TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』毎週土曜13時から放送中!

12月17日(土)の井上貴博 土曜日の「あ」。

ゲストコーナー「あ」の人は…フリーアナウンサーの倉敷保雄さん!

多くの実況をされている倉敷さんに、サッカー実況について話をうかがいました!

井上「スポーツ中継って実況によって見え方が全然変わってくると思うんですけど。

どんなところに気をつけてらっしゃいますか?」

倉敷「気をつけてることは、まず…選手のプレーは批評しても選手自体を批判しないこと。例えば乱暴なプレーをしたとして、そこのプレーは良くないプレーですということは言及します。でもこの選手は悪い選手ですとは言えない」

井上「なるほど」

倉敷「あとは音感ですね。1つの試合の中には必ずリズムとかテンポがあって、それを追っていくにはどうしたらいいかっていうと、ボールを持っている選手を次々呼んでいくことによって、この試合はどういうタイプの試合なのか?8ビートなのか16ビートなのか?クラッシック系なのか?ロック系なのか?あるいは歌謡曲、それもムード歌謡の試合なのか?っていう形がボールとかを追ってくると、リズムとかテンポが出てくる。その中で強いキック弱いキック、小刻みな装飾音符がたくさんついたようなパスを出す人もいる!という風に思うと100曲ぐらいある」

田中「えー?!」

井上「それは試合前に何となく考えているんですか?それとも試合中にチューニングするんですか?」

倉敷「予測はするんですね。色んなプロフィールを調べたりとか、監督の置かれている状況、選手の置かれてる状況、チームの置かれてる状況ってのはそれぞれ違いますから。背景にどんなニュースがあって、今選手たちはこういう試合を戦わなければいけないのかっていうことによって。あるいは選手の中でちょっと揉め事が起こってます。これを解決するにはどうしたらいいでしょう?とか。あるいは今日は移籍をしたがってる選手がいてスタンドを見ると実はたくさんのエージェントとかスカウトの人が来てるかもしれないって考えながらやっていく。ここを見せようかな?っていう準備はたくさんしておくんです」

井上「へぇー!」

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倉敷「でも実際始まって試合が面白かったらやっぱり活きの良いもの、鮮度の良いものってのはそのまま食べたいじゃないですか」

井上「はい」

倉敷「そうするとそれは捨てちゃって、その試合だけ伝える。試合が面白くない事をこの世界では”赤ん坊が寝ていられるような”って言い方するんですけど、赤ん坊がスタンドにしてもスヤスヤ寝てられるような何も起こらないつまらない試合の時にはこういう話でもしましょうかって。

せっかく起きてくださってる視聴者の方に話をするためのネタは集めておくという感じですかね」

井上「ネタは準備しても、それをどっぷり捨てる勇気も持ちながらですね」

倉敷「そこは勇気だと思います」

その後、今回のカタールワールドカップの話になり…

各局協力して権利を取って、皆でワールドカップを放送すれば良い!

井上「今回のABEMAとか、にわかファンを掘り起こすことに大変貢献されたと思うです」

倉敷「そうですよね」

井上「なんかちょっと変わってきてる」

倉敷「僕は今回の大きなワールドカップのコンテンツっていうのは全部の局でやるべきだって意見なんですね」

井上「へぇー」

倉敷「1つの局が独占するっていうのは、百害あって一利なしで、これが全局でバラバラに色々やっていったら、色んなバリエーションが出るわけじゃないですか?」

井上「それぞれ違う形で同じ試合を?」

倉敷「そうです。TBSもやります、日本テレビもやります、フジテレビテレビ朝日NHKもやりますという形で全部がやれるような権利を持ってたらバリエーション出る。にわかさんでも何でもいいんですよ。たくさんの人が面白いものは楽しんでくれたら、その時間を共有できるってことがいかに幸せなことかっていうところなんで。それだけの価値がワールドカップっていう大会はある。良いものはみんなで楽しみましょうっていう形で、僕は1つの番組をみんなで作るっていうのに賛成なんですね」

井上「ちょっと高すぎるんですよ…」

倉敷「そうなんですよね。今回TBS難しかったんだと思うんですけど、そこんところやっぱりコンテンツホルダーが常にホワイトナイトが出てくるとは限らないと思うので、そうするとワールドカップを日本では見られないっていう危険なことだって今後あり得るわけですから」

井上「うーん」

倉敷「そうならないためには、日本って良い意味でまだ誤解されてるんですね。日本は経済力があって強い国だと思われてますけど。実はそうでもないっていうのをNスタとか見てると私はこう勉強したりするわけですが。そういうふうになってきた中で、日本ってのはそうじゃないんだよ、もうちょっと料金を下げてくれないと…オリンピックにしてもワールドカップにしても、日本に売る金額って高すぎるんですよ。どこの国でも同じで金額で売ってるわけではないので」

