いま、全国で高齢者施設の形がどんどん多様化しています。

求めている老後の暮らし方が、人によって違うので、介護付き老人ホームだけでなく「自立型」「地域交流型」など、 新しいスタイルが次々に出てきています。

きょうは、そんな新しい形の高齢者施設を取材してきました。

交流しながら暮らす「多世代型介護付きシェアハウス」

まずは、「他人と暮らす」ことを重要視した施設。どんな施設なのか、神戸にある多世代型介護付きシェアハウス

はっぴーの家ろっけん ケアマネージャー 岩本 茂さんのお話です。

はっぴーの家ろっけん ケアマネージャー 岩本 茂さん

基本的にメインは高齢の方がお住まいですが、その建物の中に子供や若い人、外国人とか、いろんな背景を持った人たちが集まって一緒に時間を共有してる、そんな場所です。それぞれに個室で1部屋ありますが、人と話したいな、寂しいなと思ったときにリビングに出たらいろんな人がいるっていう。いろんな人との関わりが増えることで、自分が何かをやりたいって思ったときに実現可能性が上がっていく。ていうことが大きなところだと思います。

ここは、6階建ての建物に40の居室がありますが、介護施設でもあり、シェアハウスでもある。

高齢者に加えて子どもや若い世代、外国人など、全ての年代で、あえて「他人と関わる」という選択をしている方が集まっています。

またフリースペースもあるので、会社員がテレワークをしにきたり、学校帰りの子供たちがゲームをしたりしています。

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今年、政府も新たに低料金で暮らせる高齢者向けシェアハウスを全国に整備する方針を打ち出しました。

今後3年間で100ヶ所を目指すとのことなので、シェアハウス型の高齢者施設は、増えていきそうです。

また、先月、敬老の日に合わせて発表された厚労省の人口推計では総人口に占める65歳以上の人口は29.4%で過去最高となりました。

平均寿命健康寿命を目指す「健康型有料老人ホーム」とは

介護が必要な人は年々増えていますが、元気な高齢者も増えています。ということで、次は「元気な人向けの高齢者施設」です。

介護前の段階から、健康づくりに特化した自立型の施設。マゼラン湘南佐島支配人 稲葉 淳さんにお話を聞きました。

マゼラン湘南佐島支配人 稲葉 淳さん

マゼラン湘南佐島は湘南の海を望む健康型有料老人ホームです。介護支援の認定を受けていないお客様が入居できる、珍しい施設で、平均寿命イコール健康寿命になるように、そう思って運営をしています。ご入居のお客様全員にアップルウォッチをつけていただいてます。良くなってるのか悪くなってるのか定量としてデータが取れるというのが非常に大きいです。さらに、歩いたり走ったり、色々なプログラムを受けることで、自動的にお客様のアップルウォッチにポイントが貯まるようになって、施設のいろいろなサービス、例えばお食事、外に出かけたり、こういったことをご提供しております。             

多様化する高齢者施設 それぞれのニーズ

この「マゼラン湘南佐島」に入居できるのは満60歳以上で、介護支援を受けていない方だけ。現在は27人が暮らしています。

重要視しているのは寿命ではなく、日常生活が制限されることなく生活できる期間の「健康寿命」。

日本では平均寿命と健康寿命の差が男性で8年、女性で12年あるとされていますが、この施設ではその差を埋めるためにパーソナルトレーニングや、アップルウォッチを使った健康データ管理などで、「健康を育てる」仕組み、健康寿命を伸ばす取り組みを取り入れていますが、一番多い部屋のタイプで、年間で約400万円(部屋+管理費)かかるので、安い価格ではない・・・。

「ずっと元気でいるために」健康型有料老人ホームを選んだ声

では実際にこの施設に住んでいるみなさんは、どのような日々を送っているのか、話を聞いてみました。

施設にお住まいのみなさん

86歳になりました。子供たちの世話になるのは、今の世の中あんまり流行りじゃないですから、やはり好きなことができるところに入ってみたかった。

95歳。(アップルウォッチ使われてるんですか?)時間と1日の自分の生活を寝る前に見ます。すごくためになります。

86と11ヶ月ですかね。28日で87歳になります。運動の方はジムでマシントレーニングした。とにかく、あと3年間はゴルフしたい。90まで。これが目標ですね。

                     

最後の方は今日誕生日で87歳。

元気な方向けの高齢者施設も、今後増えていきそうです。

多様化する高齢者施設 それぞれのニーズ
多様化する高齢者施設 それぞれのニーズ

ちなみに、この施設にお住まい中に介護支援の認定を受けた場合に備えて、入居の段階で「次の住まいの選択肢」を一緒に考えているそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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