BSラジオからバービーがお送りする「週末ノオト」(毎週土曜13:00-14:55)
オープニングでは、バービーがこの1週間に起きたこと・考えたことを振り返ります。(毎月4週目のパートナーは、山内あゆアナウンサー)
入らずにはいられない!「赤提灯」の魅力
バービー:私ね、最近赤提灯ってものを見ると、一人で入らずにはいられない体質になっちゃって(笑)なんていうのかな、これはもう体質だからしょうがないんですよね。
山内:だって、赤提灯はそういうふうなお客さんを呼ぶために吊るしているわけですから。
バービー:そうですよ。まんまとその赤提灯の魅力に引っ張られているんだけど、何がいいって、意外と入ってみたらレアメニューがあったりするんですよ。
山内:へえ!
バービー:えっ!っていうもの。こないだ初めて入った居酒屋で出たのが、「マルチョウの天ぷら」っていう・・・(笑)
山内:ええっ?マルチョウって、ホルモン?
バービー:マルチョウってイメージつきます?ホルモンの中でも超脂好きじゃないと頼まないあの代物。
山内:外側がみんなぷるぷるの脂の?
バービー:はい。外側がツルっとしてるんだけど、中がぎっしり脂が詰まってて。で、一回網にのせたら氷もらわないと火消しできないぐらい炎が立つあれです(笑)
山内:それをさらに脂の中に投入して揚げたものですか?
バービー:衣付けちゃって、揚げて。それ食べたら、ほぼ脂(笑)全部。こんなに脂かってぐらいギトっとしてるんだけど、マヨネーズも付いてたりするんですよ。
山内:マヨネーズ!?
バービー:そう。このギルティな味わいがたまらなくて。ちょっと今週それにハマっちゃったりとかして。
山内:マルチョウの天ぷらだと、お酒は何をいただくんですか?
バービー:びっくりするぐらい全部飲むんですよ。ビール、ワイン、焼酎、ハイボール。全部飲むから、それは私もマルチョウっぽくなるところはあるんですけど。これはなんとかしなきゃなと思って、この間夕方ぐらいに仕事が終わったから、「今日こそは運動しなきゃ!」と思って、スタジオを出て「今日は歩いて帰るぞ!」って。
山内:えらい!
バービー:六本木のスタジオだったんですけど、「よし、ここから歩いて帰ってやる!」って思って歩き出して、2分後には赤提灯の・・・(笑)
山内:なんかそんな予感がした(笑)

バービー:そこのお店は、名前はたしかビトンって。美しいに豚と書いて「美豚」。でも見るからに庶民的で、それで赤提灯があって。「昼飲み」って書いてあるんですよ。
山内:いや~、最高ですよ。
バービー:だからもう入るしかないなって思ってね。考える間もなくガラガラって入っちゃって。
山内:そうなんだ。
バービー:ドドンと松ちゃん・浜ちゃんと、結局私そこでサシ飲み。
山内:サシ飲み(笑)
バービー:日が暮れるにつれポツポツとお客さんが入ってきたんですよ。でもね、全員がスーツを着た50代以上の男性で、もう「昭和か」って思うぐらいの店内ですよね。スーツの50代ぐらいの男性と、赤提灯と、焼き豚と、みんながビール飲んでいて。「あ~なんかすごいノスタルジック」みたいな感じだったんですけど、ボーっとそこで一人で私はぶりんぶりんの豚バラ串を食べながらテレビを見てたんですよ。その日がちょうど、松坂大輔選手の引退の日で。
ひとり、松坂大輔の引退インタビューを見ながら思ったこと
バービー:夕方に引退インタビューがやっていたんです。私、一時間ぐらい飲んだ頃だったかな。山内:六本木の夕方に、赤提灯で。
バービー:はい。詳しくなくても泣かせる松坂さんがすごいっていうか。はたから見たら嫌ですよ。松坂選手の引退インタビュー見て酒飲みながら泣いてる一人客。だけど、ちょっとグッときちゃって。インタビュー、読み上げてもいいですか?
山内:ぜひ。
バービー:松坂さんの言葉です。
「あきらめなければ最後は報われると強く感じさせてくれたのは、夏の甲子園のPL学園との試合。
「野球が好きだっていう気持ちが消えないように戦っていた。好きなまま終われてよかった」
バービー:「好きなまま終われてよかった」ですよ?
山内:今、えっと、バービーさん、またちょっと涙が・・・
バービー:仕事を好きなまま終われるって、こんな素敵なことないじゃないですか。ちょっと私はこの言葉でグってきちゃって。「あきらめの悪さ」とかテロップ入ってきちゃったりしてそこでグッときちゃったりしたんですけど。もう私たちの世代って体育会系は特に「粘り強くあれ」とか、「耐えろ」とか、「そういうことが最高の美学だ」みたいな感じで教わってきた年代だったんですよ。しかも、芸人界でもその風潮ってあって。

