ラッパーのTaiTanと玉置周啓(MONO NO AWARE)がパーソナリティを務めるTBSラジオ「脳盗」。2025年も年の瀬に迫った12月13日の放送では、特別企画・TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」をお届け。
ラッパー、クリエイティブ・ディレクター、そしてポッドキャストやラジオの喋り手として活躍するTaiTanがこの1年で触れたもの全てから良かったものをランキングで発表!



TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」とはどんなランキングなのか?

TaiTan: ラッパーのTaiTanです。

玉置: 空腹の玉置周啓です。

TaiTan: まあ確かに、周啓君はよくお腹グーとか鳴ってるよね。

玉置: そうだねぇ。俺は適切なタイミングで食事を摂取できていない側の人間だから。そういう人間もいるんですよ。

TaiTan: 俺の2025年っつーのは、空腹からほど遠いということでね。えー、飯ばっか食ってたということで。

玉置: うん。

TaiTan: あのー、大変だったんですけれども。

玉置: なんだそれ!

TaiTan: 今年「マジで良かったものベスト10」というものを発表すると予告してました。今日はベスト10のうち、ベスト5からベスト3くらいまでいこうかな。前回、僕が惜しくもベスト10に入らなかったものとして挙げたのが、例えば「フジロックのリトル・シムズ」とか「阪神の石井が柳田に打たれた試合」とか「アリ・アスターに会ったこと」とか。

「Mr.Beastのテーマパークができてすごいなと思ったこと」とかが入っているわけです。

玉置: なんだ、その並び。

TaiTan: 今挙げたジャンルからも分かる通り、この「2025年マジで良かったものランキング」っていうのは、全部のジャンル。ジャンル越境型のランキング。全てです。

玉置: 全ての得たものからのランキング。

TaiTan: 映画ベスト10とか名盤ベスト10とかっていうことではない。全て。映画も音楽も飯も服も全て。もうツイートも、誰かとの出会いも、何かの体験・展示、アートみたいなことも全部含めてのベスト10を選んできた。それを発表していきたいと思います。

玉置: よーし。

TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」第10位:「きまぐれクックのうお一番」

TaiTan: タイタンの2025年マジで良かったものベスト10。第10位。「きまぐれクックのうお一番(うおいちばん)」。

TaiTanが選ぶ”2025年マジで良かったものベスト10”...の画像はこちら >>

TaiTan: きまぐれクック、言わずと知れた1400万人を超えるYouTuberでございますけれども。魚捌き系のYouTuberでございますわな。かねこさんっていう人がやっている。俺は寝る前に、きまぐれクックの動画を見るか、『おうち麺TV.』を見るか、『キッタ プロ野球研究所』の野球の雑学解説を見るのよ。好きだからね。

その中で今年、きまぐれクックが『うお一番』っていう、トータルの魚のテーマパークみたいなところを作ったんです。最近そういう動画がアップされて、直近の動画でもずっとその『うお一番』で魚を捌いて、お客さん・視聴者に売ったりする動画とかずっとアップしてんのよ。

玉置: おおー。

TaiTan: つまりトップYouTuberなのに板場に立つ。ずっと朝からなんか卸して、お客さんに直接「今までYouTube見てくれてありがとう」とか言いながら振る舞ってる。

さらに刺身が、近くのレストランかなんかでも食えるようになってて。

玉置: うわ、めっちゃいいじゃん。

TaiTan: 要は魚を巡る一連のトータルのテーマパークみたいなことを、魚捌き系のYouTuber、1400万人というめちゃくちゃでかいメディアを保有した状態にいる人が作った、夢の装置みたいな感じなんですよ。

玉置: いやーすごい、確かに。

TaiTan: っていうのが、俺的には今年めちゃくちゃいいなと思ったこととして、第10位に選びました。

玉置: 素晴らしい。

TaiTan: さっき俺が10位から惜しくもこぼれたけれども。俺もいつかやってみてえなと思うこととして、心が動いた事例として、Mr.Beastがサウジアラビアに作ったテーマパーク。こういうニュースを見るだけで、「あ!俺もそういうことできるようになりたい」と。元々そういう発想の人間。だからこそコンビニ作ったりしたし、いろいろなんか場を作ってみたりするわけだが。「ああ、こういう実践してる人が、とうとう出てきたんだ」っていうことで。

玉置: なるほど。

TaiTan: それこそエンパワーされるわけですよね、きまぐれクックとかに。めっちゃかっけえ。だって今までインフルエンサーなんてめちゃくちゃ舐められた職業だったわけで。要は「どうせなんかあれだろ」「メントスぺっぺーだろ」みたいなことを思われていた存在。彼らがフォロワーみたいなものを稼ぐ、再生数を稼ぐみたいなことの先にあった横展開した商売として、せいぜいがブランド作るとか。服やってアパレルやって。「ファンに向けて売るとかくらいのもんでしょ」って思われていたところに、きまぐれクックがこういう形で産業とか業界そのものを支えうる地元の、一大テーマパークみたいなものを作った。

