9月の終わりに各地に大きな被害を与えた台風24号、その影響で東海地方では大停電となって、中でも被害が大きかった静岡県ではピーク時には70万件が停電。全面復旧したのが10月6日土曜日の夕方。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!10月9日(火)は、レポーターの近堂かおりが『平成最大規模の停電に、防災意識の高い静岡県民も戸惑った!』をテーマに取材をしてきました!
★停電でいちばん困ったこと今回の東海地方の大停電ですが、中部電力管内では平成最大規模となりました。今回の停電について、復旧まで特に時間がかかった掛川市に行って、3~4日間、電気のない生活で、何がいちばん困ったか伺ってきました。
3日も4日も電気が使えないと、いろいろ不便がありますよね。話を伺ったほとんどの方は、冷蔵庫の中身はだめになっていました。それからオール電化のお宅の方は、お湯も出ないし、何もできなかった。
いまのお話はそれぞれの方がいちばん困ったことでしたが、実際には一日生活する中で、大小いろんな不便なことの連続。例えば ある女子高生の停電の一日はこんな感じです。
女子高生「団地なんですけどタンクが停電で3日ぐらい水道も止まって、いま高校でお弁当も必要でとりあえず電気はついていなくてもやっているコンビニがあったからおにぎりとか買って。学校も停電で、パソコンを使う授業もあったけどまともにやらずに『帰るか』みたいになって、不安というか怖かった。」いまのは、朝起きてから午前中までの話。午後もいろいろ大変で、翌朝起きたら、まだ電気が通っていなくて・・・という生活がそのあと3日も続いた。怖い、という気持ちは分かります。今回、静岡の停電が長引いたのは、台風24号の進路の東側になったために特に強い風にさらされて、断線や漏電が同時多発的に発生したためです。停電を復旧するにはまず停電の原因のあるエリアをある程度絞って、そこに作業員が行って、電柱を1本1本調査して、そして修理する。今回のような同時多発では人手が足りなかった。
★停電して、断水!?さらに、停電によって断水の被害も広がった(停電でポンプが使えないため)。

【塩害】とは、台風の風によって海の塩分が内陸部に運ばれること。農作物などに塩分がついて、枯らせてしまうなどの被害がでる。静岡の場合は茶畑やイチゴが塩害に。そこで、本来ならば、台風後に真水で、塩分を洗い流さなければならないのですが、停電による断水でにより、洗い流すための水がなく、被害が拡大してしまっている、ということなのです。
塩害は、関東でも千葉の鉄道に影響しました。こちらは、電線の被膜や【がいし】という絶縁体に、細かいヒビがあると、そこに付いてショートや漏電の原因になる。中部電力も対策を進めていますが、1~2年で取り換えられる本数ではないそうです。
★防災の備えはしっかりの静岡のみなさん。でも・・・こうした一方で、静岡の方たちは防災の備えがとてもしっかりしていました。インタビューしたみなさんは、だいたい非常用の水、食糧、明かりなどを常備していて、停電するとすぐに対応していたのでびっくりしました。
静岡の皆さんは小さいときから訓練しているし、日頃の回覧板などでも注意事項を読んでいるという方もいたので、災害時の初動に関しては備えがしっかりしている。でも、そこから何日も非常事態を経験したことはない(大地震も大きな台風も)。この奥様も、非常事態が続く場合の備えが足りなかった、と今回の台風で実感したそうなのです。
★今回の台風を教訓として、しっかりと活かしたい。この点については、掛川市役所の浦野さんも、こうおっしゃっています。
浦野正守さん「これが台風でしたので3~4日ぐらいで電気が復旧しておりますけども、いま想定されている南海トラフ巨大地震になると、同じような状況がもっと長い期間になるということも考えられますので、今回の停電を教訓に事前に準備をしていくということが必要だと思います。」もう3世代ぐらいにわたって防災訓練を積んで、意識も高いはずの静岡の方でも、いざ本当の災害の前では戸惑いました。

▲近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。
◆10月9日放送分より 番組名:「森本毅郎 スタンバイ!」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181009063000