TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」毎週日曜夕方5時から放送中!
6月4日(日)放送後記
クリス・ペプラーさん(part 1)
1957年、東京都新宿区出身。1988年に開局したばかりのJ-WAVEでナビゲーターを務め、同局の番組『TOKIO HOT100』の看板に。
出水:クリスさんとジュンコさんの接点は?
JK:もんのすごい長いわね! 30年ぐらい?
クリス:実は共通の知人も多いんですよね。あと、以前J-WAVEって西麻布のほうにあったんですよね。
JK:うちの家からスタジオが見えるんですよ! ある時電話を入れて「窓から手を振ってくれる?」って言ったら「今会議中です」って(笑)
クリス:息子さんが小っちゃいころ、まだ半ズボン履いてサッカーボール持って番組に遊びに来られたこともあったり。
JK:私が青山学院でおっきなショウをやった時は司会をやってもらったんです。打ち合わせしなくてもできちゃうからって(^^)
クリス:そういうご縁で、なんだかんだ30年ぐらいですね。
JK:でもラジオっていいですね、声が変わらないとずっとやっていけるもの。得しちゃったわね!
クリス:そう、プロフィールの写真も15年前から全然変えてない(笑) 実物を見ると「話が違うじゃないか」て(笑)
JK:でもこの声は財産ですよ。ご自分で持ち歩いているわけだから。
クリス:なんで今日はそんなに持ち上げるんですか?? あ、ゲストだからか(^^;)
出水:毎週日曜日の『TOKIO HOT100』は今年35周年ですね!
JK:長いですね~! 35歳じゃないのよ、35周年! 音楽が次々新しいものが入ってくるから、それを紹介するわけでしょ? まだまだ終わらないですよ。
クリス:どうですかねえ~?番組自体は開局からやっているんですが、今だとサブスクだったりYouTubeだったり、単純にセールスだけじゃなくいろんな要素を網羅してカウントダウンしているんですが、J-WAVEのオンエア率というのも重要なポイントなんですよね。だから僕は「J-WAVEで1週間かかった曲の集大成」って呼んでるんです。
JK:音楽評論家になれますね! それだけ聴いてるわけだし。新しい武器ですね。
クリス:長年やってると、音楽の流れはけっこうリピートするんですよね。人間の琴線に触れるメロディって限られるんですよ。テクノロジーはどんどん進化してますよね。テクノだったり、みんな今はコンピュータで音楽作ったりしますし、聴かれ方も最初はレコードだったがMDになり、CDになり、今はサブスクで聴ける。いろんな変化はあるんだけど、35年やってるとメロディはそんなに変わってない気がしますね。アーティストも80年代に十代だったりすると、大人になってから自分が育まれた音楽をやる。それがリバイバルにつながるのかなと。

JK:クリスは最初に目覚めた音楽って何ですか?
クリス:僕が最初にいいなと思ったのは、由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」。いくつだったのかな・・・8~9歳の時にレコード買ったのを覚えてます。
JK:アリス・クーパーの曲が好きだって聞いたけど、私本人に会ったのよ! ニューヨークで。あるバーの2階で、アリス・クーパーがライブしてた。「こういう人に会ったの!」って言っても、誰もわからないころ。シュールな人だったわ! すっごい強烈な印象だった。
クリス:本当ですか?! きっと60年代後半、まだブレイク前ですね。あの人フランク・ザッパの弟子なんですよ。だからちょっと奇天烈というか、天才&変人というか。サルバドール・ダリが好きなんですよね。
JK:ダリのイメージ! 体から妖気がムァ~ッって。ドラムの上から飛び出してくるようなイメージでした。
出水:ロバート・デ・ニーロ、トム・クルーズ、ジョニー・デップ、タランティーノ監督、ローリングストーンズ、レッド・ツェッペリン、エアロスミス、マドンナ、ビヨンドなどなど、国内外のアーティストにもたくさんインタビューしていますが、一番印象に残っている方は?
クリス:トム・クルーズとはカラオケ行きました。一緒に唄ったのがイギー・ポップの「Lust for Life」で、もうぐちゃぐちゃでしたね(笑) すごい難しい歌なんですが、トムが唄いたいって言って。
JK:上手にすっきり歌うよりも印象的ね(^^)
クリス:一番いい人だったのはロバート・デ・ニ-ロですね。本当にとても素敵な、ふつうの人なんですよ。映画のプロモーションで来日して、ホテルの一室でインタビューしたんですけど、スタッフが「デ・ニーロさん入ります!」って言った瞬間「うわあっ、本物だ!」って心臓が飛び出しそうになって。でもすごく気さくな方でしたね。「普通は間に日本語訳が入るから考える暇があるんだけど、君は英語と日本語ができるから困っちゃうなぁ」とか(笑)「Mr. デニーロ」って呼ぶと「ボブと呼んでくれ」とか。僕がひとつ気づいたのは、ニューヨークをベースにしている役者さんはハリウッドと全然違いますね。ハリウッドはオリンポスの神々みたいな存在で「スター」なんですよ。だけどニューヨークの俳優さんは「アーティスト」。
出水:まだ会えてないけど、今でもお会いしたいっていう人はいるんですか?
クリス:そうですね・・・亡くなっちゃったけどデヴィッド・ボウイかな。
JK:私会った! あの方パントマイムやってたでしょ? パリで見たんだけど、本当に手を左右対称に動かして、本当に美しかった。
クリス:最近は僕の青春をいろどったアーティストがどんどん他界していく状態なんだけど、デヴィッド・ボウイが亡くなったって聞いた時、直接会ったことはないんですが、やっぱり涙が出てきましたね。

出水:せっかくなのでお聞きしたいんですが、インタビューの時のルールみたいなものはありますか? こういう風に話を引き出す、とか。
クリス:インタビューは「もてなす」ってことだと思うので、僕はいつもインタビューする相手を楽しくさせたいな、来てよかったなと思ってくれたらいいな、とつねに思っています。あとアメリカのアーティストの場合、フランクに接すると逆にリラックスしてくれますよね。日本の場合、名刺交換とかしきたりがあるじゃないですか。
JK:アメリカの大統領も「ファーストネームで呼んで」って言いますよね。でもちょっと気恥ずかしいですよね。
クリス:そういうところだと思うんですよ。最初から水くさい状況をとっぱらって、とくにアメリカのロックバンドとかヒップホップとかはぞんざいに扱ってあげたほうが喜びますね。初対面じゃない感じを出すのが大事かもしれない。そこはハリウッドも同じだと思います。
JK:でもローリングストーンズはイギリスだから、格式があるでしょ?
クリス:イギリスのアーティストで日本が好きな人は多いですよね。
JK:すごーい! 全員?
クリス:キース・リチャーズと、ロン・ウッドと、ミック・ジャガーと1人ずつ。初来日したときかな、TV局の取材で、キース・リチャーズがいい感じにウィスキーのボトルが回ってて。面白かったのが、TV局から伊万里焼の素敵なお皿をプレゼントしたんですけど、キース・リチャーズは「I Love Japanese Paper!」って言って、木箱を包んでいた和紙と紐をものすごく気に入って、ともかく紙を丁寧にたたんで紐をそこら中に巻き付けるんですよ。ブレスレットみたいにしたり、ジーパンの間に結んだり。
JK:中身よりも、そっちが最初に目に入ったのね。
クリス:たぶん、箱は開けていなかったんじゃないかな。紙と紐だけ(笑)
OA楽曲
M1.Long Way To Go / Alice Cooper