バービー:「続けていれば必ずチャンス巡ってくるから」「必ず続けてさえいれば、いつか売れる。だから絶対辞めるな!」って先輩たちはみんな言うんですね。それで、私たち世代はそれを信じて頑張ってきてるいんですけど、ちょっと今を見てくださいよ。
山内:うんうん。
バービー:パナソニックの早期退社の話題とかもあるし、大手の大量リストラもある。で、今は腰が軽いことが美学みたいになってきている部分も若干あったりして、「粘り」とは逆の風潮になりつつあって。それを、店内みなさん50歳以上、店員さんも50歳以上。昔から店を守り続けているんです。そんな方たち=粘り続けることが美学だった人たち=一生懸命頑張ってきた人たちと一緒に、その最後の象徴を見てたような気がしてそれもまた良かったんですよね。
山内:その空間。
バービー:そう、空間です。
山内:でも、バービーさんがもう1回思い出してもグッときて、ちょっとなんか頬も紅潮して。
バービー:はい。今日ちょっと多めにチーク入れちゃったけど(笑)
山内:でも、それだけ松坂さんっていう人がここまでやってきたそのものが全部インタビューの中で伝わってきたっていうことですもんね。

バービー:そうなんですよ。世代的にも自分を重ねちゃう部分があって。世代で言うと、松坂世代は私の4こ上なんですよ。
山内:松坂さんは41歳だって。
バービー:で、その前々日に引退を発表した斎藤佑樹選手。「ハンカチ世代」っていうのがありましたね。そのハンカチ世代が私の4つ下なんですよ。
山内:じゃあ、ハンカチと松坂の間にバービー世代がいるってことですね。
バービー:バービー世代は、「キレる14歳世代」って言われてたんですけど。
山内:そこなんですね。
バービー:そこも、粘ることが美学だったからこそ、対照的な「キレる」ってワードが立っていたのかなってことも若干思いつつですけど。だから、一気にこの世代が辞めて新しい世界に…っていうのを見ると、「あ~、時代の移ろいを感じるな」と思って。結局、店の中で泣いてるの私だけだったんですけど(笑)
山内:みなさん、あまりテレビ見てなかったのかな?(笑)
バービー:見てない、全然。串食ってました。楽しそうでした。だからなんかこう「自分だったら、何を捨てて何を得られるかな」っていうのをちょっと考えちゃったんですよね。
山内:だから、しまい方って言ったらおかしいですけど。
バービー:いや本当。たたみ方って言うか。そういうところを美しくある大人になりたいですよね。
山内:そうですね。続けることだけじゃなくて、どうやってこれを終着駅に持っていくかみたいなことを考え始めているっていうことですね。バービーさんがね。
バービー:そう・・ですね。いや、基本的にはもうひと山ぐらいほしいなと思ってるんですけど(笑)
山内:(笑)そうですよね。松坂さんだって斎藤さんだってまだまだこれからまた新たな道に行って、1回ここでけじめはつけたけど、これからまだあるわけですもんね。
バービー:別の山を登り始めるかもしれない。
山内:そういうことですよね。そっか、「ひとつのたたみ方」ね。
バービー:そうです。もうひと山、いかせてください!(笑)