TBSラジオで放送中の「ACTION」。水曜パーソナリティは、Creepy NutsのDJ松永さん。
9月23日(水)のゲストは、RHYMESTERの宇多丸さん。DJ松永さんはRHYMESTERが大好きすぎて、メディアで隙があれば絶対RHYMESTERの話をしています。今日はそんな師弟関係のお二人に、ラジオについて真面目にたっぷり語り合っていただきました。
松永:RHYMSTERが2007年に活動休止されたタイミングで、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』がTBSラジオで始まりましたよね。グループではなくソロのラジオ番組で、TOKYO FMでやられていたラジオ番組よりも時間帯が早くなって、自分のやりたいことはスムーズにできましたか?
宇多丸:自分の冠番組だから、やっぱりものすごく意気込んでましたね。初年度は決まったコーナーを作らなくてね、そっちのほうが予定調和じゃないから。それはベテラン放送作家のせのちんさんに「聞きづらい」と怒られるという(笑)で、その後せのちんさんも我々の軍団に入って、「君の映画の話は特に面白いから、毎週やりなよ」と言われて。「嫌ですよ!」と返したら、「その”嫌ですよ!”の感じも込みでやったらいいよ」と言われましたね。「映画を見させられている体でやるのはどうだ」と。それでサイコロで自分の意図じゃない映画を見て評論するコーナーができるというね。流石、せのちんさんですよ。
松永:上手くラジオが噛み合い始めたなと思ったのはいつぐらいですか?
宇多丸:いやいや、それは瞬間かな。
松永:俺は減点方式で生きているから、ラジオもミスったところしか覚えていないですね。だから盛り上がった日は「今日は凹まずに済んだ」って感じですね。
宇多丸:その慎重さはいいかもね。
幸坂:お昼のラジオで悩んだことはありますか?
松永:なんか深夜ラジオってそのパーソナリティーに理解がある人とか、その人を目的にして聞いてますよね。だからそもそも番組に対して優しいんですけど、昼のラジオってその時間帯を聞いている人が一定数いるんですよね。それが自分に合うかどうかが判断基準だから、こっちが寄せにいかなきゃいけないですね。深夜はリスナーが合わせにいってくれるけど。あと俺って物事に興味のある人に対してすごくコンプレックスがあるんです。それこそ宇多さんやRに対して好奇心や興味の部分で俺は全く勝てないですからね。

宇多丸:必ずしも自分の得意ジャンルじゃなかったり、よく知らなかったり、ピンとアンテナが張り切っていない部分とかもフラットに受けられるみたいなね。
松永:そうなんです。そこを楽しめる才能が欠けているなと思っていて。それで毎週いろんなトピックが展開していって、それを自分が受け手として聞いたり掘り下げるのって不向きだと思っていたんです。
宇多丸:でもここまで厳しく自己分析している時点で君は合格だよ。すごくちゃんとしているよ。おそらく幸坂さんはそんな反省はしないタイプだよ!
幸坂:えぇ、なんで!?反省します、します!!
松永:アハハハハッ!
宇多丸:なんか幸坂さんは肝が太いというか、動じないよね。だってこの時間帯で癖のある連中と毎日相手するってなかなか疲弊しそうな気もするんだけど、そんな気配がないよね。
幸坂:私は毎日ただただ楽しくやっていましたね。
松永:それはすごいね、その太さがほしいですよ。
宇多丸:でもこの太さがあるからこそ、相手の作家さんやミュージシャンみたいな、いろんな凸凹がある人とやることで良い塩梅になっていったと思いますよ。

宇多丸:松永がACTIONをやって良かったなって思うのが、フラットに社会と接する場面があったことですね。僕らの仕事ってそういうのは基本ないから。
松永:めちゃくちゃ身に沁みます。この番組をやって「普通のことを喋っていいんだ!」って初めて実感しました。
宇多丸:俺でいうと『小島慶子 キラ☆キラ』という番組がそうでしたね。あれもやってて楽しくて。それは「俺、社会と接点持ってるぞ!」という喜びがあったんだよね。ショッピングのコーナーとかすごく楽しかったよ。「俺、ちゃんと社会と折り合いをつけているぞ!」という喜びね。ほっといたらちゃんとした身分証も持っていない暮らしをしていた俺だからね。
松永:HIPHOPの業界の人間ってそういう機会はなかなかないですからね。
宇多丸:だからこういう経験ってめちゃくちゃ糧になるよね。
このほか、真面目なHIPHOP談義もされました。
◆9月23日放送分より 番組名:「ACTION」
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