今朝は、先週末で台風被災から三カ月となった八丈町のお話です。

被災直後から断水が続き、漁業者や観光業などにも大きな影響がありました。

年末ギリギリまで水源復旧工事でした

断水は11月中には解消されたとの報道がありましたが、その後、三カ月経ってどんな状況なのか。年末年始の様子も含めて八丈町役場の高野秀男さんにお話を伺いました。

八丈町役場総務課長 高野秀男さん

「断水は解消されたんですけども、一番大きい坂下地域を支えている水源がずっと使えてないような状況だったんですよ。倒木や土砂で水源がやられてしまったということですね。

そこの工事を年末にやって、元通りに水が出てるかって言うと、そうではないんですけども、少なからずでも水が出るようになったっていうところは、まあよかったかなっていうところです。

違うところの水源の水を広範囲で出しておりましたので、いきなり年末年始に、帰省で島の方も帰ってきますし、観光客の方も来ますので、そういった時に断水になるのが一番怖かったんですけれども、水道のトラブルも無かったので、住民の方は例年通りのお正月は迎えられたと思っております。私たちも、意外とこういう時に限って、大雨が降ったりとかすることが多いもんですので、心配はしたんですけども、比較的ゆっくりすることができました。」

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<被災直後の山道の様子 写真提供:八丈町役場>
台風被災から三か月の八丈町
<道が通れるようになりました しかしその分のがれきが処理を待つことになります>

年末ギリギリまで水源の復旧をしていたんですね。他の水源を使い、なんとか島内の断水は解消されていましたが、水源の復旧工事をして、人が多くなる年末年始を断水することなく乗り切れて、高野さんたちもホッとした様子。

1月5日には「二十歳のつどい」も滞りなく行われ、穏やかな年末年始となったそうです。

離島災害 復旧作業の難しさ

ただ、やはり離島の復旧・復興の難しさについて、高野さんは改めて痛感したと話します。

八丈町役場総務課長 高野秀男さん

「資材は内地から持ってこなくちゃいけないというのもありますし、水についても、最初の方は海上保安庁さんの船で持って来てもらったりっていうのもあったんですけども、海上が時化るとそれが持って来れない状況になってしまいますので、工事なんかも資材が届かないと復旧作業も遅れてしまいますし、この時期特に海が時化る時期になってきますんで、離島ならではのつらい部分があるなっていうのはすごい感じております。

毎年のように台風は八丈の方に来ますので、経験してるという部分については、まあ慣れてる部分はあるんですけども、台風の速度も遅くなってるし、線状降水帯とか、今回、ほんと大雨による被害というのが大きかったというところで、前の台風ではそういったことはなかったですので、やはり今の台風は前の台風とは違う。台風も変わって来てるなというところはすごい感じました。今回の台風を受けてですね、今後はこれを糧に対応していかなきゃいけないなという風に思っております。」

船で運ばなければならないとなると、陸路よりも天候に左右されますからね。

そう考えると、断水の二カ月間は不安だっただろうと思います。

そして、台風の経験の多い八丈町の人も、経験の無い大きな台風が来るようになっている。そうした現実を踏まえて、台風や災害の対策をしていきたい、と話していました。

離島での災害 支援する側の難しさも

一方で、支援する側も、やはり離島での災害支援の難しさを実感していました。

東日本大震災後に設立された、認定NPO法人チーム・ユニコンのメンバーで、全国の被災地の支援活動を続けている、フリーディレクターの中村健吾さんに伺いました。

認定NPO法人チーム・ユニコン 中村健吾さん(フリーディレクター)

「離島であるということはアクセスが限られるということで、なかなか外からボランティアの人を集めにくいということと、ボランティアを受け入れる側のマネジメントの問題もありますよね。

支援活動、その支える側のサポートもそういうとこは行きにくかったりするので、地元の人だけじゃ受け入れ態勢がなかなか整わない、そういうこともありますし、あと、普通であればボランティアって自分の車を、軽トラとか運転してきてそれを作業に使うんですけど、車で駆け付けられないので、どうしても現地で作業用の車両が足りなくなるんですよね。だから、大々的にマンパワーを集めることができないっていうのが一つの課題。

もう一つ、今後への離島の課題としては、災害が起きると災害廃棄物、がれきがたくさん出るんですけど、今、八丈島の処理能力の10年分が出てると言われていて、今までの被災地であれば、隣の町とかに、ちょっと処理を頼むよ、って出来たのが、離島だとどうしてもそれが出来ないので、それを今後どうしていくかっていうのも大きな課題となっています。」

人も作業車も集まりにくくなる、というお話は確かにそうだよな、と納得。

人手が欲しい時も、水が欲しい時も、災害廃棄物の処理も、隣近所の自治体に簡単に頼れないのが、やはり離島での災害の課題です。しかし、日本には離島が多いですから、離島被災について、考えておかなければなりませんよね。

台風被災から三か月の八丈町
<強風でなぎ倒された山の木々 これだけの量の倒木ががれきになると思うと大変です>

民間の支援団体の数が災害に追い付いていない現状

しかし、各地の被災地支援を続けている中村さんからは、さらに深刻な課題についてのお話もありました。

認定NPO法人チーム・ユニコン 中村健吾さん(フリーディレクター)

「八丈島や能登だけでなく、静岡で竜巻があったり、8月に九州の豪雨が続いたりという、日本各地で災害が増えているので、正直な話、僕も各地で九州も静岡も八丈島も能登も行ってますけど、見ているとホントに、今、民間の支援団体がだいたいすぐ駆けつけるんですけど、その数がもうね、災害の数に追い付いていない。

基本的に、災害が起きると、地元の自治体と社会福祉協議会が対応するんですが、民間の支援団体っていうのは、これまで色んな被災地であるので経験豊富なんですよ。どうしても地元っていうのは初めての災害対応というところも多いので、そこが経験ある民間のボランティアセンター(支援団体)が、駆け付けることによって、一緒にチームを作って連携して外からの人を受け入れるっていうのが、だいたい支援活動の態勢で、その連携や協力が、これだけ災害が増えると難しくなってる、という状況が今、起きていますね。」

災害支援を支援する民間の団体が、災害の数に追い付いていない。

だから、被災地を掛け持ちする団体も出てきている。結果的に早めに支援を切り上げたり、ボランティアセンターを閉めてしまうことも出て来てしまっている、という話は、自分が被災者だったら、と思うと、本当に不安だな、と感じました。

今後災害が減るとは考えにくいのが現実。支援を支援する体制を、民間だけに頼らず、国や自治体も考えてほしいですね。


(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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