今週は地震のニュースで心配な思いをされている方も多いと思いますが、12月6日(月)深夜に発生した、青森県沖での地震。この地震を受けて気象庁は、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。

「地震予知」ではない。でも普段より可能性は高まっている

対象エリアとして、関東地方でも茨城県と千葉県の沿岸部が含まれていますが、改めてこの情報が出たことで私たちはどう備えればいいのか?備え・防災アドバイザーの高荷 智也さんに聞きました。

備え・防災アドバイザー 高荷 智也さん

今回発表された「北海道三陸沖後発地震注意情報」ですが、この情報はこの後、巨大地震=「マグニチュード9クラス」の巨大地震の発生確率が普段よりも高まっているということを知らせる「お知らせ」です。地震の予知ではなく、お知らせが発表されたということになります。統計的には「1%程度」の確率という言い方になります。

対象エリアには、茨城、千葉の太平洋側が含まれておりますが、これは震度6弱以上の強い揺れ、もしくは大きな津波の直撃を受けるエリアが、特に注意が必要なエリアということになっている。

普段から防災対策をきちんとしてるよ、という方でしたら、実はやることはほとんどありません。一方で、あまり防災してこなかったな、という方に関しては、改めて、最低三日分、できれば一週間分、生活物資、停電・断水に備えた備え、そういったものをご家庭で準備をしていただきたいと思います。

「後発地震注意情報」は、マグニチュード7以上の地震が起こった場合、このあとに続けて起こる地震=後発地震に注意を促すものです。去年8月に発表された「南海トラフ臨時情報」と少し似ていますが、「直ちに避難してください」というものではなく、「普段よりも地震の可能性がわずかに高まっているので、特に今後一週間は、家庭内での備蓄や、避難経路の確認などをしておきましょう」というお知らせです。

避難経路で特に高荷さんがお勧めしていたのが、国土交通省の「重ねるハザードマップ」というサイト。登録不要・無料で、スマホやパソコンから日本全国のハザードマップが見られます。

インターネットで「重ねるハザードマップ」と検索すると、グーグルマップのように拡大縮小できる地図が出てきます。今自分がいる場所の周りで、津波が来るのか、土砂災害が起こるのか、洪水が起こるのか。避難場所もマップ上でチェックできます。

そしてもう一つ。先週、このコーナーで紹介した、避難誘導システム「キタコンDX」も改めて紹介します。これは東京都内限定ですが、LINEアプリで「帰宅困難者対策支援」と検索して、お友達登録しておくと、首都直下地震などが起きた際に、帰宅困難者を受け入れる「一時滞在施設」が検索できるシステムです(ただし、平時には動作しないので注意。災害時に初めて機能するシステムなので、今のうちに登録を)。

冬の災害で最も怖いのは「凍死」。一酸化炭素中毒にも注意

そしてこの寒い季節ならではの注意点についても、高荷さんに聞きました。

備え・防災アドバイザー 高荷 智也さん

寒さで命を落とす「凍死対策」というものが極めて重要になります。そのため、津波などで屋外・高台などに逃げる場合や、あるいは停電してしまった学校などに避難をするという場合には、十分な防寒着(上着、手袋、マフラー、帽子)、あるいは夜眠るための寝袋、毛布、それが難しければアルミブランケットのような「防寒用品」は、十分に持って避難をできるようにしていただきたいと思います。

ただし、例えば石油ストーブ、カセットガスストーブ、もしくは発電機を使って暖を取ろうとするという場合には、排気ガス・燃焼ガス等による「一酸化炭素中毒」が問題になります。

もし炎を燃やす・エンジンを回すなどをする場合には、必ず換気をする。また、発電機などは絶対にですね室内では動かしてはいけないとういことで、発電機の置き場所の確認ということは行っていただきたいと思います。

まずは前提として、寒さ対策は重要です。能登半島地震でも、停電した避難所などでは「低体温症」の懸念がありましたが、低体温症は、体温が35度を下回ることで起こる症状で、軽度の症状としては、歯がカチカチ震えるなどの兆候が出るそうです。

ポイントは、「とにかく体温を逃さないこと」。先日の放送でも、気象予報士の長谷部さんが「アルミブランケット」を紹介していましたが、こうしたグッズは冬場は必須かもしれません。

一方で、同時に気をつけなければいけないのが、一酸化炭素中毒です。石油ストーブを使う際などは、換気をしないと命を落とす危険性がありますので、冬場の避難では注意が必要です。

登山でも使われる「飲み込める歯磨き粉」がおススメ

そして、もう一つ。災害時に意外と見落としがちなのが「口腔ケア」です。実は、登山をする人たちの間で使われているアイテムが、防災グッズとしても役立つと注目されています。「石井スポーツ」登山本店の、冨田 和濃さんに伺いました。

「石井スポーツ」登山本店 冨田 和濃さん

特にご紹介したいのが「口腔ケア」に関してです。「オーラルピース」という商品で、すすがなくても済む歯磨き粉です。スプレータイプになりますので、口を開けて2~3回プッシュします。そのプッシュした後で、歯ブラシでいつものように歯磨きをしていただいて、ある程度済んだら、なにか水でもいいので、口の中をゆすいで「そのまま飲んでいただいて」大丈夫です。

ドラッグストアとかで手に入る歯磨き粉というのは、使った後ゆすぐことが大前提になります。水が貴重になりますし、これは乳酸菌由来の素材になりますので、歯磨きをしてそのまま飲み込んでも特に害がないもの。もし万が一それが気持ち悪くて、地面にペッと吐いたとしても、地面に悪影響の少ないものを選ばれています。

まだちょっと認知度は低いかもしれないですけど、もう知る人ぞ知るですね。私も登山でも常に持ってってます。

冬の災害に備えよう!北海道・三陸沖後発地震注意情報を受けての画像はこちら >>
口腔ケア「オーラルピース(スプレータイプ)」: 乳酸菌由来で飲み込んでも害なし。水が貴重な災害時に最適。登山者の間では知る人ぞ知る商品

「オーラルピース」という飲み込める歯磨き粉(日本の企業が開発)。

登山する人にとっては当たり前に使われるそうですが、これが防災グッズとしても役立つとのことです。災害時の口腔ケアは、実は命に関わる問題。口の中が不衛生になると、細菌が増えて、それが肺に入ると「誤嚥性肺炎」を引き起こします。

冬の災害に備えよう!北海道・三陸沖後発地震注意情報を受けて
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ちなみに、今回お話を伺った冨田さんも山登りが趣味で、ご自身の備えはばっちり。リュックサックの中に、飲み物と食べ物、ヘッドライト、バーナーセットや鍋などを入れて、準備しているそうです。

どこで防災グッズを買えばいいかわからない時は、アウトドアショップに行ってみるのも手かもしれません。

TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ

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