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10月2日(月)放送後記
最近は、おせちはインターネットでの注文で、しかも冷凍のものがとっても増えているようですが、そんな時代の流れにピッタリの作戦でおせち商戦に臨んでいる会社があります。
500円でお正月前に「おためしおせち」
どんな作戦なのか?主におせち料理の販売をしている、九州の「博多久松」セールスプロモーション課、古賀秋穂さんにお話を伺いました。
「博多久松」セールスプロモーション課 古賀秋穂さん
「『おためしおせち』という、おせち時期よりもっと前、もちろん今みたいな10月からも注文できる、すぐお届けができるおせちを販売しております。
ネット通販が主流になる前から、ネットでは試食ができないというウイークポイントをカバーするサービスとして、「おためしおせち」を販売し始めました。
こちらが、その「おためしおせち」。
14センチ×14センチのお重に、14品が入っています。まさに、小さなおせち!解凍の仕方も実際に試せるし、解凍した後の味も確認できます。
赤字なんですが、必要だと言い聞かせてます!
「おためしおせち」作戦はネット販売にマッチして、大好評!毎年4000個限定で販売していますが、11月中旬には完売してしまうほど!ただ、この「おためしおせち」作戦には、一つ問題が・・・。再び古賀さんのお話です。
「博多久松」セールスプロモーション課 古賀秋穂さん
「試食のような感覚で気軽に注文頂きたいなっていう気持ちから500円になっております。正直・・・赤字ですかね(笑)。
500円で本商品が食べられるからこそ大好評なのですが、本商品のクオリティでお届けしているがゆえに、500円では大赤字になってしまうんです!
味見ならお重くらいは違ってもいいのでは?と思ったのですが、それだとどういうものが届くのか実感が無くなってしまうし、この箱なら、お正月にお重やお皿に詰め替える必要がない or ある、といった準備の予定も立てやすいので、と。
ためして本商品を買うのは2割!でも・・・?
そして、肝心の「おためしおせち」の効果なのですが、「おためしおせち」を注文したお客さんのうち、本商品のおせちを注文しているのは、2割。赤字を出して続けている「おためしおせち」作戦なのに、2割ではちょっと少なくないですか?と古賀さんに聞いてみました。
「博多久松」セールスプロモーション課 古賀秋穂さん
「そうですね、食品ではありますので、合わなかったという方もいらっしゃるとは思うんですけれども、新しいお客様が入って頂けるということで、またそのお客様が来年・再来年と、またリピーターになって頂いて、お友達、ご親戚、ご近所さんだったりに、声をかけて頂いて、また『おためしおせち』を注文頂いてっていうところもありますので、やはり合ってるんじゃないかなと、『おためしおせち』を出している意味はあるんじゃないかな、と感じてます。ありがたいことに、だいたい年間1000万円以上の新規のお客様のご注文があるようなかたちになります。そうですね、色々上がってますが、そこは気軽に試して頂きたいという気持ちから、その500円を変えるっていうことは今まで一度も無いですね。がんばってます!」
いやいや、恐れ入りました。16年間、赤字でも「おためしおせち」作戦を続けた結果、年間で、1000万円以上の新規のお客さんからの注文が得られるまでになりました。この物価高で500円を維持するのはキビシくなっていますが、この作戦はニーズに合っていると信じて、がんばっています!実際、街でお話を聞いてみると、自分では美味しいと思っていても、味の好みはそれぞれだから、なかなか勧めにくいところもある、という方が実に多かった。でも500円なら気軽に勧められそう、ですよね!?その心理とネットおせち時代に上手くハマった「おためしおせち」作戦。損から「元以上」を取る結果になりました。