先週2月3日の夕方、都営新宿線の電車内で乗客のモバイルバッテリーが発煙して一時、全線で運転を見合わせるという事がありました。体調不良を訴えた乗客も2人いて、密室状態でのモバイルバッテリーの発煙や発火に遭遇したら、と思うと怖いですよね・・・

普通の発火とは異なる、モバイルバッテリーの発火

このトラブルの少し前、京王電鉄では「ファイヤーブランケット」という、火災が発生した時に炎を覆って延焼を防止するシートを全ての駅と列車に配備しました。1.2m四方の大きさで、耐熱性の素材で作られています。

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ファイヤーブランケット:京王電鉄 提供

電車内には消火器が備わっているものですが、なぜいまこのファイヤーブランケットが選ばれたのか。京王電鉄・災害対策担当課長の小林さんに伺いました。

京王電鉄株式会社 安全推進部鉄道テロ・災害対策担当課長 小林俊介さん


消火器は車両の中に配備しております。ただ、モバイルバッテリーは内部に熱を持ったりとか、自己完結的に発火をするということがありますので、完全な消火というのは難しい。消火器でまず初期消火を行って、ある程度火の勢いを弱めた上であくまで延焼を防止するためにファイヤーブランケットを活用するというような形で考えております。

鉄道車両自体は不燃性の素材でできていますので、そう簡単に車両自体が燃えるということはございません。やはり近づくこと自体が危険な場合もございますので、お客様に関しては避難をいただいて、駅係員、乗務員のほうにお知らせいただくというところを一番最優先の行動としていただければと思います。

消火器だけじゃ完全には消えないんです。

モバイルバッテリー発火、もしも自分の身に起きたら?
ファイヤーブランケット使用時:京王電鉄 提供

モバイルバッテリーは内部の熱が無くなるまでは再発火の可能性もあるということで、消火器だけでは不十分と考えて、ファイヤーブランケットを配備したそうです。

このファイヤーブランケット、基本的には乗務員や駅係員が使用するものだそうで、私たち乗客は、発煙や発火をすぐに周囲の人に知らせ、モバイルバッテリーを床に落として距離をとって車内の非常ボタンで知らせてほしいということでした。

モバイルバッテリー持ち歩きのお供に・・・

ただ、駅員や乗務員が駆けつける前に何もしないっていうのもなんだか・・・自分で何かできることはないんでしょうか?モバイルバッテリーの性質に詳しい、製品評価技術基盤機構の宮川七重さんに伺いました。

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センター 製品安全広報課 宮川七重課長

中の仕組みなんですけれども、電池のパックがいくつも入っているものと、1個だけ入っているものがあります。1個だけ入っているものであれば、1回ガスを噴き出して火が出て落ち着けば、もう燃えるという事はないんですけど、複数個入っているような場合ですと、1つが燃えて、次のものに火がついてしまうような、連鎖していくような可能性もありますので、そこは十分気を付けたうえで対処していただければなと思います。

基本的には距離をとるというところかなと思いますけど、それができない状況は非常に危険な状態で、対処法として考えられるとすれば、今「防火袋」のようなものも販売されています。そういったものをお持ちであれば、入れてできるだけ延焼を防ぐといったところです。

モバイルバッテリー発火、もしも自分の身に起きたら?
モバイルバッテリー内の電池:NITE提供

防火袋、サイズは一般的なポーチかそれより少し大きめで、2~3000円ほどで購入できます。電車でモバイルバッテリーの発火に遭遇したら、距離をとりたくても難しい状況もありますから、普段からバッテリーを入れるポーチとして常備しておくのもいいかもしれません。

ただ、これは「消火するグッズ」ではなく、あくまでも燃え広がったり破片が飛び散るのを防ぐものですから、電車のような密室に近い場所でモバイルバッテリーが発火しないように気を付けたいものです。

冬の時期に気を付けたいモバイルバッテリーの○○

モバイルバッテリーを扱う際の注意は様々ですが、特に今の時期に気を付けたいことについても聞きました。再び宮川さんのお話です。

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センター 製品安全広報課 宮川七重課長


冬場ということで気をつけていただきたいのは「結露」ですね、結露してしまうと、そのモバイルバッテリーの中でショートが発生して、そして壊れていく、発火に至るような不具合が起こっていくことも考えられます。

また非常に冷たい状況で充電をしますと、リチウムイオン電池のパックの中に結晶ができてしまって、プラス極とマイナス極を隔てているセパレーターという樹脂を破ってしまうようなことも考えられますので「何度から何度まで」で充電するときの温度が(説明書に)書かれているかと思いますので、守っていただくようにしていただければと思います。

モバイルバッテリーの種類にもよりますが、例えば「5℃~35℃」のように説明書に記載があるので、一度読んでおくことをお勧めします。

結露対策としては、外気の影響を直接受けるポケットや手に持つスタイルではなく、鞄の中心に近い場所に収納すること。また、ジップロックに入れて空気を抜く。

そして暖かい場所に入って室温になじんだら取り出すこと。こうすることで周囲の湿った空気がバッテリーの表面や内部に触れないため、物理的に結露ができにくくなるということでした。

モバイルバッテリーは必需品ですが、意外と繊細な機器ですし、自分の持っているモバイルバッテリーは状態を把握しておくことをお勧めします。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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