今回は、休息についてのさまざまな専門家の方にお話を伺います。ゲストは、脳神経外科医の菅原道仁さん!
脳疲労とは、現代人特有の“疲れ”なんです!
「脳疲労」とは、医学用語ではなく、メディアで使われる言葉。脳疲労は放置すると、ココロはもちろん、カラダのほかの部分にも悪影響をもたらすので予防したり、解消する方法を知っておくことが大切。
そもそも「脳疲労」とは、脳の過剰な負荷がかかっている状態。肉体労働が減ってデスクワークやPC作業が増えたことで、「体は疲れていないけれど、脳が疲れている」という状態の人が非常に多いんです。それが、現代特有の疲れ「脳疲労」。現代は脳が疲れやすいシステムになっているんです。脳疲労というと、イメージしづらいかもしれませんが、医学的には「自律神経の乱れ」と言われていて、自律神経の疲れ、心の疲れということもできます。
大きな原因のひとつはストレス。仕事・人間関係など。スマホの普及による、受動的な情報の摂取も脳疲労につながっています。 「一日中座って仕事をしているだけなのに、夕方にはぐったりしてしまう」こんなときは脳が疲労しているサインです。
脳疲労にならないためには・・・
ポイント1: やるときと何もやらない時間を明確に分ける
脳疲労を防ぐには、脳に「何もしない時間」と「切り替え」を用意することが近道。脳は生命維持のために働き続けるので、完全にスイッチを切ることはできません。その代わり、生活習慣や思考の工夫で負担を和らげ、頭の中をなるべく無意識にして、ぼーっとする時間を増やすことが大事です。また、マスキングの多用はNG。
ポイント2: 能動的なリフレッシュを取り入れる
肉体疲労は、寝れば治るけど、脳疲労はそれだけでは解消しづらい。「睡眠」だけでなく、自分の好きなことやスポーツなどの「能動的なリフレッシュ」が脳疲労(自律神経の乱れ)に効くんです。
例えば、週末に草野球やサッカーをして「心地よい体の疲れ」を感じると、実は脳への良い影響があって疲労感が軽減されるんです。
体の疲れが強くないのに脳が疲れているときは、体を動かして自律神経を整える「アクティブレスト」が助けになります。ポイントは、義務感ではなく「心からやりたい、楽しい」と思えることを選ぶことです。週末なら、土曜は横になって休み、回復が実感できたら日曜は軽く動く。など、バランスを考えた行動がおすすめです。
「義務感ではなく、心から好きだと感じることを見つけることが大事です。年配の方でも元気な人は趣味を持っている方が多いですね」(菅原先生)
ほかに、実際にできる解消法は?
●「ほんの10分休憩」
数分から10分程度の短い休憩でも疲労感が軽減するという研究があります。仕事・勉強・家事など、長い時間の作業の合間に、10分だけでも休憩するのがおすすめです。忙しくても一度休憩をとることが脳疲労の軽減にもつながります。
●「自然に触れる」
コルチゾールという記憶力や学習能力に悪影響を与えるとされるステロイドホルモンがあるんですが、森林浴をすると、この数値が下がるという調査があります。森林浴で、脳機能が改善する可能性があります。
ポイント3:デフォルト・モード・ネットワークを使いましょう!
▼実はもうひとつ、誰でも今すぐ簡単にできる脳疲労の解消法があるんです!
・それが「デフォルト・モード・ネットワーク」という脳の機能。
言葉は難しいですが、やるのは簡単。それは「ぼーっとする時間」を作ることです。
私たちが意識的に脳を使おうとすると、脳の特定の部位だけが活性化し、脳のエネルギーもそこに集中することになりますが、それは効率のいい脳の使い方、正しい脳の使い方とはいえません。お風呂に入っている時や散歩中など、何も考えずにぼんやりしている時に、脳は「デフォルト・モード・ネットワーク」という機能が働いて、記憶の整理やクリエイティブな活動を行っているんです。
パソコンに向かって、考え込んでいるときより、何も考えずに歩いている時に、良い考えが浮かぶことってありませんか?・あのときに、「デフォルト・モード・ネットワーク」が働いているんです。
ぼんやりしている時こそ脳はフル回転で整理整頓をしてくれています。最近は、動画を2倍速で見て時間を効率的に使おうとする方がいますが、タイパ(タイムパフォーマンス)重視で情報を詰め込むだけでなく、あえて「何もしない空白の時間」を作ることが、新しいアイデアや心の回復には必要不可欠なんです。
「疲れた後はいきなり充電するのではなく、まず放電する時間が必要」(スー)
年齢に応じた脳疲労ケア
50代以上の方が特に気をつけるべきこととして、菅原先生は3つのポイントを挙げています
1. 睡眠をうまく取ること
2. 足腰を鍛えて歩けなくならないようにすること
3. 歯を大切にして食べられる状態を保つこと
「若い頃は徹夜しても翌日すぐ回復できましたが、年齢を重ねるとそうはいきません。体の回復力が落ちるため、より計画的な休息が必要になります」(菅原先生)
スマートフォンとの付き合い方
スマートフォンを完全に手放すことは現実的ではありませんが、上手な付き合い方が大事。
*単なる情報のインプットだけでなく、メモや創造的活動のツールとして活用する
*通知をオフにするか、必要最小限にする
*未読の情報が溜まることも脳疲労の原因になるため、定期的に整理する
「スマホを悪と見なすのではなく、うまくパートナーとして使うことが大切です」(菅原先生)
「大人になってからも鍛えられる脳の部位があります」と菅原先生は希望を語ります。詳しい内容は、2月10日にPHP研究所から発売される著書『ミニマル脳習慣 最小限の行動で最高の頭を作る』(税込1,430円)でぜひご覧ください!
脳を上手に休めて、心と体のバランスを取り戻しましょう。
菅原道仁さん
■菅原さんのプロフィールをご紹介します。
■1970年、埼玉県生まれ。杏林大学医学部卒業後、
クモ膜下出血や脳梗塞などの緊急脳疾患の担当として国立国際医療研究センターに勤務。
■2000年からは、脳神経外科専門の八王子・北原国際病院に15年間勤務。
■現在は、菅原脳神経外科クリニック、菅原クリニック東京脳ドックを経営されています
■その診療経験をもとに「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする医療を行い、メディアでは、脳のしくみについての分かりやすい解説もされています。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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