TBSラジオ「ACTION」(月-金15:30~17:30)。月曜日のパーソナリティは、宮藤官九郎さん。
6月10日(月)宮藤官九郎さんのコラムコーナーは、映画「長いお別れ」を見たという話ですが…?
宮藤:蒼井優さん、竹内結子さん、山崎努さん、松原智恵子さんの一家の話なんですけど。認知症を扱った映画ですね。CM聞いてると「重い内容なのかなぁ」と思うんですが、必ずしもそういう映画ではない。何で見たかというと、蒼井優さん結婚されましたね。それで「最近、会ってないなぁ」と思って。当たり前ですが(笑)で、映画館の前にポスター貼ってあったんで見ようと思いまして。それで見ながら「いい女優さんだなぁ」と思って。それで、よく考えたら結構仕事してるんですよ。
宮藤:その中でも、2年前、「ゆとりですがなにか」というドラマのスペシャルで、笠木久美という役で蒼井さんには出てもらったんですが。松坂桃李君演じる、山路という役の同級生で。福島にいるんですよ。知り合って、久々に会うんですけど、実はシングルマザーでネグレクト、つまり育児放棄をしているお母さん役。
幸坂:うわぁ・・・
宮藤:山ちゃんは童貞なんですよ。童貞の山ちゃんは、久々に会った久美にすごい惚れて。初恋の人なんでしょうね。それで、「俺が守ってやる!」と。「俺がお父さんになってやる!」と。もう一度言いますが、童貞なんですね(笑)そのまま3人で駆け落ちして東京に出て行くんだけど、途中で久美は「ごめんね、山ちゃん」って言っていなくなる話。
幸坂:恐ろしいですね…。

宮藤:俺ヒドいなと思って(笑)あと、「この台本で何回”山ちゃん”って言ったかな?」と思って。Wordって、ファイルの中で何回同じ台詞が出てくるか検索できるんですね。それで調べてみたら、48回「山ちゃん」と言ってました(笑)
幸坂:すごく呼んでますね!
宮藤:他の役の人も「山ちゃん」と呼んでて、まぁでも蒼井さんは20回以上は呼んでるから。
宮藤:でも、すごいいい映画で。山崎努さん演じるお父さんは元学校の先生。校長先生にもなったぐらいの、ちゃんとした人。その人が認知症になるなんて、ぐらいな人なんですよ。娘が2人いて、竹内結子さん演じる長女が海外にいるんですよ。結婚して。蒼井優さんは東京で、自分でカフェをやりたい夢を持ってて料理の仕事しているんですよ。で、お母さんもいて。これって実は、うちの実家と似たような設定で。うちの親も元学校の先生で、校長までやって。70歳で死んだんですけど。

宮藤:劇場でも結構笑い声が起こっていて。悲壮感がないというのが自分のストレートな感想なんだけど。だからと言って軽く扱ってるわけでもないし。中野量太監督の前作の『湯を沸かすほどの熱い愛』もそうなんですけど、病気の問題を扱っていても、重くなり過ぎないというか。重くなりかけたところで、反対側に振るというか。
そして蒼井優さんのやっている役は、俺のどのドラマの役よりもちゃんとしてました…。なんで俺、あんなヒドい役をやらせちゃうのかなぁ。蒼井さんは多分、俺のことあまり好きじゃないだろうなぁ(笑)
◆6月10日放送分より 番組名:「ACTION」
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