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5月23日(火)放送後記
最近久しぶりにマスクを外すようになって「周りのにおいが気になる」という人が増えたという声が出ています。
マスクを外して周りのにおいが気になる!?
実際のところどうなのか、街で聞いてみました。
●「私はあまり感じないんですけど、会社で香水のにおいが気になるという話を聞きました。」
●「歩いていて露店とかのにおいしますし、香水も確かに女性の方とかにおい感じるようになりました。
●「感じますね。人が生活してるんだなっていうのはすごく実感します。早足で通り過ぎる。嫌な時はね。今もホテルに泊まってたんですけどエレベーターの中とかね、誰か乗ってたんだろうなっていうそういう感じは感じました。」
●「マスクしてる時はどんなにおいでもあまり気にしないからいいやと思ってにおいとかあまり気をつけていなかったんですけど、マスクを外す機会が増えてきて、においも自分も気を使いすぎて逆に、においがキツくなってしまったりもしているかもしれないです。」
多くの人がにおいのキツさや「街や電車の中はこんなにおいだったのか」と感じることが増えたと話していました。
「香害」を知っていますか?
実はそのにおいが原因で悩まされている方たちがいます。柔軟剤や合成洗剤などに含まれる香料などに反応し、さまざまな症状が出る「香害」。香りの害と書きますが、被害者の中には化学物質過敏症と診断される人もいるんです。香害に苦しむ神奈川県の52歳の女性にお話を伺いました。
香害に苦しむ神奈川県の52歳の女性
大きな症状が出たのがここ10年くらいで、柔軟剤が流行り始めたころと職場のデタラメな消毒ですね。換気もしなければ濃度も守ってない、原液で使っちゃうみたいなところがあって、意識が急に遠くなったり目まいがしたり立ってられなくなったり。一番びっくりしたのは目の焦点が合わないし、あと不整脈ですね。仕事もマスクをしたりとか10年近く頑張ってきたんですけど、とうとうおととし出勤できなくなってしまって去年退職しました。
こちらの方はかなり重い症状で、締め切っていても香りが入ってきてしまう、ということで、マスクをしたまま取材に応えてくださいました。こうした香害は、海外製の香りの強い柔軟剤が広まったあたりから増えて、全国の消費生活センターでは、近年、柔軟剤の相談が、年間100件~200件前後、寄せられているそうです。おととし2021年には香害の被害者と支援者のネットワーク作りを目的に「カナリア・ネットワーク全国」という団体も発足し、お話を伺った方も所属しながら、苦しみを訴えているということでした。
コロナ禍で香害に変化
大変な思いをされていたんですが、実はこの香りの害、コロナ禍でさらに状況が変化したそうです。先ほどの52歳の女性のお話です。
香害に苦しむ神奈川県の52歳の女性
コロナ禍の途中まで職場にいたんですけど、ツンとするにおいが増えた、ツンとするにおいを覆い隠すように香料も増えていったような感じがしたので、すごく増えたと思いますコロナ禍で。自分のにおいを気にしなくなった方も中にはいるしマスクしちゃってるからどんなに香料つけすぎても、それが分からない方も両方いるなと思いました。マスク1枚で軽減されていたところがあるので大したことはないと思っていたのが、マスクを外したことで実はすごかったっていうことがかなりあるんじゃないかと思います。マスクをしていて香りとか香害の成分に対しても、みなさんが抵抗力を失っている状態だと思うので、何が体にとっていいものなのか、何が悪いものなのか見極めて生活して頂けたらなと思います、この機に。
「被害者の個人の努力でどうにかできる段階は超えている。自治体の議会の議題にまで上がるなど大問題なので社会全体で考えてほしい」と話していました。
カナリア・ネットワーク全国では、移香(香料成分が移ること)の実証実験を行い、6月3日に報告会を行うそうです。詳細はカナリア・ネットワーク全国のHPをご覧ください。