TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』毎週月曜日~金曜日 朝6時30分から放送中!(3月15日(火)放送分)

7時30分過ぎからは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」

ロシア軍によるウクライナ侵攻以後、とても残念なことが日本国内で起きています。ロシア料理店などに対する匿名での嫌がらせです

ロシア料理店を標的に、Googleマップで誹謗中傷

今特に目につくのが、Googleマップ上でロシア料理店を標的として不快な書き込みを行ったり、おそらくお店に行ってもいないのに最低評価の「星1」をつけるといった手法です。実際に被害にあったという都内のロシア料理店のオーナーにお話を伺いました。

「ある一人の人がとにかくすごく広範囲のロシア料理店にセンシティブな写真をアップして、ひどい言葉、『不味すぎて食べられない』とか書いてたんですね。その他にもレビューはないけど星1つみたいな、何人か急に湧き出てきてしまって、それで一回、いろんなお客さんとかメディアとかが気が付いて声を挙げてくれて、一回綺麗になったんですけど、その後また同じ人が写真だけ外してひどい言葉だけで上げてきたりとか、またちょっと復活してきてしまってるというような感じですね。」
(都内のロシア料理店のオーナー)

この方によると、ある一つのアカウントが全国30店舗ほどのロシア料理店に対し「人間の食べ物ではない」などのひどい言葉と共に星1の評価をつけ、さらに戦場の様子などセンシティブな画像と共に投稿していたそうです。グーグル側も一度削除の対応をしたけれど、その後は「まずすぎる」など誹謗中傷か事実か判断しかねるレビューが増えていて、それに対するグーグルの削除対応はまだされていないということです。

食文化を共有するロシアとウクライナ

このような嫌がらせはいかなる理由があってもやってはいけないことですが、投稿者はロシア料理店を攻撃することでウクライナを応援するような気持ちになっているのでしょうか…。ウクライナを応援するような気持ちになっているのでしょうか…ただロシアとウクライナはそう簡単に二分できるような関係性ではないと、先ほどのオーナーが、ロシア料理店で働く従業員や、ロシア料理のことを通じて教えてくれました。

「ロシア人もウクライナ人もおりますし、ウクライナにルーツを持つロシア人とか、奥さんロシア人だけど旦那さんウクライナ出身とか、ロシア人でウクライナに親戚いない人はいないって言われてるくらいなので、そこがちょっと簡単には線引きできない部分だと思いますけど。 ロシア料理って言ってますけども、この間まで、この間っていうのはソ連時代なんですけども、ロシアとウクライナは1つの同じ国にあって、食文化自体は共有されてるので、ボルシチもピロシキも、ウクライナにある食べ物なんですね、なので、そんなことも含めて考えて頂けたらと思ってます。」
(都内のロシア料理店のオーナー)

日本のロシア料理店では、ロシア人もウクライナ人も旧ソ連系の方が一緒に働いているケースは珍しくありません。また、食文化的にも、ロシア料理とイメージされがちなボルシチやピロシキはウクライナでもよく食べられています。ロシア料理店を攻撃してウクライナを応援する気持ちになっているのだとしたらそれは全く的外れだという事が分かります。

「ロシア人とウクライナ人は兄弟」ロシア食品専門店オーナーの訴え

日本国内のロシア料理店などへの嫌がらせ相次ぐの画像はこちら >>

今回は、銀座のロシア食品専門店「赤の広場」にも取材しました。こちらのお店はウクライナも含めた旧ソ連系の様々な食品を取り扱っていて、オーナーの方もウクライナ人です。しかしウクライナ情勢の悪化以降、故意かどうか定かではありませんがお店の看板に自転車がぶつかり壊されてしまったり、電話で、商品の注文とキャンセルを繰り返すような嫌がらせが起きて困っています。しかし、オーナーのミヤベ・ヴィクトリアさんのもとには多くの励ましの声も届いています。

「ほとんど、90%以上のお客様に『ごめんなさい』と言われるんです。メールも結構多くて『頑張れ』とか『私はロシアも好きだしウクライナも好きだし両方兄弟、分かってるから平和になりますように』とか。私もソ連時代に育って、別れる事は実際できないですね。考えとして一緒なので。私たちスラビアンでDNAも一緒ですね。兄弟としてしか見れないですね。」(ロシア食品専門店「赤の広場」オーナーのミヤベ・ヴィクトリアさん)

ヴィクトリアさんは、ロシアとウクライナにそれぞれお姉さんが住んでいて、 ウクライナのお姉さんとはずっと連絡がついておらず心配だと仰っていました。それでも、ロシアという国を憎むのではなく「ロシアもウクライナも兄弟」。プーチン大統領は、ロシアとウクライナは一体だという意識もあり、ウクライナを侵攻しますが、それは「兄弟を銃撃・爆撃」するという間違いを起こしていると言えるのではないでしょうか。市民は、ロシアの人も、ウクライナの人も胸を痛めています。こちらの店先には、理解のあるお客さんから送られた花が飾られ、メッセージカードには「NO MORE WAR」と書かれていました。

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