TBSラジオで平日15時30分から放送中の「ACTION」。金曜パーソナリティは、武田砂鉄さん。
8月28日(金)のゲストは、コラムニストの小田嶋隆さん。本当であればこの時期に武田砂鉄さんが編者として関わった、小田嶋さんの10年間のTwitterでの発言をまとめたご本が出る予定でしたが、小田嶋さんは1ヶ月遅れで昨日「あとがき」を書いたそうです…。今日はそのご本についてお話を伺いました。
武田:なかなか書かなかったですね(笑)
小田嶋:昔からそうなんですけど、あとはまえがきとあとがき書くだけってなってから、半年延ばしちゃうことがあるんです。どうしてもやる気が起きないんですよ…。
武田:この1ヶ月の間で「今日は書けるかな?」という日はなかったですか?
小田嶋:定期刊行物の締切は相手が必死じゃないですか。でもそうじゃないと、「今日じゃなくてもいいか」とか思っていたら1ヶ月、2ヶ月すぐ経っちゃいますね。
幸坂:どのぐらいまで延ばしていいんですか?
武田:延ばしちゃいけないです(笑)そして締切を大幅に延ばす人って、強気なんですよ(笑)
小田嶋:実は大御所だからじゃなくて、駆け出しのペーペーのときから僕は締切を延ばしてましたよ!
武田:その強気を持てるか持てないかなんですよね(笑)

武田:10年分のツイートを厳選して本にするというのは、それができる感覚があったからですか?
小田嶋:本人はそうとは思ってないですよ。「作ったらどう?」と言われて、こっちは手間がかからないから。でも選定作業が大変だろうなと思って、「誰か適当な人はいるのか?」と聞いたら、編集者から「武田砂鉄はどうですか?」と(笑)
武田:それで束になって出力された紙が送られてきましたよ(笑)10年分の小田嶋さんのツイートを10%ぐらいに絞るんですから。
小田嶋:玉石混交という言葉がありますが、あれはゴミの山ですから(笑)その中から見られるものを拾って本の形にするという作業ですね。でも読んでびっくりしましたよ。
武田:昨日頂きたてのあとがきには、「読んで俺って天才なんじゃないだろうかと、中学生のときに隣の席の女子に遠足の作文を褒められて以来、50年ぶりにそう思った」と。そんなにですか?(笑)
小田嶋:素晴らしいなと思いましたよ。自分の書いたものなんて、たいてい嫌なものなんですよ。でも、書いたことを忘れていたものが拾われたものなので、これは砂鉄さんのゴミをかき分けてきた力の賜物ですよ。
武田:ゴミとは思っていないですが、かき分けは大変でしたね(笑)

武田:この本は『災間の唄』というタイトルで、東日本大震災からコロナ禍、そして安倍さん辞任までにかけてのツイートをまとめたものになりますね。
小田嶋:安倍さんが総理を務めた8年間とほとんど被っている期間なので、それが日本にとっての一種の災害のディケイドだったということになると、出版のタイミングとしても待った甲斐がありましたね!
武田:こういう言い訳を思いつくのがすごいですよね(笑)意味付けのプロですよ(笑)僕も本を作りながら読んでいて、小田嶋さんもどこかで書かれていましたが、この10年間で起こった出来事に対して共通して思うのが「しらばっくれてんじゃねえよ」というキーワードですよね。1個1個起こった出来事に対して、なんとか忘れさせようという力がありましたよね。
小田嶋:案外忘れているんですよね。でもその時に怒っていたり、絶対覚えておこうと思ったことが文字にして残っていると、記録としての意味はありますよね。
武田:小田嶋さんはよく匿名のアカウントと戦っていますが、なんであんなことしてるんですか?(笑)

小田嶋:Twitterの世界でクソリプと呼ばれるものに対して誠実に返事をするということをしていますが、そういう芸風ですよね。別に本人に返事をしているんじゃなくて、「俺はこういうやつにも返事をしているよ」という芸を見せている感覚ですかね。
引き続き、小田嶋さんのライター論について伺いました。
◆8月28日放送分より 番組名:「ACTION」
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