9月29日のゲストは、花キューピット株式会社 代表取締役社長の吉川登(よしかわ のぼる)さん。創業は昭和28年、まだ宅配便もなかった時代に「遠くの人にも花を届けたい」という花屋たちの思いから始まりました。

現在は全国約4000店、海外140カ国と連携し、花を通じて“想い”を届けています。最近では、新入社員が両親に感謝を伝える「初任給で花束を。8000日分の感謝を両親へ」というサービスも展開しているのだとか。花キューピットが描く“人と花のつながりの未来”についてうかがいました。

北海道から沖縄まで。海外にも広がる花キューピット

西田:花キューピットは、どのようにはじまったのですか?

吉川:サービスのはじまりは、昭和28年の戦後間もない時期でした。

西田:そんなに長い歴史があるんですね。

吉川:当時は宅配便やトラックもなく、生花を遠方に届けるのは難しい時代でした。そこで「遠くの人にも花を届けたい」と、花屋同士が協力して仕組みをつくったんです。

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西田:最初はどれぐらいの店舗だったんですか?

吉川:22店舗です。東京の花屋が中心となり、地域の有力店に手紙で呼びかけたと聞いています。

西田:届け先に近い地域から花を送ることで、時間や輸送の負担を減らし、より新鮮なまま届けられるんですね。

吉川:その通りです。さらに、環境負荷を抑えられます。注文時に「あなたは何グラムのCO₂を削減しました」と表示される仕組みも導入しているんです。

西田:素敵ですね。現在はどのくらいの規模になっているのでしょうか?

吉川:全国約4000店舗です。北海道の礼文島(れぶんとう)から沖縄の石垣島まで網羅し、海外では140カ国と連携しています。アメリカの友人にも花を届けられるんです。

“8000日分”の感謝を花に込めて

西田:最近では、新しいキャンペーンもはじめられたそうですね。

吉川:「新入社員の花送り」というキャンペーンです。新社会人が両親に感謝を込めて、花を贈る企画で、「8000日分の感謝を両親へ」というキャッチフレーズを掲げています。

西田:いいキャッチフレーズですね。反響はいかがでしたか?

吉川:ご両親に大変喜ばれているようで、とても好評です。

西田:このアイデアはどのように生まれたんでしょうか。

吉川:社員がここまで育ったのは、何よりご両親のおかげです。そこで、企業にも感謝を伝える役割があると考え、「これからは私たちが支えます」というメッセージを添えて花を贈る形にしました。

西田:たしかに。ご両親にとっても安心感がありますね。

吉川:そうなんです。会社名を知ってもらえることで信頼が生まれ、社員のエンゲージメントも高まる。結果的に離職率の低下にもつながっています。

8000日の感謝を花束に込めて。花キューピットがつくる新しい花文化

人生に寄り添う花を届けるために

西田:今後の展望を教えていただけますか?

吉川:“社員の人生に寄り添う花”をテーマに、入社から退職まで、節目ごとに花を通じたコミュニケーションを広げていきたいと考えています。

西田:具体的にどんな場面でしょうか?

吉川:入社時は「これからサポートします」、結婚時は「新しい家庭を応援します」、出産時は「困ったときは会社に頼ってくださいね」、そして勤続10年・20年の節目には「支えてくれたご家族へ感謝を」と花にメッセージを添えるイメージです。

8000日の感謝を花束に込めて。花キューピットがつくる新しい花文化

西田:すばらしい。最後に、花キューピットで上手に注文するコツを教えてください。

吉川:基本は「用途」「誰に」「どんなシチュエーションで」「予算」の4つを伝えることです。

相手の性格や雰囲気を少し加えると、花屋さんもイメージをつかみやすく、より心の込もった花束になります。

西田:なるほど。詳しく伝えるほど、花屋さんもつくりがいがありますね。

吉川:思いをしっかり伝えていただけると、より素敵な花をお届けできます。

西田:花を通じた人と人のつながりが、これからも広がっていくのを楽しみにしています。

8000日の感謝を花束に込めて。花キューピットがつくる新しい花文化

TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

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