インフルエンザの流行。いまだに、多くの都道府県で「警報レベル」となっています。
予防策や罹患した場合の対処について、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんに教えていただきました。
森田「現在、これまでにないインフルエンザの長期間の流行がつづいていて、その原因は、第一に、コロナ禍での徹底した感染対策により、インフルエンザに感染した人が極めて少なく、抵抗力を持つ人が少ないこと。第二に、昨年5月以降に、海外との行き来が増えてインフルエンザウィルスが日本に持ち込まれたこと。国立感染症研究所の最新情報で現在のインフルエンザの型は、昨年から流行していたA型の二つのタイプに加えて、今後、徐々にB型のインフルエンザウィルスが検出されるものと思います。
症状が重い人が多いから強力なウイルスの型なのでは?と思われるかもしれませんが、これらの型は、コロナ禍以前に流行していたものと変わらない代表的なものでして、症状や、重症化しやすいさなども過去のものと大きな変化はないと考えられています。」
発熱したり、体調不良を感じたときの受診について
森田「コロナ禍の際のように、発熱患者さんの医療機関での診療が難しいという状況は現在ありません。できれば、あらかじめ電話をして症状を伝えてから受診することをお勧めします。症状がでてから半日以上経過しないと検査でインフルエンザかどうかわからないので、症状がひどくなければ、半日たってからの受診をお勧めしたいです。」
発熱外来を行っている医療機関をお住まいの自治体のホームページをみてさがしましょう。
また、かかりつけ医がいない場合は、東京都新型コロナ相談センターで相談できます。
0120-670-440(土日祝を含む毎日24時間対応)
治療薬の種類
森田「インフルエンザの治療薬は、主に吸入薬と内服薬があります。また吸入や内服が出来ない人のために点滴もあります。一般的に症状が現れてから12時間から24時間の間の薬を使用すると、症状の悪化を防いだり、早期に治癒することになります。」
吸入するタイプは「イナビル」「リレンザ」。
・イナビルは、1回吸入するだけで5日間効果が持続。
・リレンザは、1日2回5日間の吸入が必要です。
内服薬・飲み薬は「タミフル」、「ゾフルーザ」など。
・タミフルは、1日2回5日間服用する
・ゾフルーザは、一回飲むだけで効果がある
最も古くからあるのがタミフルでこれをよく処方する医師も多いです。
吸入薬のイナビルやリレンザを吸い込むのが難しい人には内服薬が処方されます。
患者側で選ぶことはできる?
森田「患者側が何も言わなければ、医師が選択して処方することが多いですが、患者側から、吸入薬がいい!とか、一回吸入するだけで済むリレンザがいいと申し出ても全く構いません。投与してはいけない理由がなければ、希望を聞いてくれるはずです。」
予防について
森田「感染対策は、コロナ禍で十分学んだように思います。」
①メリハリあるマスクの着用。飛沫感染が主な感染経路なので、人ごみではマスクを着用。
②空気の乾燥に気を付ける
③手洗いや咳エチケット(ハンカチや袖に向けて咳をする。)
④基本以外でおすすめなのが、歯磨き、口腔ケア
口腔ケアを行ったグループと行わなかったグループの比較をすると、行ったグループでは、インフルエンザの発症リスクが10分の1であったと示されています。
予防接種について
森田「今シーズンのインフルエンザワクチンですが、現在流行しているA型の二種類に効果があり、またこれから流行するであろう、B型の二つのタイプに対する効果も網羅しているので、ワクチンの効果は十分に期待できます。」
医学的見地から、統計的見地から、ワクチンは感染予防や、重症化予防に効果がありますが、ワクチンを打ったからと言っても、完全に感染を予防できるわけではないです。ワクチンを打ったのに感染したという人もいます。ワクチンを接種したらおよそ2週間から効果が出て、5か月ぐらいは効果が持続します。
森田「今年は、抵抗力や抗体を持つ人が少なかいことから、たとえばA型に感染し治癒した後、またB型にかかるというケースもありますので、一度かかった方も注意が必要です。しっかり予防しましょう。」