TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』毎週月曜日~木曜日 朝8時30分から放送中!

2月22日(水)放送後記

ふらっと こども電話相談室

TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のお兄さん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。

今回の相談は・・・

Q. ネコは小さい頃から飼っているのになんで人間の言葉を話さないんですか?(高知県 せいたろうくん 10歳 小学4年生)

(回答した先生)草場宏之さん/獣医師

向井お兄さん:せいたろうくんは高知県に住んでるんだね。

― はい。

向井お兄さん:家の近くには自然はいっぱいありますか?

― はい、いっぱいです。

向井お兄さん:それは、山? 川? 海?

― 全部です。

向井お兄さん:全部あるの! いいねえ。せいたろうくん、しゃべり方もすごくはっきりしてるね。

― いえいえ。

向井お兄さん:はははは。せいたろうくんはいつからネコちゃんを飼ってるの?

― 前の年の8月くらい。

向井お兄さん:名前はなんていうの?

― トムトムといいます。

(そのとき電話の向こうで「ワン! ワン!」という声)

向井お兄さん:あら? ワンちゃんも飼ってる?

― はい、ワンちゃんも飼ってます(笑)。

向井お兄さん:はははは。

動物が好きなんだ、せいたろうくん。

― はい。

向井お兄さん:ネコちゃんに言葉を教えようと思ったことがあったの?

― いや、ありません。

向井お兄さん:ないけど、しゃべれたらいいなあって思ったりするってこと?

― はい。

向井お兄さん:そうだよね。ネコちゃんとしゃべれたらコミュニケーションが取れるけど、やっぱり人間の言葉ってしゃべらないもんね。それがなんでなのか? 草場先生、お願いします。

草場先生:せいたろうくん、こんにちは。トムトムちゃん・・・、トムトムくんなのかな?

― 「ちゃん」です。

草場先生:トムトムちゃんがお話できるとしたら、なにかしゃべりたいことはあるの?

― まあ、普通にしゃべってみたいです。

草場先生:ワンちゃんのお名前はなんていうの?

― ホホといいます。

草場先生:ホホちゃん? ホホくん?

― ホホちゃんです。

草場先生:ホホちゃんは、しゃべる?

― しゃべりません。

草場先生:ホホちゃんもしゃべらないよね。そうなんだよね。ぼくも、しゃべってくれたらいいなあって思いながら毎日仕事してるんですけど。まず、ワンちゃんもネコちゃんも人間の言葉はあんまりわからないみたい。だいたいわかるのが3文字ぐらいみたい。

― そうなんですか。

草場先生:だから例えば「エリザベス」とかかわいらしい名前をつけても、最初の3文字ぐらいまでしかどうもわからないみたい。だから、トムトムちゃんとかホホちゃんはちょうどいいぐらいなのかもね。

― そうですね。

向井お兄さん:じゃあ、それぐらいの長さの名前だったら自分のことが呼ばれているというのは認識できるということなんですか?

草場先生:それがね、言葉というよりは、音だと思って認識しているみたいなんだよね。

― なるほど。

草場先生:だからぼくらが「おはよう」って言ったとしても、それを言葉というよりは、なんかそういう音が聞こえているんだなと思って聞いてるんだって。ぼくらが「ごはんだよー」と言ったときに歩いて行ったらごはんがもらえて、「なるほど、この音が聞こえたらこういうふうにすればいいんだな」っていうふうにして覚えていってくれるみたいなのね。だから、なるべく短くしゃべってあげるといいのかもしれないね。

― そうですね。

草場先生:あと、しゃべれる動物は知ってる?

― オウムとかですか?

草場先生:さすが! インコとかオウムとか、カラスもそうなんだけどね。あの子たちはのどでもうまく音や声を出すことができるから、「おはよう」とか言ってるインコがいるじゃない? あれはね、鳥とか人間ぐらいしかできないみたいね。

― へえ~。

草場先生:しかも、しゃべれる鳥たちは言葉もわかるみたい。

― ええっ! 頭いいですね。

草場先生:ネコちゃんもしゃべってくれたらいいのにね。

― ねっ!

向井お兄さん:せいたろうくん、今飼ってるネコちゃんはこういうことをしたときに怒ってるとか、わかる?

― しっぽが立っているときは怒ってるのかなあ。

草場先生:実際ぼくらも、毎日動物病院に来るネコちゃんが怒ってるのかなあって見るときは、しっぽとか顔の表情で見るんだ。

― そうなんですか。

草場先生:しっぽはわかりやすいよ。例えば機嫌がいいときってどんなのか知ってる?

― ゴロゴロ~ってのどを鳴らしたり。

草場先生:さすが! ゴロゴロ言ったり、しっぽをゆるく、リズムよく「ふさっ、ふさっ」と振っているときは機嫌がいいときだよね。

― ああ、そうですね。

向井お兄さん:へえ、やっぱりわかるんだ。

草場先生:そういうのは見たことある?

― あります!

草場先生:じゃあ、やっぱりトムトムちゃんはせいたろうくんのことが好きなんだね。

― ふふふっ(笑)。

草場先生:逆に、しっぽをブンブン早く「パタン! パタン!」ってやってるところは見たことある?

― ありませんねえ。

草場先生:これは怒ってたり機嫌が悪いときなのよ。

― へえ~。

草場先生:たぶんトムトムちゃんはせいたろうくんに怒る必要がないし大好きだから、そんなことをやらないんじゃない?

― なるほど!

草場先生:ワンちゃんも、ご機嫌だとかご機嫌斜めだとかわかるでしょ?

― はい!

向井お兄さん:せいたろうくん、これからもトムトムちゃんとホホちゃんと仲良くしてください。

― はい!

向井お兄さん:しゃべれないけれども、動作や表情でコミュニケーションは取れているということですね。

草場先生:そうですね。

(回答者プロフィール)草場宏之さん。獣医師。神奈川県にある横浜戸塚プリモ動物病院の院長。小さいころは恐竜の研究者になるのが夢でしたが、小学生のときに動物行動学について書かれた本『ソロモンの指環』(コンラート・ローレンツ著)に出会って、獣医師の道に進みました。

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