「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」

コロナ禍で、「3密」を避けて楽しめるキャンプが人気ですが、キャンプ場では、ゴミや、洗剤の洗い流しがたびたび問題になっています。そこで今日は、「食器洗い」の常識を変える、画期的なお皿について取材しました。

水だけで汚れが落ちるお皿「Earth Gear(アースギア)」

まずは、愛知県の会社、株式会社五合の代表、小川宏二さんのお話です。

「今回開発した食器は、水だけですっきり洗える食器「アースギア」。「ゼロクリア」という塗料を施してあり、どんな頑固な油、天ぷら、ステーキの油、バターやチーズなどの汚れも、霧吹きでシュッシュッとして、ティッシュで拭き上げれば綺麗に油汚れも取ることが可能です。山や川や海を汚したくないという思いがあり、キャンプ用品、お皿、スプーンなどを販売しております。正直売れてます。使ってみたらこれはすごいということで、友達にも紹介したいとか、様々な声をいただいております。」
(株式会社五合・代表 小川宏二さん)

▼「Earth Gear〈アウトドア食器〉」1セット(7点セット):14,520円(税込)

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器の画像はこちら >>

「アースギア」というブランド名で、第一弾として販売したのが、キャンプなどで使える〈ステンレス製〉の食器。

そして、第二弾として、割れにくい〈強化磁器製〉の食器も出しています。

▼「Earth Gear〈強化磁器モデル〉」1セット(3点セット):一般販売予定価格 9,070円(税込)

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器

当初、キャンプ用のセットをクラウドファンディングで発売した際には、目標金額のおよそ1300%、400万円近くを売り上げた、大ヒット商品となっています。

でも、本当に水だけで落ちるのか?実験してみました。

▼油性マジックで落書きして、、、

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器

▼霧吹きで水を吹きかけると、みるみる油性マジックの色が浮いてきた

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器

▼ティッシュでふき取ると、元通りの真っ白なお皿に!

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器

洗剤で擦り洗いしても落とせない油性ペンが、ちゃんと、水だけで落ちました!

汚れが落ちる秘訣は、食器に人体に無害な塗料がコーティングされていて、吹きかけた水が、「塗料」と「汚れ」の間に入り込んで、汚れを浮き上がらせる仕組みになっているからだそうです。このお皿を使えば、洗剤や油汚れを流す必要がなく、環境にも優しいと、メリットだらけ。

多くの人の手から手にバトンされた、すごい塗料

ただ、この特殊な塗料、こうして世に出るまで色々あったそうです。再び、小川さんのお話です。

「元々、この塗料をやるに至っては、うちがこの技術を「継承」しました。

後継ぎがいないから継承したのが20年位前。正直当初はやりたくなかったです。かなり気難しい塗料で、製品開発には非常に時間がかか理ました。「もの作り」についてはもの凄い自信はあるんですが、良いものをどう伝えるかっていうのが下手。そこで、「地元の中京大学の坂田先生なら「BtoC製品」の世に出し方を知ってるから組んでみたら」とご紹介いただいて、坂田ゼミさんに相談したところ、キャンプ用品を作ろうということになりました。」
(株式会社五合・代表 小川宏二さん)

▼株式会社五合の小川さんに聞きました

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器

小川さんは、電子機器の製造などを手掛けていて、塗料とは無関係でしたが、20年程前、「特殊塗料を開発したけど後継ぎがいない。事業を引き継いでほしい」という依頼が舞い込みました。

そこから開発を引き継ぎ、苦労しながら、鉄道車両や、駅の壁面、大手家電メーカーの洗濯機の部品など、業務用の分野の開発には漕ぎ着けた。でも、なかなかこれ以上、広がらない。

そこで次なる一手「個人向け」の商品を作ろう!ということで、共通の知人の紹介で、商品企画やマーケティングが専門の、中京大学・総合政策学部、坂田隆文教授の、「坂田ゼミ」の力を借りることにしたそうです。

眠っている技術に光を当てることがやりがい

ということで、開発に携わった坂田ゼミ生、中京大学3年生の中野由唯さんに、お話を聞きました。

「1人100案を目標にアイデアを出して、10位のゼミ生で最終的には3139案になりました。何かある度に坂田先生に相談しに行き、相談する度に怒られて、もっと調べることがたくさんあるはずだろう、とご指導いただいて。

私達が定めたターゲットの方を探してお話聞いたり、自分のSNSをフルに活用してアンケート取ったりしました。やってみて感じたのは、誰にも知られてないけど良い技術を、私達の手で世に送り出すことができるんだと思えました。他にも眠っている凄い技術を探して、世に伝えていきたいなって思っています。」
(中京大学3年生 中野由唯さん(坂田ゼミ生))

▼坂田ゼミ・中野由唯さん

水だけで汚れが落ちるスゴイ食器

中野さんたちは他にも、台所のシンク、お弁当箱、ストロー、自転車のカゴなど、3000以上のアイデアを出していき、最終的に、小川さんも思いつかなかったキャンプ用の食器を生み出しました。

そして、商品を作って終わりではなく、その後も、営業に同行してプレゼンしたり、店内のポップを作ったり、購入者向けのメッセージカードを作ったりと、企画から販売まで幅広く関わったそうです。

学生がいなければ、眠ったままだったかもしれない技術力。これからも、どんな優れた技術を発掘してくれるのか、楽しみです。

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