杉尾真吾さん(Part 1)
埼玉県秩父市出身のオペラ歌手。武蔵野音楽大学声楽科、大学院修士課程を修了し、俳優・ミュージカル歌手として芸能界デビューした後、オペラ界へ進出。
杉尾:どうも、杉尾慎吾と申します! オペラ歌手をやらさせていただいております。みなさん、こんにちは!
JK:この声、圧倒されちゃいます。見た目もすごいのよ! コバルトブルーのスーツをお召しで。
杉尾:今日はコシノさんにお会いするので、一張羅を着てきました。
JK:身長もあるし、かっこいいし、この声でいらっしゃるからオペラにはぴったんこですよね。
杉尾:そう言っていただけると嬉しいですね。身長は181センチあります。
JK:舞台映えしますね! なんだってマイクいらないし。
杉尾:居酒屋に行った時、僕が話してることはお店のお客さん全員に知れ渡ってしまうっていう(- -;) 悪い話ができません(笑)
JK:秘密の小さい声は無理ね、丸聞こえ(^^)
出水:大学院で勉強する前からこのボリュームだったんですか?
杉尾:やっぱり毎日発声練習をしてるうちに、歌声に喋り声が近づいていってしまう。学生の頃は人と喋るより、歌ってる時間の方が長かったりするから。
JK:喋ってるのも歌ってるのも一緒なんですね。
出水:今日は杉尾さんとジュンコさんの出会いからお聞きしたいんですが・・・
JK:アメリカンクラブでね、ちょうどジョン・健・ヌッツォさんもいて・・・またこの2人の話を聞いてるとすごかったのよ! オペラの話だのなんだのって。2人の声がすごいんで、周りの人がみんな聞いてましたよ。
杉尾:ヌッツォさんは海外でも大変活躍される大歌手なので、発声理論の話とか、海外の歌手のすごい話とか歴史のこととか教えていただいたり、とても盛り上がってましたね。
JK:あれこそラジオで聞いていただきたい内容。そんなで思わず「来てね」ってなっちゃった。
出水:ジョン・健・ヌッツォさんと声の質は違いますが、共通する部分はたくさんあるんですか?
杉尾:もちろん。発声は声が違っても基本的に目指すところは一緒なので。ジョン・健・ヌッツォさんはいわゆるテノール、男声の高い声ですね。私はバスという一番低い声なんですけど、とっても悲しい話がありまして・・・オペラってどうやって役が決まるか、ご存知ですか?
JK:女性ならソプラノ。男性はやっぱりテノール。プラシド・ドミンゴさんもテノールだから、主役って決まってるもんね。
杉尾:そうなんです! 声の声種で役が決まるんですね、オペラは。
JK:貫録を見せるために?
杉尾:生やさなきゃいけないっていう感じなんですよね、基本的に。僕は髭を剃ると可愛らしい顔になってしまうので、あまりに役柄と合わないっていうのもありまして(^^)私、オペラ界では少しイケメンと言われてる方なんですけど、「無駄づかい」と言われてます(笑)イケメンのバスの役はあんまりないので。
JK:お会いした時もカッコかっこいい人だなって思った。ただ、テノールじゃないっていうのが残念ですね。
杉尾:そうなんですよ! いつも現場に入るたびに「杉尾くんがテノールだったらよかったな」って言われることが笑い話としてあるんですよね。ただ、バスにも素晴らしい役がたくさんあるので。
出水:年齢を重ねていくと、役にどんどんマッチしていく楽しさがありますね。
杉尾:だから40~50代が僕の全盛期になるんじゃないかなと思います。今35ですけど。
出水:他の声種にもチャレンジしたことってあるんですか?
杉尾:僕は最初から師匠に「真吾はバスだな」って言われたところから始まっているので、最初からバスでしたね。やっぱりどちらかというと声が低かったです。
JK:ジョン・健・ヌッツォさんはあんまりオペラ出ないですよね。もうソリストで。
杉尾:そうですね。声楽1本でやっている。僕は逆にオペラ1本でやってるぐらい、オペラの出演が多いです。大体1ヶ月に1本ぐらい。
出水:オペラは何年前、どの作品でデビューしたんですか?
