9年ぶり決勝で「稲葉さんしか声発してない」しずるが明かす『キングオブコント』の苦悩と奇跡

お笑いコンビ・しずるの池田一真さんと純さんが、15日に放送されたラジオ番組『パンサー向井の#ふらっと』にゲスト出演。『キングオブコント2025』決勝の舞台裏を赤裸々に語りました。

「生身の俺らに今、価値ないのよ」

ラジオブースに現れたしずるの池田さんは、なんと『キングオブコント』ファーストステージで披露したコントの衣装そのままでした。眉毛もキャラクターに合わせて太く描かれており、その出で立ちにスタジオは驚きに包まれます。

――なぜ、その格好で来られたんですか？

池田さんは「今日何で呼ばれたかって、やっぱキングオブコント出て」「生身の俺らに今、価値ないのよ」と、その理由を説明。相方の純さんが普段着であることに「なんで来てこなかったか、おかしいじゃん」と疑問を呈し、笑いを誘いました。

このコントで印象的な太い眉毛については、ある持論があるようです。「まず眉毛太い方が面白いじゃないですか？ 人ってまず」「この前提が成立しなければもう話しできない」と力説。奇しくも『キングオブコント』当日の『お笑いの日』で、明石家さんまも眉毛を太くしていたことが話題にあがると、「下手したら（さんまさんが自分を）潰しに来てる感じ」と語り、スタジオを沸かせました。

「稲葉さんしか声発してない時あった」

大会前、しずるは多くの芸人から「本命」と目されていました。水曜レポーターで、自身もキングオブコント王者であるライスの関町知弘は「オッズで言うと1.1倍」と評し、他のファイナリストたちからも「どうせしずるさんでしょって言われた」と純さんは明かします。

しかし、大きな期待とは裏腹に、本番の客席の反応は予想外のものだったと2人は振り返ります。

「それでやってみたらさ、全然笑わない。びっくりしちゃった俺も」池田さん。

実はこのネタ、予選では爆発的なウケを記録していたものの、劇場で試した際には「あれ、受けてはないな」と感じたこともあったと池田さんは明かします。その懸念が、最も重要な舞台で現実になってしまったようです。

「運命以外の何者でもねえじゃんって」

そんな決勝の舞台でしたが、当日は数々の奇跡的な偶然が重なっていたといいます。純さんは、決勝当日である10月11日が、ネタで使用したB'zの楽曲『LOVE PHANTOM』のシングルがリリースされてから「ちょうど30周年だったんですよ」と明かしました。

この事実は、放送終了後に番組プロデューサーからの連絡で知ったとのこと。「てっぺん回った、12時回った夜中」にその事実を知った純さんは、「運命以外の何者でもねえじゃんって」と、静かに興奮したことを語りました。

さらに、決勝前日には池田さんがYouTubeのロケで釣り堀を訪れた際、池田さんだけが巨大なイナダを釣り上げるという出来事も。数々の追い風が吹いているように感じられた2025年でしたが、「本当思い通りに行かなかったのが今年あの日だけなの。10月11日以外はいいことしかなかった」と純さんは静かに振り返りました。

「くらえコント」の舞台裏

今大会に並々ならぬ覚悟で挑んだ2人。特に池田さんは、決勝前からX（旧Twitter）のプロフィールを「2025キングオブコント王者」と書き換えるなど、強気な姿勢を見せていました。

VTRで使われた「くらえコント」というセリフ。実はこの一言が生まれるまでには、スタッフとの間で一悶着あったといいます。思うようなコメントが引き出せず、少し苛立ちを見せる純さんとスタッフの間を、なんとコントのキャラクターになりきっていた池田さんが「仲裁に入ってくる」という不思議な状況が生まれたことを明かしました。

様々なドラマを経て挑んだ9年ぶりの決勝。結果は5位と、彼らが目指した頂点には届きませんでした。しかし、その裏側にあった数々のエピソードは、彼らがいかにこの大会に全てを懸けていたかを物語っています。今回の経験を糧に、しずるが次にどんなコントを見せてくれるのか、期待は高まるばかりです。

（TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋）