今日は、活躍が期待される新しいドローンの話題です。

日本初!段ボール製ドローン

名古屋のスタートアップAirKamuy(エアカムイ)が「段ボール製のドローン」を開発して注目されています。

プロペラなどの動力部分を除く大部分が段ボールでできている、世界的にもめずらしい機体。

どんな特徴があるのか、AirKamuy代表の山口拓海さんに伺いました。

株式会社AirKamuy・代表取締役CEO・山口拓海さん

一般的なドローンはどちらかというとヘリコプターに近いような形の考えになるんですけども、我々の段ボールドローンはですね、いわゆる飛行機と同じような形になりまして、他のドローンよりもスピードも速くなりますし、あと燃費っていうんですかね、少ないエネルギーで飛び続けることができるというところが、結果的には長く飛べるということになるんです。まず一番いただくのは「雨降って大丈夫ですか」というところなんですけれども、ここに関しては防水加工をしたダンボールを使うとか、また防水加工をそのままするとか、そういった形で雨の中でも何回かは飛べるぐらいの防水性はあるという形になります。値段の結構なウェイトを占めているのが、いわゆる電子機器の部分でダンボールの部分ではございませんので、その辺あたりが回収できているのであれば、ダンボールの部分だけを付け替えてもらって、安く使い続けていただくようなこともできるようにしたいなと思っております。

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段ボールドローン「AirKamuy 150」

ドローンは1機、数百万円、中には数千万円とかなり高額なので、自治体や企業が大量にドローンを揃えたいと思っても、中々難しいんです・・・そこで目を付けたのが「段ボール」。

どこにでも流通しているため、大量生産に向いていて価格も30万円程度と、ドローンの中では安価です。

また、組み立て式で素人でもたった5分程度で簡単に組み立てることができます!大きさは、全長約1.7m、横幅1.8m。重さは7キロで両手で持ち上げられますし、1.5キロの荷物を運べる耐久性もあります。

段ボールドローン 防衛・防災に期待
段ボールドローン「AirKamuy 150」

ヘリコプター型ではなく飛行機型にしたのは、速く・長く飛べるから。最高時速120キロ!飛行時間はヘリコプター型が数十分~1時間程度のところ、この段ボールドローンは1.5時間飛行可能です。

安全保障の面で私たちを守る存在に。

こうした特徴から、安全保障の訓練用としても注目されています。

再びエアカムイ山口拓海さんのお話です。

株式会社AirKamuy・代表取締役CEO・山口拓海さん


1個何千万円、何百万円するドローンを使って操縦の訓練すると私だとビビってしまいますけども、1個数十万円のドローンと言われたら気楽に訓練もできますし、コストも抑えて訓練をしていただけるのかなっていうところもありますし、あとは逆に今ドローンが攻めてくるということもですね、想定をしなきゃいけない時代になっておりますので、訓練の中でもドローンを対処する、撃ち落とすような訓練とかにも標的機とかターゲットドローンという言い方をするんですけども、敵役のドローンをこの段ボールドローンでやって、実際に撃ち落としてしまうような使い方もあったりするのかなと思っております。やっぱり我々は、最初、人命を失うリスクを減らしたいというところでスタートしておりますので、ドローンの活用を進めていく技術を進歩させていくことによって、そうしたことを少しでも減らすようなことに繋げられたら、我々としては一番いいのかなというふうに考えているところでございます。

速いスピードで長時間飛べるため、災害現場の捜索や被災状況の把握などに期待できそうですよね。ただ、それにはまだ時間がかかりそうなんです・・・というのも、法規制や、自衛隊・自治体との連携問題。また、ドローンを操縦できる人材の確保が追い付いていない、などの課題があるからなんです。

最近の自然災害や大火災のニュースを見ていると、段ボールドローンだけでなく、様々なタイプのドローンの活用が重要になります。

人材確保のカギとなるか?「ドローン減災士」

そんな中、この人材確保のカギを握りそうな「ドローン減災士」という民間資格の取り組みを見つけました。ドローン減災士協会の前田稔朗さんのお話です。

一般社団法人ドローン減災士協会(DEO)・事務局長・前田稔朗さん

全国にたくさんのドローンスクールがあるんですけども、それなりに皆さん行政との災害時等における無人航空機の運用に関する協定を結んでいるんですけども、実際に災害があった時にどういうふうな役割をして、どういうふうなことをしたらいいかというふうなことの勉強会をすると。原災指揮協会のテキストを作ってですね、そういう勉強をさせていただいているのが現状なわけです。今全国で四百数十名、原災指揮のメンバーがいるんですけども、災害があった時のニーズはですね、平時の訓練であるとか、測量であるとか行方不明者の捜索とか、広報活動とかいろんなことができますので、要するに、官と民のちょうど中間に、この減災士協会がいてですね、いろんなところに派遣できるというふうなネットワーク作りを今しているのが現状でございます。

災害の知識とドローンの知識・技術を兼ね備えたスペシャリストが各地の防災訓練や、災害現場に派遣され活躍する場面が広がっています。新しいドローンの登場とともに、法律の整備や人材育成も進める必要があると感じました。

機体や技術が進化しても、動かす人がいなきゃ始まりません。技術と人材、両輪でようやくドローンの力が発揮される時代です。


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:糸山仁恵)

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