TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』月~木曜日の11時から放送中!(4月6日(水)放送分)

医療ジャーナリストで医師の森田豊さんです!
今日の「スーさん、これいいよ!」は、森田さんから「4月病・春バテ」について!

5月病じゃなくて4月病?

以前から「5月病」というのは有名ですよね。ゴールデンウィークが明けた頃からやる気が無くなったり、不安感や緊張感による精神的ストレスが、体調不良となって出てくる症状のことです。最近は、4月にも同じような症状が見受けられ、これを「4月病」と呼んでいます。

ちょうど季節の変わり目の春に生じることから、春バテとも呼ばれつつあります。

症状としては、
1:疲労感やだるさを感じる
2:気分が落ち込む
3:イライラする
4:ひどくなると、やる気が出ない といったものが多いですね。

ウーマンウェルネス研究所が首都圏在住の20代~50代の男女、およそ800人を調査したところ、季節の変わり目である春、すなわち3月~5月に、身体の不調を感じている人が60%を超えているとのことです。さらに、精神面の不調を2人に1人が感じていることがわかりました。また、いずれも男性よりも女性の割合が10%ほど高い結果となっています。

原因は大きくわけて2つ

まず1つ目は・・・「環境の変化」

4月は、期待に胸を膨らませて、やる気も溢れる時期です。その「やる気」や「挑戦」は大切なことなんですが、自分の中では前向きに頑張っているのにもかかわらず、周囲との関係において思い通りに行かずに、心や体が疲れてしまうことが多いんです。特にコロナ禍が明けつつあって、人と会う機会が多くなってきたり、年度が変わり、会う人が変わることも、知らず知らずのうちにストレスになってしまう場合が多いです。職場に「あの人がいるから楽しみだ!」ならいいんですが、「あの人は苦手・・・」だと、気持ちがマイナスな方向ばかりに向いてしまうことも多いようです。自分自身の環境の変化でなくても、家族に生じた変化でも、ストレスとして感じることが多い時期なんです。

2つ目は・・・「季節の変化」

春は一年の中でも特に寒暖差が激しく、その寒暖差に身体が対応するために自律神経のバランスが崩れます。暖かくなることで、リラックスすなわち、ブレーキの自律神経である副交感神経が強く働くようになりますので、それによって、疲れやだるさが生じます。気圧の変化も悪影響ですよね。

最近は低気圧が原因で体調が悪くなる方も増えていて、「低気圧男子」「低気圧女子」と呼ばれることもあるようです。新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛や生活環境の変化によって生じた不安・ストレスの影響もあり、「気分が落ち込む」という訴えが、4月病・春バテの症状の中で最も多くなりました。また、おととしの春の調査では、「寒暖差が身体にこたえる」と感じた人は増加し、半数以上にも及んだと報告されています。

4月病とか春バテに陥りやすい人

1:新年度に、自分自身もしくは家族に、生活の変化が生じた
2:几帳面で何事にも一生懸命に頑張る
3:ゴールデンウィークには、毎日ぎっしり予定を立ててある
4:朝起きたときに「今日はよく寝たなぁ」と思うことが少ない
5:運動が嫌い。散歩などにもいかない
6:愚痴を話せる人が周囲にいない
6つの項目で、当てはまるものが多ければ多いほど、なりやすいです。

予防や対策は「自分自身を知ること」

自分自身が一生懸命頑張る人間だと感じていたり、家族にそのような人がいたら、この時期はちょっと力を抜くように意識したいです。腹八分目という言葉もありますが、頑張るのも八分目がいいと思います。「頑張ろう」と意気込むことも大切なことですが、特に几帳面で努力を惜しまない方だと、大きなストレスを抱える時期でもあるということを、意識してもらいたいです。逆に普段から楽観的な考え方のできる人、少し努力に手抜きができる人は、4月病や春バテの危険性は少ないように感じます。
休みの日にも頑張りすぎないこと。ゴールデンウィークに厳密にびっしり予定を立てるような人は、仕事だけでなく休日にも一生懸命になるということで、悪い事ではないですが遊んでリフレッシュするはずが、逆に疲れすぎたり、ストレスをためすぎることになる場合もあることを理解してほしいです。
そして重要な対策は、睡眠です。
心や体の疲労を回復するには、なんといっても質の良い睡眠を取ることです。

このコーナーで何度もお話ししていますが、シャワーで済ませることなく、38度~40度の湯船に10分~15分入って、そのあと、ひんやりしたお布団で、深部体温を急激に下げて寝つきをよくして、睡眠の質も高めてほしいです。
そのほか、普段から適度な運動をすることが自律神経の強化につながります。
運動習慣のない人は筋トレなどの激しい運動までは必要ありませんが、散歩をしたり家事をしたり、数年後も継続できるような自分にあった運動習慣を見つけてもらいたいです。
人に悩みを聞いてもらったり、相談したりするのもいいのですね。悩みを抱え込まないで人に相談することは、ストレス解消になります。単にストレス解消法といっても、万人に効果のあるものはないので、自分に合った趣味、ストレス解消法を普段の生活から見つけるような努力をしてほしいです。そうすれば、ストレスに対する強い体と心になるはずです。
60%近くの人が春バテを感じていますので、この時期に体調不良を感じても、「自分だけじゃない」という意識を持つことでかなり楽になるかと思います。周りも辛いと思うと、結構楽に受け入れられますし、対処しようという前向きな気持ちになれるように感じます。

ただし、症状が2週間以上改善しなかったり、辛すぎる場合には、必ずかかりつけ医に相談してください

季節の変わり目や年度の変わり目に気をつけたい「春バテ・4月病...の画像はこちら >>
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