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9月25日(月)放送後記
秋のお祭りでお神輿や出店が出る季節ですが、お祭りで売られる飲み物、「ラムネ」の瓶が大変なことになっているようです。
ラムネの瓶が足りない!?
なぜ起きたのか?どんな状況だったのか?全国ラムネ協会の木村英文会長のお話です。
全国ラムネ協会 木村英文会長
コロナの関係で、去年まで3年間、国内を中心に販売されているメンバーの方は夏祭り、花火大会、運動会とか全部中止になってしまって、売れるときに売れなかった。
コロナ禍で売り上げが減っていたのかと思ったら、ラムネは海外で人気となって、業界全体では売り上げが伸びたそうで、全国のラムネのガラス瓶の生産量は、2014年は、およそ3,450万本だったのが、去年はおよそ1億1,000万本、この10年近くで3倍以上に急増しました。需要が高まる一方なんですが、一方で、コロナの影響で、瓶の製造工場が閉鎖する状況もあり、瓶が足りない、あとは長期的に見ると売り上げや製造量は減っていくと予想して、それに合わせて設備投資を減らしていることも瓶不足に影響しているそうです。
日本酒に欠かせない「一升瓶」も足りない!
こういった瓶不足、一升瓶が欠かせない日本酒業界も直面しています。
次の日曜日、10月1日は「日本酒の日」でもありますが、秋田県横手市で酒造りをして340年。「まんさくの花」という銘柄で知られる日の丸醸造 佐藤公治社長に瓶不足について伺いました。
日の丸醸造 佐藤公治社長
去年の年末頃から瓶がやばそうだよという噂は聞こえてたんですけども、早めに注文を出すことで乗り切っていたんですが、今年の3月頃から注文しても入ってこないことが増えてきて、特に緑色の一升瓶は4月頃から1本も入ってきていない状況です。単純に瓶が入ってこないので、酒屋さんから2,000本の注文をいただいても、1,500本しか出せないので、500本の酒屋さんには「すみません」とお断りしなきゃいけないこともありますし、余ってくる、出せないで眠っているお酒もあるので、うちの場合瓶で貯蔵しているお酒をタンクに1回戻してまで瓶を作ったこともありましたし、時間的にも精神的にも辛いものがあります。

日本酒の一升瓶不足も、コロナ禍で瓶メーカーの工場閉鎖などが背景にあって、お酒を売りたくても一升瓶がないから売れない状況だといいます。小さいサイズの瓶は、まだ手に入りやすいそうなんですが、飲食店は基本割安の一升瓶で取引するので、一升瓶が入ってこないのは痛手です。
日の丸醸造では、5月末に一旦お酒を搾り終わったものの、瓶不足で一部、瓶に詰められていないお酒もあって、タンクで貯蔵して劣化しないようキープしているそう。ただ、今この時期でこの状況なのに、11月以降、各社新酒が搾れて瓶が一気に必要になったときに大丈夫なのか、と不安な思いを話していました。

「分別」「大切に使う」瓶不足に私たちができること
では、私たち消費者に何かできることはないのか全国びん商連合会の今井明彦会長のお話です。
全国びん商連合会 今井明彦会長
1回使ったら、それっきりで壊してしまう瓶じゃなくて、何度も使えるリユースボトル、一升瓶なら一升瓶。家庭では大きいし重たいというのもあるんですけど購買の仕方もご検討いただければ。それから瓶を大切にする。ヒビが入ったとか、傷がひどいものは壊さざるを得ないので、大切に使って、それがリユースのサイクルに戻れるように、街の行政回収の分別回収した資源ゴミにきちんと出すとか、酒屋さんにちゃんと戻してもらうとか。ただそれが、受け入れてくれる店と、受け入れてくれない店があるので、社会全体で取り組まなきゃならない問題だと思うんですけど、消費者がそういうマインドを持ってくればメーカーはそれに対応するような動きを見せますし、非常に重要なことだと思います。
分別して瓶をゴミに出すだけでも、力になれるんです。近くに瓶を回収している酒屋さんを見つけたらぜひ返してほしいということでした。瓶不足、消費者が感じる機会はなかなかないかもしれないですが、こういう状況なら少しでもできることは協力したいですね。