まだまだ暑い日が続いていますが、この暑さの影響を受けているのは私たち人間だけではありません。私たちの食卓に欠かせない「卵」に、今年は異変が起きているようです。
暑さで卵に異変
千葉県柏市に本店があるたまごのお店「むこたま」販売部 桒原栞さんのお話です。
「むこたま」販売部 桒原栞さん
大きさは、夏場はちょっと小ぶりになってしまう感じですね。やっぱり夏場だとお客様に「最近小さくない?」って言われたりとか、分かる方は分かるので、常連さんとかは。夏になるとニワトリも夏バテをして、あまりエサを食べなかったりとか。あとは水をいっぱい飲むので、白身がシャバシャバになっちゃったりとか水っぽくなっちゃったりとかするみたいで、大きさとか白身とかにも影響が、夏は出ちゃうみたいです。卵オンリーではなく、卵を使ったものを夏でも売り出せるようには、工夫はしています。訳あり卵とかも、お店で売る分と、訳ありとかを調理の方で使うことによって、卵を無駄にしないようにというのはありますね。
卵が小さくなったり、あとは、特に品質が悪いわけではないとのことでしたがニワトリがたくさん水分をとるので、白身も水っぽくなるそう。
生卵として販売しているほかに「調理で使って無駄にしないように」という話がありましたが、お店では、卵を使ったプリンや、たまごソフトクリーム、バウムクーヘンなども販売していて、人気だということでした。
ニワトリが夏バテ 影響は
では、なぜニワトリが夏バテしやすいのか、どんな症状、影響が出ているのか。たまごのお店「むこたま」を直営店として運営している、養鶏農家向台ポートリー 森山豪志さんに伺いました。
向台ポートリー 森山豪志さん
ニワトリって呼吸で体温を調節するんですよ。汗をかいたりとかそういうわけではないので、ずっと呼吸しちゃって、エサを食べられなくなって体力がどんどん落ちてしまうとか、ぐったりしているとか、そういう症状ですね。人間もそうじゃないですか。
暑いとご飯、そうめんしか食べない、そういう感じになってしまう。ニワトリ体温が38度くらいあるんですけど、息をして水を飲んだりとかで体温を調節するんですけど、そればかりに一生懸命になっちゃうとエサが食べられない。口が一つしかないので。で、エサが食べられない、だんだんと体力が落ちていく、弱っていく、死んじゃうみたいな感じになります。いやあ、暑いですね本当に。お盆あたりでグッと上がった時は、1日あたり500羽とか一気に死んじゃって、それが2日くらい続いたりしたので、1000羽くらい、ニワトリが死んじゃいましたね。去年は死ななかったんですけど、今年は死んじゃいましたね。暑さがそれだけひどいっていうことですかね。
毎年、夏は暑いのでニワトリも夏バテはしていたようですが、こんなに死んでしまうことはなかったそうで、今年の夏は異常だと話していました。
今は、暑さにだいぶニワトリも慣れてきたそうですが、特にお盆の時期の暑さの影響が大きかったようです。
夏バテ対策に四苦八苦
夏バテ対策として、どんな工夫をしているのか、また日頃のニワトリの飼育の苦労について、再び、向台ポートリー森山豪志さんのお話です。
向台ポートリー 森山豪志さん
やっぱりエサ、水、温度は、しっかり見て。
そこだけが狂ってしまうと、一気に全部死んでしまったりとかするので、そこを気をつけていますね。クーラーついていないので、風を送って通すっていう感じしかないので、今は空気を冷やして、その空気を外に循環させて温度を下げている感じですね。換気ですね。エサ代は高いので、その分原価が高くなってしまうので、値上げせざるを得なくなってしまった部分はありますね。ロシアのウクライナ侵攻があって、一番大きい打撃でしたかね。あそこからグッと上がってしまいましたね。夏は夏バテもありますし冬は鳥インフルエンザがやっぱり流行するので、リスクは結構ある。悪いことばっかり考えていても、仕方ないので、前向きに仕事をして頑張ろうかなと思っています。
ニワトリのエサは、主にトウモロコシということですが、ロシアのウクライナ侵攻以降、エサ代がおよそ2倍になったそう。卵の原価の9割ほどがエサ代なので卵も値上げせざるを得ない状況になってしまうと話していました。
向台ポートリー直営でもある、たまごのお店「むこたま」の桒原さんによると、卵は、ここ5、6年のうちに2回ほど値上げをしたそう。お客さんの卵の需要は変わらず高く、訳あり卵などお得用の卵を購入するお客さんが増えた印象はあるということでした。
生活に身近な卵に、暑さや世界情勢の影響がこんなに出ているとは・・・早く落ち着いてほしいですね。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)