今日はクリスマスイブ。これから年末年始にかけて家族や友人と集まる機会もふえるのでは・・・?そんな時におすすめな「ボードゲーム」の話題です。
ボードゲームといえば、オセロや人生ゲームなどが昔から定番のものもありますが、実は今、新作のボードゲームがとても熱いんです!
毎年7月に、世界の優れたボードゲームを表彰する祭典がドイツで開かれていて、今年は、日本人の制作チームが作った「ボムバスターズ」という作品が、日本勢として初めて大賞を受賞しました!
大賞を受賞したボムバスターズこれはボードゲームでは世界最高峰の賞ということ。
日本のアナログゲームを支える存在
日本を代表するゲームデザイナーのカナイセイジさんに、今回の受賞がどのくらいすごいことなのか、日本のボードゲームについて伺いました。
アナログゲームデザイナー・カナイセイジさん
ドイツ年間ゲーム大賞という賞ですね。サッカーで言うなら本当にワールドカップ。すごいですよ。ついに登り詰めたなというところですね。今だとアメリカとかフランスとかにもすごい賞がありまして、そういうところにも日本人が食い込んでいます。
日本って結構オリジナリティが高いって言いますか、海外に比べるとアマチュアの制作者の方がめちゃくちゃ多いんですね。これは昔からコミックマーケットでそういうのを表現する場所が、わりとしっかり用意されています。そういったところで新作がすさまじい数出てますし、進化のスピードも速いですよね。そういったものを探しにやっぱり海外のパブリッシュ屋さん(出版社)も来ていると。注目度はすごい上がっていると思います。
日本のボードゲームはアマチュア制作者の方が支えている部分もあるんですね!
今回大賞を受賞した「ボムバスターズ」は、各プレイヤーが爆弾処理班としてチームを組み、爆弾を解除する、協力型推理ゲーム。
最近のボードゲームは「対戦型」ではなくこの「協力型」が増えているそうなんです。「協力型」は、遊びながら自然とコミュニケーションが生まれるところが日本人の性格にもあっているんだとか。
現代人はとにかく余暇時間がない・・・!!
ただ今はスマートフォン一台で、ゲームから映画、ドラマ、動画配信と、簡単にいろんなエンタメが楽しめるので、ボードゲームを制作する方たちは大変なんだそうです。再びカナイさんのお話です。
アナログゲームデザイナー・カナイセイジさん
今ってこれもう本当に人類共通の課題というか、もう余暇時間がないんですよ。限界なんです。何がヤバいって、一番ヤバいのがサブスクリプションなんですね。あれがガッツリ時間を取っていっちゃうし、それに加えてTikTok、ショート動画みたいな、短い時間で刺激の強い面白いものもいっぱいありますし、そういった中で、もう本当に人間に限られている余暇時間を、あらゆるホビーで奪い合っている状態なんですよね。当然そこにはデジタルのゲームとかも絡んできますし、その中でこの楽しみを残していきたいというのはやっぱりありますね。
たくさんのホビーがある中で、私たちの「余暇時間」をデジタルコンテンツに使っている方が多いのではないでしょうか。
ボードゲームも最近は、説明が簡単であること、いかに早くスッとゲームに入れるかというのが重視されているそうです。
ボードゲームだから味わえる非日常感
そんな中で、最近のボードゲームで遊んだ人たちは、どこ魅力を感じているのか。都内のボードゲームカフェで聞いてみました。
▶普段使わない頭を使うんで、論理的思考力とか、人の心理とかもわかるんで。ここの局面でこういう行動するんだとか、知らない部分も知れるんで面白いなと思います。
▶年齢とか性別に関係なく、いろんな人と楽しめるのが魅力だと思います。
▶初めて遊ぶメンツでもボードゲームなら外れないかなって遊ぶことが多いですね。盛り上がります、話題無くても。
▶スマホを置いて喋れるっていうのはボードゲームの魅力だと思いますし、やってくうちにハマってくんだなていう面白さが感じられました。
ゲームそのものを楽しむことはもちろん、ゲームを通じて、その場にいるみんなで楽しい時間を過ごすということを目的としている人が多い印象。「脱スマホ」できるという方もいましたね。
このようにボードゲームが新しいユーザーを広げている中、単なる娯楽ではなく「体験の場」としても活用され始めています。例えば和歌山県では、ボードゲームを防災に活用して、「きいちゃんの災害避難ゲーム」を制作しました。防災課の小畑綾乃さんのお話です。
和歌山県 防災企画課 主事・小畑 綾乃さん
南海トラフ地震が起きたときに、和歌山県ではすぐに津波が来ると予想されているんですけれども、その状況の中でどのように避難したらよいのかだとか、避難所の運営を自分たちでしなければならなくなったときにどうするのか、そのようなことを子どもから高齢者まで気軽に楽しみながら模擬体験できて、なおかつ学べるツールがあればというところから制作が始まりました。
1プレイで2周していただく構成になっていまして、1周目は何も事前準備をしないまま津波から逃げ切れるかっていうのをやっていただく。2周目は事前準備カードというのがありまして、そちらで事前準備していただいた上で津波から逃げ切れるかどうかというのを模擬体験していただくという形をとっているので、2周目終わった時に「こういうところで逃げるの時間かかったね」みたいなのを予習できるかなと思います。
このゲームは「防災」での活用ですが、ほかにも地方創生やSDGS、異文化理解など、さまざまな分野で「体験型ツール」としてボードゲームが注目されています。
同じテーブルを囲んで、同じ時間、体験を共有する・・・年末年始はそういう時間を作るのもいいかもしれませんね。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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