田中「国によって異なるんですね」

倉敷「違います。日本はすごく高く設定されてしまっているので、そこのところをまず誤解を解いて、僕たちはこのくらいの実力ですってところから始めてやらないと駄目なんじゃないんですかね?だから…ABEMAが無料でやってくれたってのは本当すごいことだと思います」

井上「ABEMAは2000万~3000万と一緒に見てる人がいましたけど、でもだからこそ今って、ボクシングでも無料で見られるっていう時代が終わりつつあるじゃないですか」

倉敷「そうですね」

井上「オリンピックもパラリンピックもそうなるかもしれない。

そしてサッカーがそうなってきた。野球もそうなるかもしれない。そうすると今日の議題のにわかファンを獲得しづらくなる。今回のワールドカップはむしろ違う方にいったのが素晴らしいなと」

倉敷「ありがたいですよ。競技だけじゃなくてあらゆるサブカルもそうですけど、分母をどうやって増やそうかっていうことを悩んでいる。どうやったら最初の取っ掛かりに入ってくれるんだろうというところ、初めに来てくれるってのはなかなか敷居が高くて難しい。そういう部分を今回、ABEMA、あるいは本田圭佑さんのようなああいうコメンテーターってのが出てきた。これもありなんだっていうところは色んな部分で意識をちょっと下げてくれたかなっていう気はしますね。ただ…継続は大事です」

「あ」の人の後は、『にわかファン』について話しました。
ここからファンやオタク文化について研究しているニッセイ基礎研究所の廣瀬さんも参加します。

各局協力して権利を取って、皆でワールドカップを放送すれば良い!

井上「ワールドカップの時みたいに、パーッと盛り上がるのは良いけど、それを一過性のものになってしまうのか。そこから持続するのか。

にわかファンから生粋のファンに変わるのかどうか」

倉敷「僕は一目惚れが恋愛に変わるのかどうかだと思ってて」

井上「一目惚れかどうか?」

倉敷「恋愛に関わらず、これ素晴らしいな、素敵だなと思って何か見ていて一目惚れする状況ってあって。恋は盲目じゃないけどずっと見ちゃうみたいな形のものの中にあって。それが続けていけたら恋愛になって結婚するのかもしれないし、パートナーで終わるのかもしれないし。好きなものが自分の人生の中でたくさん積み重なっていくのって幸せだと僕は思っているので。そういう形でちょっと好きになりました。離れちゃいましたっていうのは良いんじゃないですか」

井上「なるほど」

倉敷「その中で、いくつ自分が好きなものが出てくるか。60の手習いって言葉もありますけども、若いうちにちょっとやっとくと年取ってからもまたやりやすかったり、いくつになったって始めることって可能なんです。ちょっとやっとくと後から楽なんですよね。若いうちに少しやっていくのは決して悪いことではないと思うし、オフサイドなんて知らなくても全然構わないし。1.88ミリ出てたとか出てないとかって言われたって僕らだって分かるわけないんですよね」

井上「確かに」

田中「私もわかんないんです」

井上「何か今の話うかがってて、一目惚れほどいってなくても良いのかなと思って」

倉敷「そうですね」

倉敷「今私、ワールドカップは一目惚れほどいってないなと思って。でもなんか見たくなるし面白いし」

田中「はい」

井上「ちょっと気になるあの人、ぐらいかなみたいな」

廣瀬「オタクとファンを同じものとして話したとすると、オタクっていうのはどうしても精神的充足のために消費を行っているところがあるんですよね」

井上「自己満足のために」

廣瀬「自分が好きだからどんどん消費を追求していくような形なんですけど、世の中で使われているにわかという言葉で考えると、どうしても出来事だったりとか今流行っているものをフックにコミュニケーションを取りたい人たちというような印象を私は受けます」

井上「会話のタネにもなる、みたいですね」

廣瀬「その時盛り上がっているものを中心で楽しみたい人たち」

田中「確かに。置いてけぼりは嫌ですもんね」

廣瀬「結局みんな盛り上がってるから、そこの真ん中に居れるってことは、他のそれを客観視してる人たちよりかは楽しいわけであって。

周りにいる人たちがそういった行動を冷たい目で見ているって言い方おかしいですけれども」

井上「なるほど。でもそれを堂々と真ん中に行きすぎても嫌がられますでしょう?」

廣瀬「そうですね。それがどうしてもにわかという存在が否定されてしまう理由なのかなとは思うんですね。詳しくないのにこう思ってるって、バンバン出るなっていうのはまさにそういうところから感想なのかなと思いますね」

井上「厳しいね…」

倉敷「ジェラシーとか嫉妬心みたいなものが背景にありますよね」

廣瀬「その通りですね」

倉敷「自分の方が先に好きになったのにっていうところがあって」

井上「俺の方が早かったしなぁ、知ってるんだよなぁっていうところの嫉妬心」

倉敷「若い人を臆病なところがあるし」

井上「そう!たぶん嫌われたくないんですよ」

この他にも倉敷さんと廣瀬さんと一緒に『にわかファン』について沢山話しました!

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