TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』毎週月曜日~木曜日 朝8時30分から放送中!
2023年5月10日(水)放送後記
ふらっと こども電話相談室
TBSラジオで長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」(1964年~2008年)のコンセプトを受け継いだコーナーです。パンサーの向井慧が「電話のお兄さん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。
Q. どうして子どもはよく転ぶの?(東京都 あつきくん 8歳 小学2年生)
(回答した先生)榊原洋一さん/小児科医
向井お兄さん:あつきくんもよく転ぶ?
― 1年生のときによく転んでいました。そしてズボンの膝に穴が開きました。
向井お兄さん:ふふふ(笑)。お母さんに怒られたりする?
― 怒られるほどではないけど、「気を付けて」とは言われました。
向井お兄さん:そうだよね、篤輝くんのことが心配だしね。どういうときに転んだか覚えてる?
― はい。学校の行き帰りです。
向井お兄さん:今はあんまり転ばなくなった?
― 転ばなくなりました。
向井お兄さん:でも確かにぼく自身もよく転んだなと思います。
榊原先生:あつきくんは転んで膝小僧を擦りむいたりしてお医者さんに行ったことある?
― それはないけど、ばんそうこうは貼ります。
榊原先生:あつきくんは今、自分の背の高さはわかる?
― 130センチぐらいです。
榊原先生:大きいほう?
― はい。
向井お兄さん:大きいねえ。
榊原先生:でもさ、お父さんやお母さん、学校の先生はあつきくんより大きいでしょう。
― はい。
榊原先生:だけど、頭の大きさは大人も子どももあんまり変わらないんだよ。
― えっ。
榊原先生:そうするとね、頭の大きさは同じなのに体が小さいと、頭がその分だけ重くなるわけ。
― ええーっ!
榊原先生:あつきくんも1年生のときは今よりもっと体が小さかったんだよね。だから頭は結構大きかった。だから、歩いてるときにふらっとすると、頭が重いからどてんと転んじゃうんだよ。それが子どもがよく転ぶ理由のひとつ。
― はい。
榊原先生:ただね、もうひとつ理由があるんだよ。あつきくんが立ってるときに後ろから誰かが来て背中を押したら、どうやって転ばないようにする?
― えー? 転んでも前に手をつく。
榊原先生:あ、そうね。手をつく。それは大事だ。でも手をつく前に足はどうなるかな?
― 足?
榊原先生:足を横にポンと広げて、倒れないようにするでしょ。すぐに足がポンと出なくちゃいけない。ここが大人と子どもの違いで、大人のほうが足を速く動かせるの。
― へえ~。
榊原先生:ここからちょっと難しいことを言うね。
― はい。
榊原先生:きみの頭の中にある脳から神経っていう細い管が出ていて足の先まで繋がってるんだよ。
― ええーっ!
向井お兄さん:2つ理由があるんですね。あつきくん、わかった?
― わかりました。
榊原先生:それであつきくんは前より転ばなくなったって言ってましたよね。
― はい。
榊原先生:今、何歳だっけ?
― 8歳です。
榊原先生:8歳になると、きみの神経の中を命令が伝わるスピードは大人とおんなじ。新幹線ぐらい速いんだよ。だから今は転ばなくなったんです。
― はあー。
榊原先生:1年生のときはもうちょっと遅かったんだよ。
向井お兄さん:でも、もっと年齢を重ねて60歳、70歳になってくると、脳の命令の速度は遅くなるものなんですか?
榊原先生:遅くはならないんだけど筋肉が弱くなる。私はおじいさんですけど時々転ぶね。
向井お兄さん:そうか。だから大人になって年齢が60歳、70歳になると、別の理由で転びやすくなるってことなんですね。でも、あつきくんはもうしばらく転びにくくなるから、いっぱい運動してすくすくと大きくなってね!
― はい!
榊原先生:こういうふうに「なぜかな?」って思うのはそういうことに関心があるってこと。すごいね、こういうことを質問してくるって。
(回答者プロフィール)榊原洋一(さかきはら・よういち)さん。小児科医。子どもの発達について様々な研究に取り組み、ウェブサイトで情報発信している「チャイルド・リサーチ・ネット」の所長。年齢別「えほん百科」シリーズ(講談社)を監修したほか、著書多数。