TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』毎週月曜日~木曜日 朝8時30分から放送中!
2023年3月8日(水)放送後記
ふらっと こども電話相談室
TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のお兄さん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。
Q. ぼくのうちではメダカを飼っています。メダカの赤ちゃんはよく水槽の端っこを泳いでいますが、どうしてですか?(東京都 りんたろうくん 7歳 小学1年生)
(回答した先生)鈴木香里武さん/岸壁幼魚採集家
向井お兄さん:りんたろうくん、小学校は楽しい?
― たの・・・しくない!
向井お兄さん:はははは(笑)。楽しいって言うのかと思いきや。どこが楽しくない?
― 算数とか・・・。
向井お兄さん:そうだよねえ。
― 簡単すぎる。
向井お兄さん:あ、簡単すぎる?! 簡単すぎてつまらないっていうのはなかなか上のレベルですね。りんたろうくんはメダカを何匹ぐらい飼ってるの?
― 12匹です。
向井お兄さん:なんでメダカを飼おうと思ったの?
― 母の日に花屋さんに行ったらメダカがいて、ほしくなって、それで違う店へ行って買ってもらったの。
香里武先生:りんたろうくんはメダカの赤ちゃんを飼ってるということなんだけど、これは大人のメダカを買ってきたら卵を産んだっていうことでいいのかな?
― はい。
香里武先生:りんたろうくんは赤ちゃんも大人も両方のメダカを見てきたっていうことなんだよね。
― はい。
香里武先生:大きくなったメダカは端っこのほうを泳いでいないかな?
― もう泳いでないです。
香里武先生:すごくいいところに気づいたなと思うんだけれども、まずひとつ、メダカならではの理由があるんです。メダカって実は泳ぐのがあんまり得意じゃない魚なんですね。りんたろうくんの家では水槽の中に水をきれいにする機械を入れてるかな?
― 入れてます。
香里武先生:じゃあ、ポコポコ空気が出ていたり、水の流れがあったりする感じかな?
― はい。
香里武先生:そうだよね。水をきれいにする機械を入れるのはすごく大事なことなんだけども、そこから出ている水の流れが、まだ泳ぐ力があまりないメダカの赤ちゃんにとってはちょっと強すぎて、流されちゃうことがあるんですね。なので、水槽の真ん中にいるとどこかに流されちゃうから水槽の端っこのほうに逃げて、大きくなってちゃんと泳げるようになってから真ん中のほうに行くというのが、ひとつ理由としてあるかもしれないですね。
向井お兄さん:そうか、そうか。
香里武先生:実はもうひとつ理由があって、これはメダカに限らずいろんな魚の赤ちゃんに言えることなんだけれども、ちょっと想像してみてほしいの。りんたろうくんがすごく広い部屋に1人でいるとしましょう。そこに宇宙人が攻めてきました。
― すぐ見つかる。
香里武先生:そうだね。見つかって、前からも後ろからも左からも右からも宇宙人が攻めてくるかもしれないよね。部屋の真ん中にいるとちょっと安心できないね。だけど部屋の隅っこにいたらどんなふうになると思う? 壁沿いにいたら、相手は右とか前からだけ来るから、後ろに逃げることできるかもしれない。もし左側が壁だった宇宙人は左からは襲ってこないよね。魚の赤ちゃんにとっても、広いところの真ん中にいるのはちょっと安心できない場所なんですね。だから水槽の端のほうにいることによって身を守ってるんじゃないかなって僕は思うんだよね。
― うん。
香里武先生:これはメダカの赤ちゃんだけじゃなくて、例えば海にはいろんな魚の赤ちゃんがいるんですけど、広い海の真ん中にポツンと浮かんでたら、やっぱりいろんなところから食べられちゃうよね。だから小さい頃の魚は海藻に隠れてみたり、岩の下に隠れてみたり、水面に浮かんでいる枯葉にくっついてみたり、いろんなものに身を寄せて隠れて生きているんですね。これは誰かから「こうすると安全だよ」って教えてもらっているわけじゃないのに、なにかに沿って泳いでいれば身を守れるってことを生まれたときから知っている。
向井お兄さん:確かに学校の校庭で鬼ごっこをしていても、真ん中にいるより端っこにいたほうが安心するんですよね。
― そうなんだ。
香里武先生:でもほかの理由もあるかもしれないから、りんたろうくん、ぜひこれからもメダカをよく観察して、違う理由がもし見つかったら教えてほしいなって思います。
向井お兄さん:りんたろうくん、わかりましたか?
― わかりました!
向井お兄さん:よかったです、しっかり理解してくれました。算数が簡単すぎてつまらないっていうようなお子さんですから(笑)。
香里武先生:そんなこと言ってみたかったなあ(笑)。
(回答者プロフィール)鈴木香里武(すずき・かりぶ)さん。全国の漁港に出かけ、岸壁に集まる魚の赤ちゃんを観察・研究している「岸壁幼魚採集家」。たくさんの人に魚の魅力を伝えながら、幼魚ばかりを集めた世界的にも珍しい「幼魚水族館」(静岡県清水町に2023年7月オープン)の館長も務めています。