杉尾:最初はですね、ちゃんと商業的に大きな公演のデビューは28歳の時に「紅天女」というオペラ。美内すずえさんの「ガラスの仮面」に出てくる劇中劇のオペラを新製作で作りまして、それまで別の仕事をやってたんですけど、オーディションを受けて、帝という大きい役でデビューさせていただきました。いきなりオーチャードホールからデビューさせていただいたところからオペラのキャリアは始まりました。
JK:最初からすごいじゃないですか! 何歳からオペラに関係していたんですか。
杉尾:24まで大学院で声楽の勉強してたんですけど、ひょんなことでスカウトがありまして・・・一度芸能界で俳優として活動させていただきまして、3年間ぐらいやってたんですよ。それこそTBSアクトシアターで「グランドホテル」というミュージカルに出させていただいたり、あとTBSだと「IQ246~華麗なる事件簿~」っていう織田裕二さんが主演なさってたドラマに本当にちょい役で出させていただいたりとか、そういうことをやっておりました。
杉尾:今日はコシノさんが文化勲章を受章されたということで、プレゼントとしてフランク・シナトラさんで有名な、クロード・フランソ作曲の「My Way」を日本語バージョンで歌わせていただこうと思います。
JK:わぁ、ありがとうございます! 縁起がいいわ!
出水:声質の向こう側に強さみたいなのがビシビシ伝わってきました! ・・・マイク壊れなかったですか?!
JK:素晴らしかった! こんな大きな声で歌って初めてよね? みんな歌ってくれるんだけど、声の質が違うんだよね。
杉尾:本当ですか? 2000人の劇場でも僕の生の声は通りますので、ぜひ劇場に!
JK:常に一番大きなマイクを持っていますね(笑)今後は世界のどんなところで歌いたいですか?
杉尾:ええっ。一番目指したいところはイタリアのスカラ座に行けたら最高ですけどね~! 僕はイタリアが大好きなんですよ!! いつか行きたいなと思っております。
JK:オペラはイタリア語ですから。いつかこの声が届きますよ。
出水:杉尾さんは素晴らしい歌声の持ち主ですけど、実はピアノもお上手で、「芸能界特技王決定戦TEPPEN」という番組にも出演されているということですが?
杉尾:これ伝説がございまして・・・この番組って、ピアノでミスタッチをすると火がついて、5回ミスタッチすると奈落に落ちるんですね。僕、歌は緊張しないんですけど、ピアノはめちゃめちゃ緊張するんです。リハーサルは人がいなかったんで、上手く弾けちゃったもんだから「杉尾さん優勝候補なんじゃないか?!」みたいな流れだったんですけど、本番になったら手が震えちゃって、たった3小節の間で5回ミスタッチしまして(^^) 火がボンボンボンボン!ってついて、一気に奈落の下にガーって落ちまして・・・私のピアノが上手いという噂は、噂でしかございません(笑)歌1本の男でございます!
出水:国内外で数々の賞も受賞しています。印象に残っているもの、思い出深いものはありますか?
杉尾:第48回イタリア声楽コンコルソは、僕がオペラ歌手になろうと決めた28歳の時に、一番最初に受けたコンクールでいきなり優勝させていただいた。
JK:すごいですね! ライバルはいました? この人に負けるかっていう。
杉尾:逆に久しぶりにオペラ界に戻ってきたばっかりだったんで、あまり知り合いもいなかったのも良かったのかもしれないですね。
JK:意識しないで、マイペースでね。
杉尾:第2回イブラ・グランド・アワード・ジャパンは「デビ夫人コンクール」と呼ばれてまして、デビ夫人が審査委員長を務めているコンクール。この時テノールの秋川さんも審査員なさってまして、こちらも優勝させていただいて、副賞としてカーネギーホールで歌わせていただいた。
JK:副賞どころか、最高じゃないですか!
杉尾:それとシチリアの音楽祭にも日本代表として呼んでいただいたんですけど、とっても嬉しかったのが、音楽祭のプロデューサーが「日本人だけど君をこの音楽祭のトリにする」って言ってくださって。本当にとても幸せな思い出ですね。
JK:ほんと~! それはすごい! それから外国で出るチャンスって?
杉尾:それがなかなかつながらないんですよね~。それが日本のコンクールのなかなか難しいところなんですよね。
JK:向こうのコンクールに出てみたらどうですか、今度は?
杉尾:そうですね、いつかそうしたいですね!! コシノさんが応援してくれれば頑張れるかもしれません!
JK:みんなで応援します!でもその資格はあるわね。楽しみだわ、それ目指しましょう!
(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)

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