TBSラジオで放送中の「ACTION」。木曜パーソナリティは、羽田圭介さん。
8月13日(木)のゲストは、東洋大学教授で犯罪心理学者の桐生正幸さん。桐生さんは先月、『悪いヤツらは何を考えているのかーゼロからわかる犯罪心理学入門』というご本を出されています。今日は桐生さんから何故犯罪は起きるのか、犯罪者はどんなことを考えているのかを羽田圭介さんがお話を伺いました。
羽田:どういったときに犯罪は起きますか?
桐生:犯罪者がそこにいれば犯罪が起こるのかというと、それは違います。その犯罪者は自分が犯行しやすい被害者や被害物に出会うことが重要なんです。犯罪者が一人で夜の町をフラフラしても犯罪は起きません。そこにターゲットとなる人や物が突然その場所、その時間に現れることが重要です。具体的にいうと、ひったくりをしたいと思っている人が町中をぐるぐる走っていて、自分がひったくりをしやすい時間や場所にたまたま女性が一人で現れると犯罪が発生します。それを抑止するのが監視カメラや監視者みたいな第三者です。そういった監視者がおらず、犯罪のしやすい時間帯と場所でたまたま加害者と被害者が巡り合ってしまったときに犯罪は起こりますね。
羽田:ニューヨークで「窓が割れているところは犯罪が多い」ということで、市長が窓を直したら犯罪が減ったということがありましたね。
桐生:おっしゃる通りです。
羽田:犯罪を実行するときに、犯罪者はどんなことを考えるんですか?
桐生:そもそも犯罪者は、逮捕されて社会的地位を失うようなことはしたくありません。なので、たとえば犯罪でお金を得ることや女性へのイタズラみたいな目的を達成することで得られる利益と、逮捕される危険性を天秤にかけて彼らは動いています。合理的選択理論というものです。たとえば痴漢をする人も、急にムラムラして女性を襲うんじゃなくて、自分の狙いたい女性がいて、その女性を狙う場所と時間帯的に見つからないから大丈夫と思って犯行に及んでいます。電車の痴漢も「見つからないから大丈夫」ということを前提に彼らは犯行に及んでいますね。
羽田:リスクと天秤にかけて利益を得るために犯行に及ぶ話とはまた別に、犯罪者にとってなんの利益もない犯罪もあると思います。これをする人の心理状態はどういうものですか?

桐生:犯罪心理学の中にも軽いものと重篤なものがあります。重篤なものだとシリアルキラーと呼ばれる猟奇的殺人犯ですね。たとえば去年、川崎のバス停の前でそういった事件がありました。
羽田:最近の犯罪者の世代的な特徴はありますか?
桐生:まずは高齢者の犯罪です。たとえば高齢者女性の万引き件数が、若い人よりも全然増えています。今までは万引きは小学生・中学生のイメージもありましたが、そうじゃなくて高齢者です。あとは粗暴犯です。高齢者男性が人に対して殴ったり、罵詈雑言するのが増えています。これは人数だけでなく比率も増えています。一方若い世代は表立った犯罪よりも内に籠るような犯罪が増えていますね。

羽田:高齢者犯罪の比率が増えているんですね。
桐生:そうなんですよ。たとえば万引きであれば、物が欲しいんじゃなくて、万引きしたあとに店員に「そんなことしちゃダメだよ、おばあちゃん」と話しかけられたくてやってしまうみたいです。これは社会的な背景があると思いますね。
羽田:孤独みたいなものが原因としてあるんですね。
引き続き、犯罪心理学から見る犯罪者についてお話を伺いました。
◆8月13日放送分より 番組名:「ACTION」
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