TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」月~木曜日の11時から放送中!

11月29日(月)の「スーさん、これいいよ!」美術ライターの浦島茂世さん です。

■浦島茂世さんですが…
年間150件以上の美術館に足を運ぶ美術ライターで、文化庁の「文化審議会博物館部会」の委員も務められています。

博物館に関する政策を議論するなど、「生活は踊る」から「文化庁」まで幅広くご活躍中です。

今年は、展覧会は・・・
▼今年2021年は、どういうわけだか、高齢の女性アーティスト、特に、高齢になってから芸術を志す方の展覧会が多く開催されています。今回は「オーバー 70の女性アーティストの展覧会がアツい!」というテーマで展覧会をご紹介していただきました!

▼塔本シスコさんという、画家の息子に影響を受けて、50歳を過ぎてから独学で絵を始めた方だったり、写真家の増山たづ子さんは、60歳のときに自分の暮らす村がダムで沈むことがきまり、それから突如カメラを始め、88歳でなくなるまでに10万枚の写真を撮ったおばあさま。

▼このお二人の展示は、すでに終わってしまっていますが、これからご紹介するものは、まだまだ観に行けます。ということで、美術館が申し合わせているわけではありませんが、今年は“高齢女性アーティストの才能と作品”がフィーチャーされています。

▼そんな作品をみていると、「人間、ものごとを始めるのに遅いということはない」と思わされます。

「オーバー 70女性アーティストの展覧会がアツい!」。1つ目は・・・
『70歳スタートで、アメリカの国民的画家に!グランマ・モーゼス展!』

▼世田谷美術館で開催中の「グランマ・モーゼス展」。
70歳を過ぎてから絵をはじめ、80歳でニューヨークで本格的な個展をひらき、アメリカの国民的画家になったおばあさん。人気作家になっても農家の暮らしをまもりながら、101歳でなくなる直前まで絵を描き続けています。今年、生誕160年ということで130点が展示されています。

▼モーゼスおばあちゃんの絵は、「古き良きアメリカ」なほのぼのとした絵。


自然の描き込み方がはんぱなくて、それ以外はそこまで上手じゃないという、妙なアンバランスさがいいバランスになっています。四季折々の描き方が素敵です。

「グランマ・モーゼス展」。世田谷美術館で、来年2022年2月27日・日曜日まで開催されています。
観覧料は、一般が1600円。65歳以上の方は1,300円です。

「オーバー 70女性アーティストの展覧会がアツい!」。2つ目は・・・
『最高齢は105歳!世界の女性アーティストの作品を集めた、アナザーエナジー展!』

▼「森美術館 アナザーエナジー展」
・アーティスト歴50年以上の女性だけ!の展覧会。
・世界各国、下は72歳から上は105歳までのアーティストたち16名の作品がならびます。

▼いまよりも更に女性が活躍しづらかったころからアーティストとして活動している方々が多く、作品のダイナミックさはもちろんですが、強い念を感じます。
・どのおばあちゃんの作品も、めちゃくちゃパワフルでかっこいい。

▼おすすめは、御年88歳の三島喜美代さんの陶器の作品など

「アナザーエナジー展」は、六本木・森美術館で、来年1月16日・日曜日まで、お休みなしで開催されています。

観覧料は、平日の一般が2,000円。土日は2,200円になります。
こちらは、オンラインでもご覧いただけます。

「オーバー 70女性アーティストの展覧会がアツい!」。3つ目は・・・
『Everyday Life : わたしは生まれなおしている 展!』

▼東京都美術館「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」展。
「上野アーティストプロジェクト」という、東京都美術館で展覧会を開催している公募展で活躍する女性画家たちを選んで紹介するグループ展。今回登場するのは6名で、注目は、モーゼスおばあちゃんとおなじく、70歳をすぎてから絵に目覚めて丸木スマさん。

▼スマさんは、息子夫婦が画家(丸木位里、丸木俊)で、夫婦の影響を受けて、70歳で絵を書き始めたおばあさん。わずか10年の間に、めきめきと腕をあげて、いろいろな公募展で入選するなどした人。色使いや描写のしかたがものすごく力強いのが特徴!

※丸木スマ(1875~1956)
太平洋戦争を経験し、戦後、70歳を過ぎた頃に絵筆をとった丸木スマは美術教育を受けず、自分自身で表現を開拓していった画家。夫・金助を亡くした原爆の記憶だけでなく、自身が暮らした山村の風景や、身近にいた動植物を鮮やかに描き残した。
「Everyday Life : わたしは生まれなおしている展」。

上野・東京都美術館で来年1月6日・木曜日まで開催されています。観覧料は、一般は500円、65歳以上の方・300円です。

■浦島茂世さんの本「東京のちいさな美術館めぐり」(ジービー)
電子書籍もあります!

編集部おすすめ