ゲストは、イノアックコーポレーション広報部の和田麻祐子(わだ まゆこ)さん。イノアックコーポレーションは、ウレタンフォームをはじめとする素材の開発・製造・販売を行う会社です。

さまざまな場面で暮らしを支えていた機能の正体は、そこに空いているいくつもの小さな穴。いや、「泡」でした。

泡を自在に、暮らしを豊かに

和田 イノアックコーポレーションは、1954年に日本ではじめてウレタンフォームを生産した会社です。「素材で暮らしを豊かにする」を指針とし、ついに創業100周年を迎えました。

得意技は"泡立てる"こと。ウレタンフォームで支える豊かな暮ら...の画像はこちら >>

西田 改めて、ウレタンフォームとはなんなのでしょうか?

和田 例えば食器を洗うときに使うスポンジ。よく見ていただくと小さな穴が空いています。この、穴がたくさん空いた素材がウレタンフォームです。

西田 なるほど。イノアックのいちばんの強みはなんでしょう?

和田 「泡立てること」です。スポンジに空いた小さな穴を「泡」と呼ぶのですが、わたしたちはこの「泡」の大きさのコントロールを得意としています。

得意技は"泡立てる"こと。ウレタンフォームで支える豊かな暮らし

和田 いま手元にあるこちらは、キッチンスポンジと同じウレタンフォームなのですが、泡の大きさを比べてみると非常に細かいことがわかります。カーナビの緩衝材として使われていて、衝撃から保護してくれるんです。スマートフォンにも採用されていたり、水や塵を防ぐパッキンの役割をしているんです。

西田 穴が空いているのに水が入ってこないんですか?

和田 微細な泡が潰されることで、防水が可能になるんです。逆に泡がないと、柔らかく追従することができません。この泡があるからこそ、ぴったりと収まることができるんです。

守る、伸びる、遮る素材

西田 ホームページを見てみると、分野・機能・素材を選べますね。輸送機器、IT機器、建築土木、医療福祉、生活用品などいろいろあります。

和田 スポンジやお化粧に使われる「パフ」などの生活用品から、住宅に使われる「断熱材」、自動車の「シート」、スマートフォンやパソコンといった精密機器まで。様々な場面で縁の下の力持ちとして活用されています。

得意技は"泡立てる"こと。ウレタンフォームで支える豊かな暮らし

また、柔軟性と通気性に優れた素材として、紙おむつのウエストギャザーにウレタンフォームが採用されたという、世界初の事例もあります。従来はゴムが使われていましたが、赤ちゃんの肌に赤く跡がついてしまっていたんです。

西田 やさしく伸びるんですね。ここ最近、素材を生かした新しい取り組みを行っているとうかがいました。

和田 長野県の白馬村に事務所があるのですが、近隣の白馬南小学校の校舎断熱改修サポートとして、イノアックの「サーマックス®︎」という断熱材を寄付しました。非常に高い断熱性能があり、木造の校舎に使用することで暖房の効きがよくなって省エネに繋がるんです。

西田 「断熱材を入れる前と後の違いを感じる。ストーブの燃え方が以前より落ち着いている」。先生から感想の言葉をいただきました。激しく燃やさなくても部屋が暖まるってことですね。

和田 子供たちからは、「窓際が暖かくなった」という声も聞いています。

得意技は"泡立てる"こと。ウレタンフォームで支える豊かな暮らし

「ケミカルリサイクル」で地球にやさしく

西田 今後の展望はどのように考えていますか?

和田 プラスチックはどうしても、環境保全の観点から“悪者”として見られがちだと思います。しかし、イノアックはプラスチックを扱い、製造するメーカーです。そのため、できるだけ環境へ負荷をかけないような取り組みが大事だと考えています。もともと、ウレタンフォームを細かく砕いて別のものに活用するといったリサイクル技術はあったのですが、最近はウレタンフォームを原料に戻す「ケミカルリサイクル」の開発に力を入れています。

西田 原料に戻して、またウレタンフォームをつくるということですね。

和田 廃棄されるプラスチックを減らして、再生できる技術開発を進めていきたいです。

得意技は"泡立てる"こと。ウレタンフォームで支える豊かな暮らし

(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

編集部おすすめ