大きく報道されることは少ないですが、コロナ禍の影響が大きい業界の一つにクリーニング業界があります。というのも、自粛自粛で外出が少ないし、入学式・卒業式・入社式、果ては葬儀など、クリーニングに出す洋服を着る機会もほとんど無くなってきているから。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!3月15日(月)は、『飲食店だけじゃない。コロナで苦境のクリーニング業界の声。』を聞きました。
★ワイシャツが極端に減りましたね・・・その中でも、特にクリーニング業界に痛手となったのは、テレワークの広がり。創業60年。東京都墨田区の「細谷クリーニング」店主、細谷勝美さんにお話を聞きました。
▼墨田区・細谷クリーニングの店主細谷勝美さん(左)と息子の勝さん。
細谷勝美さん
「ワイシャツは極端に減りましたね。一週間に一回くらい土曜日に一週間分6枚とか7枚持って来たお客さんが、もうテレワークだから二週間に1枚とか2枚とか、そういう状況ですので、ちょっとワイシャツはもう・・・ピタっとなんかね。半分まではいかないけど、3割4割減ってますよね・・・。そうですね、やっぱりクリーニングのワイシャツっていうのはね、一つの看板ですからね。
ワイシャツはクリーニング店の大きな柱。これが4割も減るのはかなりの痛手です。
しかも、細谷さんのところは、20年使った機械がダメになったために思い切って数百万の投資をして、買い替えたばかり!そのとたんにみるみるワイシャツが減ってしまったのだから、大変です。
クリーニング業界というのは不況に強い、と言われていたそうですが、組合で同業者の話を聞くと、やはり仕事が4割くらい落ちた、これを機に店をたたむ、という話も多いそうで、業界全体が非常に厳しい状況だ、ということでした。
★ポケットにマスクが入っていて・・・しかし、先週あたりからぐっと温かくなってきて、そろそろ衣替えの時期。クリーニングの出番ですから、少し持ち直すのでは?と聞いたところ、もちろん期待はしているのですが、自粛生活で基本的に外出が少なかったので、ダウンやコートもあんまり着てないし、汚れていないから今年はクリーニングはいいか、とか、収入も減ったし家で洗うか、という人も多いかもしれない、という不安も。
できれば衣替えで出してほしいな、と話す細谷さんですが、実はもう一つ、クリーニング店のみなさんが、コロナ禍の営業で困っていることがあるんです。
細谷勝美さん
「ときどきね、やっぱりマスクがポケットの中に入ってるんですよね。うーん、パって、こう触った時になんかイヤですよね。まあ、すぐ手洗ったりね、アルコール消毒したりするんですけどね、ええ。ボールペンとか、そういうようなものが入っててクリーニングしちゃった場合、ボールペンのインクが移染しちゃうので、ですからポケット掃除だけはもうしっかりやらないとね、大変な事故になっちゃいますので、そこはもう徹底してます。
クリーニング店では、ポケットの中に物が入っていないか、基本的に素手で触って確認します。素手で使用済みのマスクに触る可能性が高いので、怖いことだと思います。いつも以上にポケットの中を確認して、ぜひクリーニングに出してください。
★コロナ禍でも減っていない「しみ抜き」依頼!そんな中、こちらのお店では苦しい状況を補うべく、力を入れていることもありました。それは息子さん、3代目の勝さんの「染み抜き」。勝さんのお話です。
細谷勝さん
「11年ぐらい前に始めたんですけど、クリーニング学校の中で染み抜きが上手な先生がいらっしゃった。一つの武器として、技術を磨いて、学んで、その後、染み抜きの認定を頂いた形です。一応、自信もってやらせて頂いています。
業界団体の「しみ抜き技術者」として認定された腕前を持つ勝さんの技術は、SNSで発信され、他県からも依頼が来ているそうです。
もちろん、これだけで、ワイシャツの減少分を補えるわけではないですが、テレワークで営業時間内に間に合うように来られる人が増えたのか?しみ抜きの依頼はコロナ前と変わらないそうで、「技術を磨いておいて良かった」と話していました。
コロナが収まってもテレワークは続くかもしれませんが、磨いた技術でぜひ頑張ってほしいです!
◆3月15日放送分より 番組名:「森本毅郎 スタンバイ!」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210315063000