ラッパーのTaiTanと玉置周啓(MONO NO AWARE)がパーソナリティを務めるTBSラジオ「脳盗」。特別企画・TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」をお届け。


ラッパー、クリエイティブ・ディレクター、そしてポッドキャストやラジオの喋り手として活躍するTaiTanがこの1年で触れたもの全てからマジで良かったものをランキングで発表!

TaiTan: 映画ベスト10とか名盤ベスト10とかっていうことではない。全て。映画も音楽も飯も服も全て。もうツイートも、誰かとの出会いも、何かの体験・展示、アートみたいなことも全部含めてのベスト10を選んできた。それを発表していきたいと思います。

TaiTanが選ぶ「2025年マジで良かったものベスト10」

第10位:「きまぐれクックのうお一番」

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<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:(きまぐれクックのうお一番から)それこそエンパワーされるわけですよね、きまぐれクックとかに。めっちゃかっけえ。だって今までインフルエンサーなんてめちゃくちゃ舐められた職業だったわけで。要は「どうせなんかあれだろ」「メントスぺっぺーだろ」みたいなことを思われていた存在。彼らがフォロワーみたいなものを稼ぐ、再生数を稼ぐみたいなことの先にあった横展開した商売として、せいぜいがブランド作るとか。服やってアパレルやって。「ファンに向けて売るとかくらいのもんでしょ」って思われていたところに、きまぐれクックがこういう形で産業とか業界そのものを支えうる地元の、一大テーマパークみたいなものを作った。要は雇用そのものを作っちゃうみたいなところまで進出してきているっていうのが、もう~痛快。

めちゃくちゃ美しいなと思った。それが東京とかでやらずに、愛知県の自分たちのフッドでやるっていうことが、極めてラッパーっぽい。

第9位:「モチハグのムーミン」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:「あ!俺って抱き枕みたいなものが欲しかったんだ」って、初めて自分の欲望に気づいた。仰向けか横向きとかでさ。実は横向きで寝るの良くないよとかみんな言うじゃん。寝付き悪くなるとか、呼吸が浅くなるとかさ。そんなことよりも何よりも、やっぱこう「抱きぬい」の存在によって、俺は32年間でようやく自分のベストスリーピングスタイルを獲得したっていう。ぬいの時代だ」と言われて久しいですが、この大きさになってもなおこう「ぬい」っていうのはいいんだなって

第8位:「サイレントヒルの加藤小夏」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan: 何が面白いかっていうと、実際の動画を見ると分かるんだけど。ゲーム実況ってさ、「素」っていう体(てい)がある、例えば狩野英孝とかダイアンの津田氏とかも。全部そうだけど。「『素』でプレイしてますよ」っていうお決まりがありながらもゲーム内で起きた事象に対して大袈裟にリアクションを取ってみたり。あたかも「素」のように見せる。 そういう技術を、共犯関係の中でめっちゃ面白がるっていうフィールドじゃないですか。もちろん、本当の「素」の部分もあると思うけど。

それは流石に無理があると思うわけ。本当の「素」だけでいくっていうのは。俺はリアリティショー以降の人間の体っていうのは、基本的には虚実の被膜が毎秒ごとに入れ替わるような身体の感覚を共にしてると思ってて。今まではリアリティショーとかから、役者みたいな人たちがリアリティショーで培ったインフルエンス力みたいなことを足場に女優として跳ねる。みたいな感じで文化が栄えていった。今回の「加藤小夏×サイレントヒル実況」でいうと、リアリティショー以降の体、演劇的な体みたいなことが、初めて花開いた瞬間として、すげえ面白いなと思った。

第7位:「ワン・バトル・アフター・アナザー」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:今年いろんな映画を見ましたが、うん。まあ迷ったけど、一番映画館で見てよかったなって思ったのは『ワン・バトル・アフター・アナザー』。これはまあ作品の中身もそうなんだけど、まあ普通に面白い、ぜひ見た方がいいなと思うんですが、これを見た環境が良くて。東宝の日比谷で、「プレミアムラグジュアリーシート」っていうところで見た。今映画館ってね、多分めっちゃ面白くなっていくと思う。(中略)めっちゃ分かりやすく言うと、映画好きみたいな人は、だんだん映画館から離れていってるけれども、むしろ映画年間にそんなに見ないよみたいなタイプのビギナーの人たちはむしろ映画館がテーマパークというか、的なものとして認知してたりするみたいなデータとかちょっと出てて。映画なんて別に観なくてもいいという……判断がどこかで働くという説は全然ある。

それは現に野球場で起きたことと全く一緒。 エスコンフィールドは「別に野球なんか見なくてもいいです」と。別にそうは謳わないけど、そういう思想が球場全体から漂う。要はだからおにぎり食べて美味しいじゃない、子供ちょっと連れてくだけで、なんていうか別に野球自体観なくてもいい、要はよく言われるピューリストとツーリストって言われるけど。外部からの観光客っぽい人が、入れ代わり立ち代わり入れるっていうことそのものが産業の豊かさを担保するんだみたいなことがよく言われる。それが映画館っていうフィールドで起こるんじゃないかなっていうことが最近のトレンド。

