TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』毎週月曜日~木曜日 朝8時30分から放送中!

2023年1月18日放送後記

ふらっと こども電話相談室

TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のお兄さん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。

今回の相談は・・・

Q. どうしてずっと同じところや同じものを見ていると、見えにくくなるの?(神奈川県 ひかるくん 8歳 小学3年生)

(回答した先生)榊原洋一さん/小児科医

向井お兄さん:ひかるくんはなんでこども電話相談室に電話してみようかなって思ってくれたんですか? 聴いたことはあった?

― うん、だいたい聴いてる。

向井お兄さん:本当に!? まさに今、ひかるくんの声がラジオから流れてるんだけど、今の気持ちはどう?

― 嬉しい。

向井お兄さん:この質問はどんなときに思い浮かんだの?

― トイレで水道の水を見てるとき。

向井お兄さん:ははは。トイレで水道の水をずっと見てたら、なんか見えにくくなってきた?

― うん。

向井お兄さん:はあ、なるほどねえ。言われてみたらそうだよね。

榊原先生:ひかるくん、見えにくくなるのはどうしてだと思った? なんか水道の水がおかしいのかなと思ったの?

― なんか、目がなんかなってるんだろうって思った。

榊原先生:ああ、そうね。ひかるくん、レンズって知ってる?

― 知ってる。

榊原先生:人の目の中にはレンズの小さいのが入ってるんだよ。

― うん、知ってた。

榊原先生:おー、すごいすごい。それでね、人の目のレンズは近いところを見るときと遠くを見るときで厚さが変わるの。お手洗いで流れている水は近くでしょ。遠くじゃないでしょ。近くのものを見ようと思うと目の中のレンズが少し膨らむんだよ。

― そうなんだ。

榊原先生:そうなんだよ。どうして膨らむか知ってる?

― それは知らない。

榊原先生:それじゃあね、ひかるくんは筋肉って知ってるかい?

― 筋肉、知ってる。

榊原先生:例えば、ひかるくんが鉄棒にぶら下がるでしょう。そうすると手でギューッと握っていないと落ちちゃうじゃない。ギューッと握るときに力が出るのが筋肉なんだよ。

じゃあ、100数えるからぶら下がっていてくださって言ったら、どうだろう。ひかるくん、ぶら下がっていられる? 100秒だよ。

― できなーい!

榊原先生:できないよね。どうなっちゃうかな?

― 手が痛くなる。

榊原先生:そう。ずーっと力を入れていると筋肉が疲れちゃうの。それで痛くなっちゃうんだよ。それが目とどう関係あるかというと、近くを見るときには目の中にある小さな筋肉がギューッと力を入れていないとレンズが厚くならない。だから君がトイレの中で水道をずっと見ていると、君の目の小さい筋肉がギューッと力を入れてるんだよ。

― そうなの?

榊原先生:そうなんですよ。そうするとね、鉄棒で疲れちゃうのと同じように目の中の筋肉も疲れてきて、だらーんとしちゃうの。筋肉がだらーんとすると目は近いところじゃなくて遠くを見るようになっちゃうので、近くのものがだんだん見えにくくなっちゃう。

― じゃあ、近いものを見たあとは遠くを見れば大丈夫なの?

榊原先生:よく知ってるなあ! ひかるくんはお勉強、得意でしょう?

― ううん。お勉強はね、あんまり。

榊原先生:今ひかるくんが言ったみたいに、遠くの空とか山とか雲を見ると目の中の筋肉が楽に休んでくれるので、目にいいんだよ。

― そうなんだ。

榊原先生:そうなんです。

― 目の中で生きているレンズは、ちっちゃい人間みたいなものってこと?

榊原先生:目の中のレンズは、ちっちゃい人間みたいというよりは、小さなゴムのボールみたいなの。透明なゴムのボールみたいなものが入っていて、それを筋肉がギューッと押しているんです。

― ふーん、そうなんだ。

向井お兄さん:ひかるくん、近くのものをずっと見ていたらなんか見えにくくなってくる理由はわかったかな? 筋肉が疲れていってるということなんだね。近くのものを見たら遠くのものを見て目を休ませて、勉強したり、またいろんなものを見たりしてね。

― はーい。

(回答者プロフィール)榊原洋一(さかきはら・よういち)さん。

小児科医。子どもの発達について様々な研究に取り組み、ウェブサイトで情報発信している「チャイルド・リサーチ・ネット」の所長。年齢別「えほん百科」シリーズ(講談社)を監修したほか、著書多数。

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