再び発令された緊急事態宣言。ひっ迫している医療現場で指摘されているのが看護師不足。
まず神奈川県の病院のコロナ病棟で働く林さんにお話しを伺いました。
★看護師が足りない神奈川県の病院のコロナ病棟でも働かれている林さん
「一か月前ぐらいに「コロナ病棟に入ってください」っていう風に言われて、その病棟に行ったら、みんな他の病棟からお願いされて入ってる状況だったので、スタッフとのコミュニケーションを取って業務を円滑に進めるのはすごい大変でした。毎月毎月スタッフが変わってくるので、スタッフが変わるとまた教えなきゃいけないっていうのもあるので、コロナ病棟専用のスタッフが欲しいなと思います。でも、そうすると、一般病棟のスタッフが少なくなっちゃうので、やっぱり人員がもうちょっと欲しいですね。一床あたりいくら出すとかって言う話が出てましたけど、急に言われてもすぐには人は増やせないし、かといって、私達みたいな現場で働く看護師にお金が下りてくるのかって言うとやっぱりそういう情報もないので、すごい他人事みたいな感じでした」
大前提として人が足りない。さらにコロナ対応は防護服を着たり、他の病床より非常に人手が必要。そのため他の病棟から看護師を集めて増員しないと回らない。でも他の病棟も看護師をコロナ病棟に出しっぱなしにしたら回らないので、この病院では、順番にローテーションでコロナ病棟に行く。全ての病棟が人手不足に陥っている状態。また、コロナ病棟では、常に新しい人が来るので教えるところから始めるので、また大変。なんとか回っていても、現場のコミュニケーションなど非常に困難になる、そういう難しさもるようです。
また現在、重症用の病床を1床あらたに確保すると最大1950万円の補助が出ますが、お金があっても看護師を新たに雇用するのは簡単ではない、かと言って、そのお金が今の看護師に降りてくる話もまだない。結果、こうした大きなお金も、他人事に聞こえるそうです。
この看護師不足については、国も人材確保の動いていますが、この動きは現場からはどう見えているのか?神奈川県の別のコロナ病棟で働いている看護師さんに伺いました。
★復職を呼びかける声現在コロナ病棟で働いている看護師さん
「人材の確保をするってなった時に、どこからその人達を連れてくるかって言うと、結局引退と言うか、家庭に入ってる人達を連れてこなきゃいけないんですね。家庭に入って一回辞めちゃった方だとブランクもあるので、またちょっと戻るのに時間がかかったり、辞めてから時間が経ってると医療も進化してるので勉強し直したりとかしなきゃいけないところもあるので、復職であっても、今すぐに人材を確保するっていうのは、正直なかなか難しい話じゃないかなっていうふうに私は思います」
国では、看護系大学にいる免許を持つ大学院生や教員を現場に派遣するよう要望をだしましたが、現場経験がないのでその教育に時間がかかる。また、元看護師の復職を呼びかける声も広がっていますが、医療の変化、ましてやコロナは現役時代にはなかったことなので、知識や技術が追いつくまでには時間がかかる。現場では今にも医療崩壊しそうですぐに人材が欲しいところですが、少し時間はかかってしまうので大変そうでした。
こうした中、看護協会などは、医療現場への元看護師の復職を手伝っています。現状はどうか?大阪府看護協会の会長、高橋弘枝さんに伺いました。
★解決の道はあるのか大阪府看護協会 高橋弘枝さん
「うまくいってるというわけではありません。復職をされる看護師さん達にはやはり勇気がいります。臨床から離れていれば、臨床ってのは医学もどんどん進んで技術も進んんでいってます。
一番人手が足りないのはコロナ病棟なのですが、家庭にいる元看護師の方が現場に復帰して、さらにコロナ病棟に入るとなると、自分の感染リスクに加えて家族への感染リスクもでてきて、なかなか踏み切れない問題も多いそうです。それならば、一般病棟への復職にハードルを下げて、そこに入ってもらうことで、現役の看護師さんをコロナ病棟へと言うお話でした。
看護師が足りない、と聞くと、「元看護師の方に戻ってもらえば?」という人も多いですが、現実的には、それも簡単ではない。専門職ですから、すぐに量と質が追いつくことはなかなかできないわけです。
そう考えると、ここまでひっ迫する前に、感染を抑えておく必要があった、また医療体制を強化しておく必要があったのかなと感じました。
◆1月13日放送分より 番組名:「森本毅郎 スタンバイ!」
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