最近、電気自動車や、自動運転車など、車の変化が激しいですが、そうした中、日本でこれまでなかった車が走り始めています。
それはタイやインドで、タクシーとして使われている三輪自動車「トゥクトゥク」。
前は1輪で後ろは2輪。前座席に1人、後部座席には横並びで座れるようになっているタイプの車で、これが国内で広がっているようです。
観光地でトゥクトゥクのレンタルサービスが広がる
どんな使われ方をしているのか。まずは、昨年から熱海でトゥクトゥクのレンタルを始めた、斎藤敏之さんのお話。
トゥクトゥクのレンタカー店「TOOK(トゥック)」斎藤敏之さん
静岡県の熱海市の駅前、駅から30秒の場所で、トゥクトゥクのレンタカー専門店としてオープンしました。全部で8台ご用意しております。基本的には「普通自動車免許」があればOKなんですけれども、坂道が本当に多くて狭い道も多いですので、熱海にバッチリ合うんじゃないかと。お陰様で土日祝日は事前予約で埋まってしまうぐらいですね。この間、年末年始なんかだと、3世代のご利用、お爺ちゃんがいて、お父さんがいて、お孫さんがいて、みたいなご利用もありましたね。
こちらは、昨年10月に、熱海駅前にオープンしたトゥクトゥクのレンタカー店「TOOK(トゥック)」。
バイクのようにバーハンドルで操作しますが、ヘルメットを被る必要はなく、日本では「普通免許(AT限定)」で運転することができます。
店には、3人乗りのSサイズの電気自動車から、7人乗りのLLサイズのガソリン車まで、8台ラインナップがあり、料金は、3人乗りが、2時間で5600円~。7人乗りが2時間1万1100円~と、普通のレンタカーよりやや割高ですが、土日・祝日の予約が、今年6月まで入っているほどの人気だそうです。
でも、わざわざ熱海でトゥクトゥク?とも思いましたが、道幅も狭くて、坂道も多い熱海では、小まわりが利くトゥクトゥクがマッチしているようです。
高齢者の足としてトゥクトゥクを利用
また、熱海のほかにも、三浦半島や千葉の銚子、沖縄でも、トゥクトゥクのレンタルサービスが広がっていて、移動もレジャーの一つとして、楽しむ人が増えているようですが、中には、日常の足として、トゥクトゥクを利用している自治体もありました。福岡市博多区の、岩橋真一郎さんのお話。
「吉塚リトルアジアマーケット」事務局・トゥクトゥク運行担当 岩橋真一郎さん
高齢者のですね、買い物を支援するためにトゥクトゥクを使ってます。大体5分おきぐらいに、5拠点を回ってる感じです。①吉塚公民館、②吉塚郵便局、③商店街「吉塚市場リトルアジアマーケット」、④吉塚駅、⑤東吉塚公民館。道幅がとても狭い、どうしても歩道がなかったりとか、するところが点在しますので、トゥクトゥクに乗っていただけると、スムーズに行くことができるので、大変喜ばれております。やっぱり風もどんどん入ってくるし、初めて乗られる方は「何だこの乗り物は」ってすごくびっくりされてる方もいらっしゃったし、ワクワクするっていう方も多くいました。

博多駅の一つとなりにある吉塚商店街は、しばらく空き店舗が目立っていたそうですが、2年ほど前に、「リトルアジアマーケット」という名前にリニューアルし、タイやミャンマーなどの飲食店を構えた、多国籍な商店街に生まれ変わりました。
そのタイミングで、最寄りのJR吉塚駅からトゥクトゥクによる無料の送迎が始まり、市の補助金を活用して、週に1回、トゥクトゥクによる高齢者の買い物支援を行ったそうです。
この、補助金事業自体は、昨年3月に終わったそうですが、その後も岩橋さんは、ボランティアで買い物支援を続けていて、たしかに、バスやタクシーを使うほどではないけれど、「ちょっとそこまで」という外出に、便利そうです。
故障時に注意
そしてこのトゥクトゥク人気、調べていくと、「個人での所有したい!」というニーズも出てきているようです。
中には、ネット通販で数十万円から売り出されているケースもあるようですが、やはり注意点もあります。
昨年10台、個人向けに販売したという、トゥクトゥクの輸入販売店「トゥクトゥクジャパン」の中村貴志さんに、個人で所有する際の注意点を聞きました。
トゥクトゥクの輸入販売店「トゥクトゥクジャパン」福岡店 中村貴志さん
輸入したときに、日本で走らせようとすると「新車扱い」になります。タイで製造された段階で、新しいボディーとか、部品で組み立てられてるので、新車扱いとして走ることができて、車検3年ついているんですが、例えばメンテナンスしようと思ってエンジンルームを見たりすると、「あれ、このエンジンってダイハツのエンジンじゃない、10年前の」そういったものが日本からタイに流れてるみたいで、それが向こうで分解洗浄されて、そしてリビルド品という形で、新車扱いという形で輸入されてくる。なので、自分で買う前にですね、買ってからじゃなくて買う前に、トゥクトゥクが壊れたときに、また壊れなくても車検で絶対いりますので2年ごとに。その車検をしてくれる、そういった工場を見つけた方がいいと思います。大手になれば大手になるほど、ちょっと敬遠されるのかなってところがあります。
こちらのお店では、4人乗りのトゥクトゥクが160万円から販売されています。
そしてボディーなどは新品で新車扱いでも、エンジンなど主要な部品に日本の車の中古品が多く使われているので、買う前に、メンテナンスをしてくれる修理工場を見つけておくことが大事ということです。
地域の足として活躍しているのは心強いですが、導入時にはメンテナンスにご注意を。