●東京・下北沢にある老舗『一龍』で味わえる福井・敦賀発祥のラーメンの魅力とは?
東京・下北沢(通称シモキタ)といえば、都市開発でめまぐるしく変化を遂げる街。筆者も若い頃によく通いましたが、最近はとんとご無沙汰。
とはいえ、美味しいものを食べるなら、昔ながらのお店もちゃんと残っているのがシモキタのいいところ。令和のいまでも老舗のレストランや町中華、バーなどがあちこちに点在しています。そして今回オススメするお店は1982年創業、今年で41年目を迎える老舗『中華そば 一龍』さんです。昼時に行くと行列していますが、並んでも絶対に食べてほしい美味しいラーメン屋さんなのです。

筆者がこのラーメン屋さんを知ったのは、10数年前。当時、大学時代の友人が行ってみたいというので着いて行ったのがきっかけでした。以来、シモキタに行くと、必ず『一龍』を食べたくなってしまうほどの吸引力を秘めています。
こちらのラーメンは、友人の故郷・福井県敦賀市のご当地グルメ・敦賀ラーメンが食べられるお店。敦賀ラーメンは屋台から発生したラーメンで、豚骨や鶏ガラベースの醤油ラーメン。麺は縮れ麺で、具材はチャーシュー、メンマ、ネギ。そして紅生姜がのっているのが特徴です。
初めて食べてもなぜか懐かしい味

下北沢駅北口を出て、路地を抜けて徒歩3分ほどの場所に『一龍』はあります。近くにチーズナンで人気のカレー屋『ナンステーション』もあるので、休日には両店の行列が交錯しています。間違わないよう目的の列に並びましょう。
『一龍』のメニューは、「中華麺」(750円)、「メンマ麺」(750円)、「にんにく麺」(850円)、「もやし麺」(850円)、「ワンタン麺」(950円)「チャーシュー麺」(950円)など。初訪問なら基本の「中華麺」がオススメ。
ちなみに、卓上にはつぼ漬があり、小皿にとってビールをグビグビ飲んでいる人も多いです。筆者もよくそうします。このつぼ漬、なぜかとっても美味しいんですよ。そして、こちらのお店は着丼までがすこぶる早い! おそらく着席後5分も待たずに登場します。

黄金色のスープには鶏脂がたっぷりと浮かんでキラキラ輝き、中央には真っ赤な紅生姜。昔ながらの中華そばといった懐かしい雰囲気を漂わせているのですが、一口スープを飲むとレトロなだけではないことがわかると思います。
ご承知の通り、近年、ニッポンのラーメンは進化し続けており、新しいお店のハイレベルなスープに感動することも多いのですが、それと比べてもここ『一龍』のスープの美味しさはなんら遜色がない、というか昔からず~っとハイレベルなんです。むしろ、筆者は『一龍』のスープを飲むたびに、この味こそが、一つの到達点なんじゃないかと思ってしまいます。

そして、『一龍』は麺もスープに負けず劣らず超美味しいんです。ちぢれ麺で口当たりは少しパツパツしていて、パスタで言うアルデンテのようなくっきりと輪郭のあるモチモチとした口当たり。その麺がスープをしっかり絡め取って、スープと小麦の味が混ざり合い、最高なのです。麺の量もしっかりあるのですが、美味しすぎて手が止まらず、どんどん減っていきます。麺がなくなりそうになると、なんとも切ない気分になってきます。

そして、忘れてはいけないのが紅生姜。食べ進む間に、バラバラになった紅生姜がときおり登場して、酸味がパッと立ちます。これが鶏脂のオイリー感をすっきりさせてくれ、まろやかなスープのアクセントにもなるんです。ああもう、とにかく美味しすぎる!
というわけで、筆者はここの中華麺を十数年以上食べていますが、初めて食べたとき同様に毎回、感激できます。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:一龍
住:東京都世田谷区北沢2-30-11
TEL:03-3466-1671
営:11:00~21:00 (麺が売り切れ次第終了)
休:不定休