要は雇用そのものを作っちゃうみたいなところまで進出してきているっていうのが、もう~痛快。めちゃくちゃ美しいなと思った。それが東京とかでやらずに、愛知県の自分たちのフッドでやるっていうことが、極めてラッパーっぽい。

玉置: なるほど。

TaiTan: というのは、リスナーがコメントで教えてくれた話ではあるんだけど。本当にそういうラッパーっぽさがあって、かっこいいなと。

玉置: そのフッドとの向き合い方とか含めてね。確かに。

TaiTan: 東京への過剰な接続とかも全く必要としない在り方。それが経済的にも、合理的だし。自分の身の回りにいる仲間とかに対する還元みたいな意味でも非常に説得力がある。

玉置: 確かに。いやめっちゃ素晴らしい。

TaiTan: これ2025年的だなと思った話ですね。

玉置: はいはいはい。

TaiTan: 朝倉未来は『BreakingDown』っていう装置を作って、自分たちのフッドを盛り上げようとしてる。

きまぐれクックは魚のテーマパークっていう形でやってる。めちゃくちゃ面白い。じゃあ翻って俺たちは何をやろうかなっていうこととかを2026年に考えなきゃなと思ったりしたね。

玉置: おお、いいね。はっぱをかけられるほどのことが起きているという。

TaiTan: めっちゃかっこいい。めっちゃくちゃかっこいいと思った。

玉置: そうね、確かに。

TaiTan: なんかヒカキンの『みそきん』もいいんだけど、やっぱりきまぐれクックの方がやっぱ圧倒的な雇用を生んでいるという感じが面白いなと思った。

玉置: そうね。あとこの人が自身のブランド価値みたいなものに、みんなが集うみたいな形じゃないのがいいよね。この人が好きな“魚を捌く”という行為の元に人が集まってくるっていう。それが結果的にフッドを大切にするってことに繋がっていきやすいんだと思うんだよね。属人的じゃないから。最初はきまぐれクックを見てて、彼に会いたくてで人が集まるかもだけど。だんだんお魚を食べる事自体とか捌くこと自体に興味が移っていくっていう可能性がいいよね。

TaiTan: そう。次の未来に何か繋がるアクションっていうことじゃん。「あ、魚って捌くと美味しそう」とか、「こういうところで働いてみたい」みたいな。

玉置: うんうん。

TaiTan: それこそがめっちゃ大事。だから本当だからYZERRは『FORCEフェス』でそういうのやってるけど。

玉置: うんうん。そうだ。

TaiTan: きまぐれクックはこういう……かねこさん、かっこいいなと思いましたっていうのが第10位。なんと!この熱量ですら第10位なんだということが、2025年マジで良かったものランキングのすごいところ。

玉置: おお!

TaiTan: はい。さあ、こういう感じで、どんどん進んでいきます。はい、きまぐれクックの魚一番が第10位でした。

TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」第9位:「モチハグのムーミン」

TaiTan: さあ次は第9位!TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」、第9位は「モチハグのムーミン」。

TaiTanが選ぶ”2025年マジで良かったものベスト10”第10位~第9位

玉置: 来た。

TaiTan: おい!(BGMに)ムーミンのテーマソングを流してくださいね。必ずですよ。「モチハグのムーミン」。これはぬいぐるみですね。夏に『ムーミン展』を妻と2人でわーって見て。結構ムーミンがなんか飾ってあんだよ!

玉置: そらそうだろうな!展示だからね。

TaiTan: 『ムーミン展』だからね。

玉置: いや、当たり前だろ。なんだそれ。

TaiTan: ムーミンの誕生とか戦争の時のムーミンとかね。そういうものをわーって描きながらムーミンが飾ってあんだよ。最後に、ギフトショップっていうのがあってさ。

玉置: ミュージアムは大体あるよね。

TaiTan: ねぇ?きまぐれクックとの違いもう気付いてる?

