという至れり尽くせりのスタイルとなっています。

このメニューのストロングポイントは、何と言ってもすき焼き肉とご飯。特製すき焼きたれで煮込まれた牛肉は「牛丼」からの転用ではなく、わざわざこのメニュー用に厚め&大きめにカットされたものを使用。固すぎず柔すぎない抜群の食感と、肉を食ってる感を存分に感じさせる味わいが、ご飯をばっくばくと進めてくれます。
そしてご飯。肉、野菜(白菜や豆苗など全5種類)、きしめんとボリューミーな具材は、濃い目の特製たれのアシストもあって“おかず感”が激高。丼一杯のご飯だけで受け止めるにはちょっと心許ないなあ…という残念な気分に陥りがちなところを、オーダー時の「増量で」でどんっ、ご飯を食べ切った後の「おかわりで」でまたどんっと蹴り飛ばしてくれます。しかも追加料金はナシ。
ナイスにも程がある「牛すき鍋膳」。敢えてネガなポイントを挙げるとするならば、きしめんの量が少ないことくらいでしょうか。あともう2~3本くらい多めに入れてくれるとか、ご飯同様におかわりができればなあと感じました。
●長所
・厚め大きめ量多めの牛肉は食感も味わいもいうことなし
・ご飯増量&おかわりが無料で腹ペコさんも安心
●短所
・きしめんが少なめ
●DATA
『吉野家』牛すき鍋膳
期間:2022年10月21日(金)~ ※季節限定
販売:一部店舗を除く全国の『吉野家』
https://www.yoshinoya.com/
※価格は全て税込(イートイン時)
※テイクアウト時、一部店舗及びデリバリー時は価格が異なります
卵2個でリッチな気分に!『すき家』の「牛すき鍋定食」

続いては『すき家』で提供中の「牛すき鍋定食」です。こちらの構成は牛肉、野菜(白菜、にんじん、長ネギ、玉ねぎ)と、しらたき、うどん、生卵が2個、そしてご飯となっています。普段の食事でも生卵は1個がほとんどというか、そもそもが火を通す料理(チャーハンや親子丼、ゆで玉子)でしか2個も使わないだけに、店員さんがメニューをテーブルに置いたところで「おおっ」と思わず声が出てしまいました。これに関しては文句なしのプラスポイントです。

さて肝心のすき鍋の方ですが、牛肉は明らかに「牛めし」の肉そのまま。特製割り下の味わいが加わった分、濃い目の味わいになっています。溶いた卵をしっかり纏わせていただけば、黄身のコクがマイルドさとすき焼き食べてる感を演出。じゅんじゅんに割り下が染みた野菜、『吉野家』のきしめんよりも多めに入っているうどんも遠慮することなく溶き卵をくぐらせ、美味しく食べていきます。
そして卵の黄身を減らしたところで、2個目の生卵を割って補填。
すき焼き鍋らしいボリューミーな構成に比べると、やはり気になるのがご飯の量。並盛だと確実に鍋の具材が余ります。早めに溶き卵を鍋に入れて牛とじにする手を選ぶか、素直にご飯を追加オーダーしてすき鍋を楽しむか。この辺は食べてる最中のお腹の満足度や満腹度との兼ね合いになってきそうですね。
●長所
・固形燃料で食べ終わりまでアツアツ
・肉の量とうどんの量が多め
・生玉子が2個
●短所
・ご飯の量が物足りない
・豆腐がない
●DATA
『すき家』牛すき鍋定食
期間:2022年11月4日(金)~2023年1月中旬(予定)
販売:一部店舗を除く全国の『すき家』
https://www.sukiya.jp/
※価格は全て税込(イートイン・テイクアウト共通)
※店舗によって取扱いメニューと価格が異なる場合があります
ご飯お代わり無料が最高!『やよい軒』の「すき焼き定食」

最後は『やよい軒』で提供中の「すき焼き定食」。こちらの構成は牛肉、野菜(白菜、長ネギ)、豆腐、しらたき、うどんで、お味噌汁と生卵に『やよい軒』ならではの“おかわり自由”のご飯がセットになっています。

主役の牛肉は厚めの大きめで、すき焼きだれの旨みと肉の旨みが、弾力のある歯応えを伴って噛むごとにじゅんじゅんと染み出します。すき焼きだれが甘っ濃い味で、白菜や豆腐、しらたきにも味がしっかりと入っていて、そのまま食べても、また溶き卵と絡めても、ご飯を進ませるおかずとして充分に機能します。
うどんはもちもち食感が残り、たれの濃い旨みを纏うことでオン・ザ・ライスでもバッチリ合う味わい。何より、ご飯のおかわりが自由なためにペースや残量を気にせず、がっつがつと消費できるのがありがたいポイントです。『やよい軒』はやはり、こうでなくてはいけません(笑)。
前2品が固形燃料付きだったのに対し、こちらの鍋は固形燃料なしの平置き仕様。お熱い時間が食べ始めから前半パートまでとなります。実際のところ、終盤に至る頃には燃料が尽きてチョロ火になってしまうんですが、かといって無ければ無いでやっぱり物足りなさを感じるのは仕方がないことですよね。
●長所
・肉とうどんの量が多め(特にうどんは他の2店よりも明らかに多い)
・ごはんのおかわりが自由
●短所
・固形燃料がない分、鍋が早めに冷める
・すき焼きたれの濃さが強い
●DATA
『やよい軒』すき焼き定食
期間:2022年11月2日(水)~ ※期間限定
販売:全国の『やよい軒』
https://www.yayoiken.com/
※価格は全て税込
筆者のおすすめは『吉野家』の「牛すき鍋膳」!

一週間ちょいの間に違う店のすき焼きメニューを3品も食すという、“いいとこの子の食事”をリアルに体感することができた今回の実食。改めて3品のメニュー構成を見比べてみると、
・ご飯食べ放題…『吉野家』、『やよい軒』
・固形燃料付き…『吉野家』、『すき家』
・豆腐あり…『吉野家』、『やよい軒』
・しらたきあり…『すき家』、『やよい軒』
・味噌汁付き…『すき家』、『やよい軒』
といった具合に、3店舗共通でない仕様が意外と多かったことが判明。偶然の産物か、それともすき焼きの必須条件(割り下、牛肉、白菜、うどん、生卵)だけは被ってもOK的な申し合わせがあったのか。その真相は知る由もありませんが、その一方で『吉野家』は具材に豆苗ときしめん、『すき家』は生卵が2個、『やよい軒』はうどんが多め、といったように、しっかりと独自の個性を出しているのも面白いポイントではないでしょうか。
各店のすき焼きメニュー。美味しくいただき、お腹パンパンのボリューミーさに大満足できましたが、どれかひとつを選ぶとするならば…やはり『吉野家』の「牛すき鍋膳」でしょう。ちょうどいい濃さのすき焼きたれにたっぷりの牛肉、ご飯の増量&おかわりが自由のパラダイス仕様でありながら、価格は3店舗で一番の安さとコスパもバッチリ。きしめんの量が少ないことを除けば、ほぼパーフェクトな内容ではないかと思っております。
もちろん、これはあくまでも実食した筆者の感想。
(撮影・文◎河西まさあき)