今月、警察庁からクルマの盗難被害のランキングが発表されました。

軽トラの盗難が増えている

盗難車というと、高級車が狙われやすいイメージがありますが、ちょっと意外な車がターゲットになっていることがわかりました。自動車生活ジャーナリストの加藤 久美子さんに伺いました。

自動車生活ジャーナリスト 加藤 久美子さん
今まで盗難されるという認識がなかった、「軽トラック」の盗難例が、非常に増えています。

スズキ「キャリー」と、ダイハツ「ハイゼット」。いずれも軽トラックなんですけれども、2023年には6位がキャリー、7位がハイゼットと順位が上がってきて、もうすぐワースト5入りするような勢いです。

非常に驚きますよね。軽トラックっていうのは、ほとんど盗難防止対策をされていませんので、このままだと、もっともっと増える可能性はありますね。

”軽トラ”の盗難被害が増加中!高級車並みの被害件数の画像はこちら >>
<軽トラック(イメージ)>

近年、軽トラがターゲットになることが増えているようです。

こちらは警察庁が今月発表した、「車名別盗難台数の状況」というランキング。

去年2023年に盗まれた車種のトップはアルファードで、700台の盗難。ワースト2位=ランドクルーザー、3位=プリウス、4位=レクサスLX、5位=ハイエースと、お馴染みのクルマが並ぶ中で、6位=スズキの軽トラ「キャリイ」(115台)、7位=ダイハツの軽トラ「ハイゼット」(107台)と、軽トラが二車種、トップテン入りしています。しかもこの3年で、ワーストの順位を上げていました。

海外人気で不正輸出されている可能性

軽トラは、特に農家ではなくてはならないもので、郊外に行けばあちこちで走っていますが、でも、どうして、わざわざ盗難のターゲットになっているのでしょうか?

自動車生活ジャーナリスト 加藤 久美子さん
海外で非常に人気がありまして、特にアメリカ、カナダ、オーストラリアなどで、非常に人気がある車なので、盗まれて海外に持っていかれるということもあるかなと。それも増えてるんだろうな、という印象ですね。

日本で流通するとしたら、50万もしないような軽トラの中古車価格が、それがオーストラリアとかアメリカでは、200万とかですね、20年以上経ってて、10万キロ近く走ってるような車であっても、150万、200万円以上の価値がつくとか、ちょっと信じられない価格がついてますね。

背景には、海外で人気の高まりがありました。

例えばオーストラリアは、日本とおなじ左側通行なので、右ハンドルの日本車と相性が良いようです。

一方で、アメリカでも、「Kトラック」や「ミニトラック」と呼ばれて、農作業などで狭い路地を走るために、セカンドカーとして活用されているそうです。さらにアメリカでは「25年ルール」と言って、製造から25年以上経っていれば公道で走れる、というルールがあるため、とくに「古い軽トラ」が重宝されているとか…。

スケールの大きいクルマが多い中で、小さい軽トラが走っているのは想像しづらいですが、海外の需要は確実に高まっているので、「解体して、バラして密輸されている可能性が高い」と加藤さんはお話ていました。

軽トラは鍵をかけっぱなしの人が多い

ただ、こうして軽トラがターゲットになっていることを知らない所有者も多いようです。

車のセキュリティの専門店「A2M(エーツーエム)」の撹上 智久さんに伺いました。

カーセキュリティ専門店「A2M」 撹上 智久さん
新しいものではなくて、古いものが多いとなってくると、余計に盗まれるとは思わなかった、っていうのが、正直なところじゃないでしょうかね。

でも軽トラって「働く車」じゃないですか。そうすると、いわゆる農機具みたいな感じで、鍵は外したことないよ、なんていう人も多い。

実際に例えば、家族みんなで「そこに鍵があるよ」と共有してて、鍵を閉める必要がないよ閉めたことないようなっていう人も結構いらっしゃるんじゃないですかね。

だから一番はやっぱり意識の問題だと思うので軽トラの場合には、ちゃんと鍵をかけてくださいって言うだけでもだいぶ違うんじゃないかとは思いますね。

そもそも、海外で値段が高騰しているということを、知らない所有者も多いようです。

対策としては、ハンドルを動かせないように固定する、昔ながらの「ハンドルロック」なども有効だと教えてくれましたが、軽トラは車両保険に入っていない人も多いため、盗まれると大きな損失になります。

所有者はクルマを降りる前にもう一度、鍵の確認するなど、対策した方が良さそうです。

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