第6位:「白い巨塔」

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<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:この『白い巨塔』はパッて見て、もちろんその作品自体も面白いんだけど。コンテンツが溢れ返ってった時に、それこそAIとかもガンガン出てきて、これからコンテンツみたいなものをどんどん生成していくぞってなってなった時に、作られた古典みたいなもののレガシー性って、これからますますめっちゃ強いだろうな。みたいなことを思ったわけ。そう。「あ、こういうものっていつ見ても面白いんだ」っていう。(中略)俺がPodcastとかで「古典に帰ろう」みたいなこと言い始めたタイミングとかもこの『白い巨塔』とかを見てたタイミングで。なぜかって言ったら、残ってるものってヤバすぎるみたいな。

時代の何かの共振×そっから先の時の流れ。時の流れそのものを耐え抜く耐久力みたいな。この2つがないと絶対残んないか。っていう意味で、まめちゃくちゃすごいなと思った。

第5位:「ユーロシルムの傘」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:今年もいろんなものを買いましたけれども。服からガジェットから何からまあ色んな。だけど、まあいわゆる「モノ部門」のベストバイは結構これかも。感じですね。使わなくなったら、手に持つんじゃなくて、そのホールドに入れて背負えば、手が塞がらないんだっていう。当たり前の話なんだけど。それをやってくれているっていう。めっちゃ見た目がかっこいい。

第4位:「長谷川あかりの『あかり信じてるぞ構文』」

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:ありとあらゆる人がそれに乗っかるみたいな現象まで行った。この「信じてるぞ構文」っていうのは、本当すげえなと思ってる。

誰しもがバズれる可能性に開かれているっていうことが、今まであんまなかったと思う。SNSですごい重要なのは発信者っていうのはバズを生んでいかなければいけない。コンテンツを発信する人間っていうのは、バズを生むっていうのが、当然やっぱりバズらないよりはバズった方がいいという、そういう論理構造にあるわけです。だけど、単純に自分のポストがバズればいいっていうもんじゃない。いかに受け手の人たちが、簡単なコストでバズれるかどうか。っていう、その装置自体というか、その構文自体というか、そのフォーマット自体というか、を与えられるかどうかっていうことが、めっちゃ大事な時代だと思う。

第3位:「藤原ヒロシと出会った」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:ヒロシさんはそれこそ「映画行こうよ」みたいな感じで言ってくれたり。あとそれこそ「今度家で鍋しない?」みたいな、普通にそういうコミュニケーションを僕とか上出さんにしてくれるみたいな。面白い方なんです。40年間フロントラインに立ってる人って、あらゆる産業を跨いでフロントラインに立ってる人だと思う。意外とこういう感じなんだっていうことを、今31歳とかで知れたのって、めっちゃ俺にとってデカイな、みたいな。

第2位:「5 Star Cowboy」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:俺ん中で重要な出来事っていうか。「『5 Star Cowboy』すげえいいな」と思った。ビデオもめっちゃ良くて。

これも没君が撮ってんだけど。カウボーイ的な感じを出したいんだろうけど。明らかに被ってるのが麦わら帽子っていう。「おかしいだろ!」っていう。そこもふくめて、でも「こういうことだったじゃん」ってめっちゃ思ったっていうか。バカバカしさっていうか。リップシンクとかって、マジでバカすぎるから。照れちゃう感じ、戸惑いとね。「これ本当に作品になるんですか?」みたいなその感じ。だけど、そのバイブスだけでいけるとこまでいこうぜ、みたいな。撮影するという事そのものが楽しいし、ラップするっていう事そのものがただただ楽しいっていう時代って、確実にあったはず。少なくともビデオや曲からそういうニュアンスをめっちゃ受け取る、俺は。で、その中心にDos Monosのメンバーがいるっていうのは、すげえかっけえことだと心から思った。

第1位:「ファイナルドラフト」

TaiTanが選ぶ2025年マジで良かったものベスト10

<TaiTan選出理由抜粋>
TaiTan:シンプルにめっちゃ胸が熱くなる。そして、本来リアリティショーっていうのは名もなきものに社会的な発言力を与える装置だと思うんだけど。それをノイズなくやっている。『ファイナル・ドラフト』は、本当にシンプルに「恨みっこなしで。それぞれがそれぞれの力を合わせて勝とう」みたいな。後腐れなく「本当にありがとう」みたいな感じで言ってて、ただただその場を去る。もうここ残る権利がないから去る、っていう。ただただシンプルなことをずっとやってて。本当に見てて余計なノイズがないっていうことが、こんなにも見やすいんだっていう。最後1人が決まるんだけど、それのあまりの不条理さというか。それも1個の真実だよねっていうことの嘘のなさみたいなことも、めちゃくちゃアッパレみたいな。

以上、TaiTanの2025年マジで良かったものベスト10でした。

(TBSラジオ『脳盗』より抜粋)

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