玉置: (笑)。お前がもう出口にいるっていうことに驚愕してる。

TaiTan: このモチハグのムーミンは、ムーミンの形をした抱き枕。抱きのぬいぐるみなんだけど。

玉置: はいはいはい。見たことある、君んちにあるやつ。

TaiTan: 展示とかやっぱり関係ない。展示とか全く関係なくって、ギフトショップでたまたま売ってるのを見かけて、目が合っちゃったの。なんか眠ってんのよ、ムーミンが。

玉置: おお。可愛い。

TaiTan: 可愛い。大体ね、100センチくらいあるかも。100はねえか。80から70くらい。

玉置: けっこうでかいよね。小3くらい。

TaiTan: ムーミンが眠って横たわっているぬいぐるみなんだけど。目が合っちゃってさぁ。あいつは眠っていると言うのに、「僕を持って帰ってよ」っていう顔でこっちを見て……。

玉置: いいじゃん。

TaiTan: 正直展示には何も思わなかったんだけど、「こいつに出会っちゃったらもう最後か」と思って、買った。

玉置: いいね。

TaiTan: まあまあの値段したんだよ。ぬいぐるみ。

玉置: いくら?

TaiTan: ぬいぐるみってさ、巨大になればなるほどさ、平気で1万2000円とかいくじゃん。

玉置: いやそうだよね。そんなイメージあるよ。

TaiTan: モチハグの、俺が買ったやつはね6000円くらいしたはずだな。

玉置: いい値段するね、やっぱり。

TaiTan: 可愛いなと思って買って。で、そんなに期待してなかったんだけど。家でね、その封開けて、なんかその夜、そいつを、まあ「モチハグ」っつー話なんで、こうモチモチしてんだよ素材が。

玉置: なるほど。

TaiTan: これ触ればわかんだけど。てか触ったことある? 俺の家で。

玉置: 多分ある。あのなんかフッサフサとかそういう感じじゃないってことだよね。

TaiTan: そう、なんかモチモチしてんのよ、ぬいぐるみが。なんかしかもちゃんとこう弾力がある形のモチモチ感みたいな感じで。で、まあなんかどんなもんかなと思ってその夜わーって、そのムーミンにくるまって、寝たんよ。

玉置: おお。

TaiTan: したら、めちゃくちゃ快眠だったの、その時。

玉置: ええ。

TaiTan: 「あ!俺って抱き枕みたいなものが欲しかったんだ」って、初めて自分の欲望に気づいた。

玉置: おお、めっちゃいいじゃん。

TaiTan: それ以来、俺はこのモチハグがなくては眠れない体になった。

玉置: いやー、すごい。

TaiTan: だから第9位がモチハグのムーミン。モチハグ。

玉置: 確かに意外だね。抱き枕って、抱くまではその欲望あるって確かに気づけないよな。

TaiTan: そう!

玉置: それがあったらなって思うことがあんまりないもんね。そこが面白いね。

TaiTan: そうなんだよ。仰向けか横向きとかでさ。実は横向きで寝るの良くないよとかみんな言うじゃん。寝付き悪くなるとか、呼吸が浅くなるとかさ。そんなことよりも何よりも、やっぱこう「抱きぬい」の存在によって、俺は32年間でようやく自分のベストスリーピングスタイルを獲得したっていう。

玉置: 面白い。これはだいぶ意外だ。

TaiTan: うん。

玉置: 起きて嫌な気もしないしね。なんか無機質な棒じゃないもんね、そのムーミンは。

TaiTan: 無機質な棒って何? ストレッチポールとかのこと??

玉置: みたいなこと。

TaiTan: ストレッチポールを抱いて寝てない!

玉置: だから。ムーミンなんでしょ?だからストレッチポール抱いて寝たらさ、なんかやっぱ起きた時の虚しさったら無いんだろな。

TaiTan: ストレッチポール抱いて寝るやつは、そもそもいないんだよ。

玉置: そうなの?

TaiTan: なんなのその?

玉置: え、あれって寝る時も使える……同じ意味じゃないの?いや知らない、俺も予想で言ってる。

TaiTan: 違うよ、違うよ。ストレッチポールはただ寝っ転がってるだけで背骨が矯正されてめっちゃいいよねっていう話。

玉置: あ、そういうことか(笑)。同じような形状だったとしても、やっぱあの命が宿ってる感じがするのがいいよねって、目覚めもいい。

TaiTan: いい!「ぬいの時代だ」と言われて久しいですが、この大きさになってもなおこう「ぬい」っていうのはいいんだなって思ったね。

玉置: いいね。いやー。

TaiTan: とくにね、可愛いんだよね。ムーミンが。

玉置: ムーミンは本当に可愛いよ。

TaiTan: 可愛い。だから俺はもう決めてる。埼玉の方にムーミンのテーマパークができたんですよ。それこそ広大な敷地でね。ジブリのテーマパークみたいなののムーミン版みたいな。

玉置: へえ、そうなんだ。

TaiTan: あるんだよ。そこ行こうかなと思って。展示はそんな大したことないから、また別の種類のモチハグを買おうかなと思っている、というのが2025年でした。

玉置: はいはいはい。

TaiTan: はい。というのがモチハグでございます。

(TBSラジオ『脳盗』より抜粋)

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