昨日は敬老の日でしたね。

シニア人材バンクとは

今、働きたいシニア世代と、企業をマッチングする「シニア人材バンク」という仕組みが広がり始めていて、埼玉県でも7月にスタートしました。目的や内容を、埼玉県 雇用・人材戦略課 磯英樹さんに伺いました。

埼玉県 雇用・人材戦略課 磯英樹さん

シニア人材、特に役職定年や定年退職された方で、これまで培ってきたスキルやノウハウ、人脈などを活用し、地元や地域に貢献したいと考えている方が多くいらっしゃいます。そこで、豊富な知識や経験を持つシニア人材と県内中小企業をつなぐためのサイト「埼玉県シニア人材バンク」を開設し、県と国が連携して、シニア人材の開拓、県内中小企業の掘り起こし、マッチングに取り組んでいくこととなりました。即戦力となるシニア人材の情報と、シニア人材によって自社の成長と発展を目指す企業の情報を登録して、それぞれの情報をシニア人材バンクのサイトに掲載してマッチングを図ることで、人手不足対策の推進や企業の生産性向上に繋げていくものです。

シニア人材バンク 働きたいシニアと企業をマッチングの画像はこちら >>

これまでは企業説明会などに足を運ぶ必要がありましたが、時間や場所にとらわれず、いつでもどこでもサイトから登録してやり取りできるのがメリットだということです。

シニア人材バンクのサイトには、人材情報として、職歴や持っている資格、得意分野などを。企業情報は所在地や連絡先、業種、経営課題の内容、求める人材などを掲載しています。

働きたい人は、気になる企業に直接連絡ができます。一方で、企業側からもスカウトの連絡を送ることができて、お互いにアプローチができる仕組みとなっています。

専門分野で通算10年程度の経験など、スキルやノウハウを発揮して、県内の中小企業を支援する50歳以上の方が登録できますが、スタートから1ヶ月半で今95人が登録していて、特に65歳以上の方が多いそう。一方、登録企業は、今30社で、建設業や製造業が多いということでした。

磯さんは「始まったばかりなので、今後マッチングにつながるよう取り組んでいきたい」と話していました。

札幌市ではすでに約150名がマッチング

このシニア人材バンク、札幌市では、2023年からスタートし、2年間でおよそ150名が企業とマッチングして、すでに働いています。札幌市の人材バンクは、企業側からのみ、登録者にスカウトの連絡ができる仕組みです。

人材バンクを利用して実際に働いている方にお話を伺いました。フランチャイズ事業を手掛ける長山食糧工業に所属して、ハンバーガー店で働く60歳の榎本さんのお話です。

ハンバーガー店で働く60歳の榎本さん(長山食糧工業所属)

仕事内容的には、清掃と仕込みです。素直なこと言ったら年齢的には大変ですよ。けど、やりがいはありますね。すごく社会勉強になります。リズムある生活っていうことを考えると、働くっていうことが大切だなと思いますね。あとやっぱり、これだけ経済がいろいろなると、余裕を持ちたいという部分では働くことは大切なんじゃないですかね。いやあ、やっぱり高齢者のフリーターはきついですよ。動けるうちに動いて、働いて経済に接してなければ、不安ですよ、この世の中は。やっぱり人生100年っていう部分で、人生50歳から上の流れっていうのを、もっともっと国が一生懸命考えればいいかな。第二の人生っていう部分で、仕組みを世の中自体が考えていければ、本当に楽しい世の中になるんじゃないかなと思いますけどね。

                      

榎本さんはシニア人材バンクを通して2ヶ月前から働き始めましたこれまでは建設現場の作業員や、営業などの仕事をしてきたそう。やりがいや、日々のメリハリ、経済的な面、色々な面から見ても働くことは大事だと思うし「75歳くらいまでは働きたい」と話していました。

受け入れ企業は

では受け入れている企業は、どんな思いなのか、長山食糧工業 飲食事業部 藤谷彰さんに伺いました。

長山食糧工業 飲食事業部 藤谷彰さん

年々採用が厳しい現状というところで、今、シニア人材という人生の先輩方も、60歳になると定年退職というところもあると思うんですけど、もちろん身体も動きますし、今後の生活も考えてお仕事探している方って、たくさんいらっしゃいまして、そこの世代の方々は経験も豊富という部分では、取り入れないわけがないかなと。昨年春、夏くらいから本格的に就業サポートセンターを通じて、採用している流れになります。真面目にお仕事してくれますし、私が求めている以上の行動、本当に勉強になりますし、もっと私やらなきゃと感じます。人材確保に繋げるのも厳しい。まだまだ動けるシニア世代の方を受け入れるため、国の方でも積極的に取り組みの一つにしていただけると、マッチングがもっともっと増えてもっともっといい方向になるんではないかなと。         

人手不足の中で、いろいろな経験を伝えてくれるシニアの方の存在は、とても大きいと話していました。

札幌市のシニア人材バンクには、企業がおよそ200社と、概ね60歳以上の方がおよそ400人登録していて、特に求職者からの働きたいという要望が多いと、担当者もとても需要を感じているようでした。

働きたい人が働ける環境づくりが進むことは良いことですよね。一方で、経済的な不安という面への対策は急がれます。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)

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