TBSラジオ「ACTION」(月-金15:30~17:30)。

5月14日(火)のゲストは、小説家の村田沙耶香さん!村田さんは、文庫化された、尾崎世界観さんの小説『祐介』の解説も書いて下さっています。

村田さんとの話は、なんとも不思議な、その頭の中の世界に・・・

■知らないおじさんと膝枕について教えてください

村田:高校生のとき、電車の中でずっと寝ていたんです。ずっと眠たくて。あるとき、すっと熟睡したときがあって。息がふっと落ちて。で、はっと起きたら、ものすごく眩しくて、全く見知らぬ天井で。

尾崎:家でもなく。

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村田:かなり目上のしそうな紳士的な男性の膝枕で寝てしまってたんです。

幸坂:えっ…

村田:割と私が見た目が中学生っぽかったからなのか、「子供のすることだから」みたいな感じで重さに耐えて下さってくれて。本当に申し訳なかったなと思いますね。まだ降りる駅の前で目が覚めたので、「すみませんでした」とすっごい謝って。

村田沙耶香「音楽は聴くものじゃなくて、見るもの」

尾崎:それで逆の経験もあるんですよね?

村田:そうなんです、その数か月後に割と若い男性のサラリーマンの方が、すっごい揺れながら寝てて。ギリギリで戻るみたいな。


尾崎:漫画みたいなやつですね。

村田:そこで私と同じようにすっと意識が遠くなったみたいで、ガクッと私の膝の上で寝てしまって。寝た人ってものすごく重たくて。サスペンスで死体はよく気軽に運ばれてますが、無理だなって(笑)本当、意識を失った瞬間、ものすごい重さが。それであのおじさまのことを思い出して。あの方のくれた優しさを返さなきゃと思って。

村田沙耶香「音楽は聴くものじゃなくて、見るもの」

村田:今思うと色んな人に、「それはハラスメントになるから、ちゃんとNOを言えなきゃダメだよ」と言われて。当時は子供だったので。あと、あのおじさまの優しさを返さなきゃと思って。優しさの連鎖だと勘違いして。

尾崎:その人は起きたんですか?
村田:私と同じように、明かりを見て「どこだここ?」みたいに茫然としていて。やっぱ天井を見るんですね。

すごく茫然としていて。「すみません、私降ります」と言ったら、やっぱり傍から見たらカップルのいちゃつきに見えるようで。かと思ったら全然知らない人同士だったということが発覚して、電車の中がざわざわし出すという(笑)

■音楽は見るもの

尾崎:聴くものですね、普通は。
村田:私が大体音楽を聴いているときは、映像を思い浮かべているんです。「分かる」と言ってくれる人もいるんですが、尾崎さんはそんかことないですか?
尾崎:それは聴いてるアーティストのことを想像するとかじゃないんですよね?全く別のこと?
村田:別です。お話とかを作って。例えば、女の子の身体の中から花びらが出てくるとか。
尾崎:へぇ~!耳よりも脳というか。頭の中が反応しているということですね。

村田沙耶香「音楽は聴くものじゃなくて、見るもの」

村田:その脳に浮かんだ映像を含めて音楽なので。それを見ながら、歩いたり、家で蹲ったりしてます。
尾崎:蹲ったり(笑)それって、何に反応しているんですかね。

楽器なのか、声なのか、歌詞なのか。

村田:全部ですね。素人の言葉で、“後ろの音楽”って呼んでるのあるじゃないですか。後ろで“チャカチャカチャー”って(笑)
尾崎:ありますね(笑)それはボーカルがない、インストゥルメンタルでも出てきますか?
村田:出てきますね。

尾崎:出てこない曲もありますか?
村田:出てこない曲は聴かなくなります。または歌詞で説明されると、その画しか出てこないです。
尾崎:なるほど。音楽にも余白がないといけないですね。自分が想像する余白が。たまにありますよね、全部一から十まで説明しちゃう歌詞が。

村田:まぁ、それも素晴らしいと思うんですが、私は自分で想像するのが好きなので。

尾崎:作る側としても、聴く人が何か一つ体験を乗っけられるような余白は作るように意識はしているので。

村田さんの聴き方とは相性が良いかなと。でも、これでクリープハイプ聴いて何も浮かばなかったら怖いので聞かないです(笑)

村田沙耶香「音楽は聴くものじゃなくて、見るもの」

尾崎:でも、そういう曲があるんですよね?村田さんの一番映像が出てくる曲が。
村田:中谷美紀さんの『all this time』という曲です。
尾崎:それじゃ聴いて頂きましょう・・・

◆5月14日放送分より 番組名:「ACTION」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190514153000

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