毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。

今日は、東京新聞の紙面のあちこちで目にする「ニュースあなた発」に注目しました。

お話を伺ったのは、東京新聞読者部の須藤恵里記者。須藤さんがいる読者部には、読者から様々な手紙やメールが届きます。その内容は紙面の記事に関する感想や意見から、身の回りで起きていることへの疑問など様々。須藤さんは、こうした読者の意見や疑問を出発点として取材をして記事にしています。

読者からの投稿をきっかけに取材をスタート!

さて、今回の「ニュースあなた発」はどんな投稿からスタートしたのでしょうか。

東京新聞読者部 須藤恵里記者

「今回のブルーシートはなぜ青い?という記事も、同様に読者からの投稿がきっかけでした。

届いたのは桜の季節でした。投稿を寄せてくれた女性は、通訳の案内士をしている方で、外国から来た観光客の方々から『ブルーシートの色は日本の自然美にそぐわないのではないですか』とか、そういった驚きの声が何度もあったそうです。淡~い白とか、ほんのりしたピンクの中で、真っ青なブルーシートが場所取りで敷かれている様子っていうのが、非常に不思議な光景として映ったということですね。

そうなんですよ、私自身も、この投稿を読んで『たしかに』とホントに思いまして、で、それと同時に、そもそもなんでブルーシートはブルーなんだろうっていう疑問が湧きました。で、これって調べてみたらちょっと面白い記事になるかな、と思ってそれで記事にした次第です。もうホントに名前自体がブルーなので、ブルーシートはブルーだっていう風に、たぶん多くの日本の方たち、思って使ってるんじゃないかな、と思います。」

お花見の場所取りのブルーシートに、外国からの観光客の方々は、すごく違和感を感じたんですね。投稿してくれた女性の方も「ハッとした」と。

ブルーシートはなぜ青い?の画像はこちら >>

今まで何度も、現場にアタックでも、お花見の場所取りの中継をして、さんざん目にしてきたはずなのに、私も
まったく気にしていませんでした。でも、言われてみればたしかに!ですよね。

ブルーシートは元々はオレンジ色!?

そこで、須藤さんも取材をした、国内唯一のブルーシートメーカー、岡山県倉敷市に本社を置く、萩原工業株式会社、経営企画室長の吉田淳一さんにお話を聞いたところ、なんと、ブルーシートは元々は青くありませんでした。

萩原工業株式会社 経営企画室長 吉田淳一さん

「元々はオレンジ色のシートを作っておりまして、これはブルーシートではなくて万能シートという名前で販売をしておりました。

元々、運送会社さんのトラックのホロで使う想定で作っておりまして、その会社のコーポレートカラーがオレンジだったものですから、オレンジのシートを作り始めたと。で、結果的にちょっとホロに使えなかったものですから、それをシートとして販売し始めたという経緯で、元々オレンジ色でした。

その後、そのオレンジ色の色をつける顔料、そこに有害物質が入っているという噂が出まして、で実際悪いかどうか、もう確定する前にもう危ないかもしれないんで変えちゃおうということで、早めに色を変えた、ということです。疑いの段階からもう安全を見て変えたということです。」

ブルーシートはオレンジだったんです!ある運送会社さんのトラックのホロに使う予定で作ったので、その会社のカラーに合わせてオレンジに。しかし、ホロには使えず、そのままシートとして売ることになったのです。ということで、もちろん名前はブルーシートではなく、万能シート。

しかし、オレンジ色の顔料に有害物質が入っているという噂が出てきたので、安全を鑑みて、その真偽が出る前に色を変えることにしました。(1970年代後半ごろの話)

製造業者が集まり、青に決まりました。青い顔料は、バケツやホースですでに広く使われており、コストが抑えられることと、太陽光への耐久性も高かったことが決め手になりました。

今はブルーシートはブルーだけにあらず!

こうしてブルーシートがブルーになったわけですが、ブルーシートも色々変わってきているんです、と吉田さんはおっしゃいます。

萩原工業株式会社 経営企画室長 吉田淳一さん

「ブルーシートって災害現場で使われるケースも多いものですから、最近は、お花見の時に青いシートを使うと、ちょっと災害を思い起こさせてあまり良くないというご意見を頂くようになりまして、それで、弊社でも、ちょっと色合いを緑色っぽく変えたシートも作ったりして、それはホントにご好評いただいて、特に若い人なんかは圧倒的にこの色がいいと。私なんかよく分かんない。やっぱ青い方がスッキリしてていいんじゃないの?と思うんですけども、もう年寄りは黙っててくださいっちゅう感じですね。あの、花見だからピンク色のシートって言うのを作ってみたんですが、それはあまり売れなかったですね。(なんか良さそうですけどね)こちらもなんで売れなかったのか、よく分かんないんですけど。」

緑色のブルーシートが若い人に好評なんですね。他にも、埋蔵文化財の発掘現場ではそこの土に合わせた色のシートなど、用途に合わせて色も増えています。白、ベージュ、緑、オレンジ、色柄もたくさん!写真をシートに印刷した印刷シートなどもあるんです!

ブルーシートはなぜ青い?
若い人に人気という緑のブルーシート 写真はすべて萩原工業公式オンラインショップより
ブルーシートはなぜ青い?
ピンクのブルーシート 私は可愛いと思いますけど・・・
ブルーシートはなぜ青い?
ギンガムチェックも!
ブルーシートはなぜ青い?
シックなグレイもありました
ブルーシートはなぜ青い?
こちらが印刷シート

また素材に機能性を持たせてこれまでより長持ちのものや、光の反射率が90%以上という遮熱シートが、この夏は大人気だったそう。(屋根の上にかけるなどの使い方)

ブルーシートはなぜ青い?
ブルーシートはなぜ青い?

国内のブルーシート生産を意地でも守っていかなければ!

最後に国内唯一のブルーシートメーカーとしての思いを吉田さんはこう話します。

萩原工業株式会社 経営企画室長 吉田淳一さん

「特に大規模災害が起こったときに、当然弊社では大量増産をかけるんですけれども、実は今ホームセンターさんなんかで売っているブルーシートの9割以上が海外からの輸入品なんですよ。で、輸入品っていうのはやっぱり、中国とかベトナムから運んでくるのに時間がだいぶかかる、何週間もかかりますので、そういった緊急時の対応という意味では、やはり国内のブルーシート生産というのを、こちらとしても意地でも守っていかなきゃならないという風には考えております。」

価格競争でキビシイのはもちろんあるわけですが、いざ大きな災害があった時に、何週間もブルーシートが届かない、となれば大変ですよね。意地でも国内での生産を守って行きたい、と。

ちなみに萩原工業では、現在はハウスメーカーと提携して、使い終わったブルーシートを回収して、溶かして、またブルーシートにして売る、という水平リサイクルも行っています。

すでに、リサイクルされたブルーシートも売っているそうです。

東京新聞読者の投稿をきっかけに、ブルーシートのいろんな今を知ることが出来ました!


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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