今日はクリスマス。ローストチキンやフライドチキンを楽しみにしている方も多いと思いますが、じつは今、国産の鶏肉が記録的な値上がりをしていて、食卓にも影響が出ているようです。

鶏むね肉・もも肉が、過去にない値上げ!

横浜市の「スーパーマーケット セルシオ和田町店」の店長、鶴田 英明さんに伺いました。

「スーパーマーケット セルシオ和田町店」店長 鶴田 英明さん

「鶏もも肉」でいうと、昨年でいうと100グラムあたり「99円」、それが今年は「119円」。「鶏むね肉」に関しては100グラム「59円」で、今年は「79円」。大体2割~3割程度高くなっているというところですね。

過去まれに見る値上がりで、やはり料理で欠かせないものになるので、その価格が高いと、「このお店は高いな」って思われやすいので、なるべく頑張って価格を抑えるような工夫はしてますね。

まぁ、今年は比較的おうちでクリスマスをやられる方が多いのかなっていう印象ですよね。これだけ物価が高くなってきてるからっていうので。で、平日じゃないですか。昨日もセールやってたんですけど、かなり大盛況でしたね。もうごった返してましたよ。ごった返してた。

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<スーパーセルシオ和田町店>
鶏肉ショックにハムショック!クリスマスの食卓に打撃
<もも肉は100グラム119円>
鶏肉ショックにハムショック!クリスマスの食卓に打撃
<もも肉・むね肉ともに値上がり傾向の中、「不揃い手羽元」がお買い得とのこと>

12年間、食肉売り場を見てきた鶴田さんも「過去まれに見る値上がり」と驚いていました。12月23日に行われた、月に一度のセールでは、100グラム50円を切る価格で販売。

店内がごった返したそうです。

鶏肉ショックにハムショック!クリスマスの食卓に打撃
<クリスマスのローストチキン>

「国産「むね肉」が高騰 — 飼料代とむね肉ブーム」

それにしても、なぜこれほど値上がりしているの これっか?これって、鳥インフルエンザの影響なのでしょうか?畜産に詳しい食品ジャーナリスト、高橋 寛さんに伺いました。

食品ジャーナリスト 高橋 寛さん

11月現在で、「もも肉」の値上がりが16%値上がったんですね、5年前と比べて。じゃあ「むね肉」の方はどうなってるかというと、97%上がってるんですよ、つまり2倍になってるんです価格が。

鶏のむね肉っていうのはヘルシーだと、ダイエットにいいということが浸透して着ましてね。食べてみると美味しい。需要が多いと価格が上がってくるということなんですね。

よく言われるのは鳥インフルエンザと言われるんですが、鳥インフルエンザあまり関係ないです、実は。鳥インフルエンザはですね、若鳥の方にはあまり出ないんですね。一番の問題は「卵の鳥」でして、お肉用とは実際違う鳥なんですが、肉用系=若鳥の方にはあまり出ません。いろいろ理由はあるんですけれども、鶏肉を作るコストが上がって、それにプラスして、むね肉の需要がドンと増えたと。

国産のむね肉は、実は5年前から、じりじりと値上がりが続いていました。意外だったのが、鳥インフルエンザの影響は少ないということ。

鳥インフルは主に「卵を産む鶏」に発生するそうで、実際、今年1月に国内で過去最悪レベルの鳥インフルが発生して、800万羽以上が殺処分されましたが、その9割が卵用の鶏だったそうです。一方、肉用の若鳥は2ヶ月ほどで出荷されるため、飼育期間が短く影響を受けにくいそうです。

では、なぜ値上がりしているのか? 理由は2つあります。

1つは「円安で飼料代が高騰」していること。これは牛肉や豚肉でもよく聞く話です。そしてもう1つが「むね肉ブーム」。むね肉はパサパサするイメージですが、サラダチキンの登場で「しっとりジューシーで美味しい」と評判になり、高タンパク・低カロリーで筋トレする人の必需品に。今では「もも肉」との価格差が、ぐっと縮まっているんです。

ハムショック!スペイン産が輸出ストップ

さて、ここまで聞くと「鶏肉が高いなら、他のお肉はどうかな?」と考える方もいるかもしれません。ですが実は、豚肉の方でも、ある変化が起きていました。再び、高橋さんのお話です。

食品ジャーナリスト 高橋 寛さん

何か変化どころの騒ぎじゃなくてですね。

スペインで「アフリカ豚熱」というですね伝染病が出たんですよ。このアフリカ豚熱っていうのはですね、豚にとってみると非常に怖い伝染病でして、人は全然もう平気の平左、全く問題ないんですけど、豚にうつったら死んじゃうと、こういう恐ろしい病気なんですけど。

それがスペインで見つかったんですね、11月28日だったんですけれども。もう見つかった途端に輸入停止になりました、日本は。スペインからの豚肉はもう全面禁止になっちゃったんですね。

日本がヨーロッパから一番豚肉を輸入してるのはスペインから輸入しておりまして。スペインっていえば、ハモンセラーノとか、ハモンイベリコとか、こういう生ハムがあるんですけれど、なくなっちゃう。クリスマスのシーズンなんですけれど、今ある在庫のみということになるんですね、日本に入ってる。

11月末にスペインで「アフリカ豚熱」が発生し、日本は即座に輸入を全面停止しました。実は、2022年にイタリアでも同じことが起きていますが、あれから4年経った今も、まだ輸入停止が続いているんです。

そして、困るのは生ハムだけではありません。スペイン産の冷凍豚肉は、日本に入ってくる豚肉全体のおよそ3割を占めていて、用途はベーコン、チャーシュー、角煮など、日常的に使う加工品なんです。

毎日の食卓に欠かせないものにも、影響は大きそうです。

鶏肉ショックにハムショック!クリスマスの食卓に打撃
<番外編:セルシオでは、こちらも高騰している「いくら」の販売をやめて、代替品として「とびっ子」をお買い得に販売しているそうです>

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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