今日は「ナガエツルノゲイトウ」という雑草の話題です。
最強の雑草「ナガエツルノゲイトウ」とは
ナガエツルノゲイトウは、南米原産で、国が特定外来生物に指定しています。「最強の雑草」と呼ばれていて、今、埼玉県戸田市を流れる荒川の周辺でも繁殖しています。
どんな雑草なのか、また繁殖の状況について、埼玉県生態系保護協会 戸田蕨支部長 石本誠さんに伺いました。
埼玉県生態系保護協会 戸田蕨支部長 石本誠さん
「ナガエツルノゲイトウ」は草丈が高いと1mくらいになります。荒川の河川敷で陸地にも生えていますし、荒川の河口の方の塩分の多いところでも繁殖できる、世界最悪の繁殖力の強い植物なんですが、茎が中空なんです、中が。だからすごく折れやすいんですよね。折れて川に流れると、軽いから上流行ったり下流行ったり潮の流れで行きますので、行き着いて、また繁茂しちゃう、ものすごく繁殖力の強い植物。1番危険なのは、稲作に影響が出る寸前だったんですね。発見したら早く駆除するということは1番大事じゃないかと思うんですけどもね。
根や茎のわずかな断片からも、どんどん広がってしまう最強の繁殖力で「地球上で最悪の侵略的植物」とも言われるほどなんです。葉の先が尖っていて茎はストローのように中が空洞、白い花をつけるのが特徴で、乾燥や寒さに強いだけではなく、塩にも強いので、海水の塩分濃度では枯れないそう。もし水田に広がってしまうと、稲が倒れて収穫量が減ってしまうといった被害が出る恐れがあるということなんです。
外来生物法に基づいて特定外来生物に指定されていて、輸入・栽培・運搬などが原則として禁止されています。
国内では1989年に、兵庫県尼崎市で初めて見つかって、今では東京や大阪、沖縄など25の都府県で確認されているそうです。
ナガエツルノゲイトウ 荒川で駆除作業
埼玉県戸田市の荒川周辺では、生い茂ったナガエツルノゲイトウを何とかしなければいけないと、去年、駆除作業を行いました。再び埼玉県生態系保護協会 戸田蕨支部長 石本さんのお話です。
埼玉県生態系保護協会 戸田蕨支部長 石本誠さん
みなさんが「ナガエツルノゲイトウってどういう植物なんだろう?」という特徴を知るために、駆除する方を集めて、ナガエツルノゲイトウを知ってもらった上で、2023年7月16日に、戸田市の荒川の河川敷で駆除をしました。全部で10人だったんですけど、一生懸命やって、見る限り綺麗に排除されました、その時は。私もびっくりしたことに、その年の8月10日にここへ来て、見てびっくりしたんです。「えっ!」と。出ちゃってるんですね、もうね。みなさんが一生懸命やったのに、いやあ、この繁殖力の強さには私も度肝を抜かれましたね。
繁殖力が強いので上から刈り取るだけではダメですし、刈り取って茎などが飛び散ると、さらに繁殖を広げてしまいます。根っこから慎重に掘り起こして駆除作業をしていくんですが・・・作業をしてわずか1ヶ月後には、断片などがわずかに残っていたのか、また生えていたということで、完全に無くすのはなかなか難しいということ。

私も実際に現地に行って見せてもらったんですが、河川敷に生えていましたね。白い花を咲かせているものもあって、花は見た目可愛らしいんですが、この強すぎる生命力に、地域の皆さんは本当に苦労しているんです。
淡路島ではほぼ制圧
そんな中、同じく繁殖が確認されている兵庫県の淡路島では、ある方法でナガエツルノゲイトウを、ほぼ制圧することに成功しているということなんです。
兵庫・水辺ネットワーク 大嶋範行さん
淡路島にナガエツルノゲイトウが入っているんですけど、2020年10月に本田池という池なんですけど、行ったらかなり広がり始めていた。翌年になると、池全面がナガエツルノゲイトウ。駆除するのに、遮光、光を100%遮るシートで覆ってしまう。植物ですから、光合成しないと成長できませんので、そういう方法で駆除をする。これはかなり有効な方法だ。それを1年とかすれば、完全に駆除できるということが分かってきたので、今我々がやっている1番の駆除の方法は、100%遮光できるシートで、その植物が生えているところを全部覆ってしまう。この間も見たんですけど、もう断片がちょっとだけあっただけで、これはほぼ制圧かなというところまで来ています。


「光合成を防ぐことで、繁殖を防ぐ」というアイディアがうまくいっているそうなんです。ただ「ナガエツルノゲイトウには何度も裏切られてきたので、まだ完全に勝利した!とは言えない」ということでした。そして、全国的に今後も被害が広がっていく可能性があるので「対策は行政主導でやっていかないと、なかなかできないのでは?行政の支援が不可欠だ」と、大嶋さんは話していました。農作物への被害が広がるとさらに大きな問題になりますので、しっかりした支援が大切です。