今年のゴールデンウィークは飛び石連休ですが、うまく休みが取れれば、最大で11連休になります。そんな中、お店や施設では「人手が足りない! 誰かに働いてほしい!」という声も増えていて、いま「1日1時間から働ける」、いわゆる「スキマバイト」の求人が増えているそうです。
GWは求人数1・5倍! 飲食・小売・観光地などでスキマバイト急増中
スキマバイトなど人材紹介サービスを展開する「シェアフル」の広報、川端 芳野さんに聞きました。
シェアフル株式会社・広報 川端 芳野さん
はい、増えております。だいたい通常時の「1・5倍ぐらい」に、ゴールデンウィークのみで見ますと、求人数は増えているという形になっています。業種としましては「飲食店」とか、あとは「物流倉庫」さんなんかですね。あとは「コンビニなどの小売」っていうところが、やっぱりかき入れ時として多いっていうところもんですけれども。やっぱり「観光地」ですとか「ホテル」、「映画館とかのアミューズメント施設」なども求人が増えているという現状がございます。
やっぱりスキマバイト、一日単位、一日しかも数時間単位とかでできるので、すぐに応募が集まる。「来ていただいてありがとう」という形になるので、結構そういう繁忙期に合わせて、流動的に人材を活用されているっていうのが多いですね。
背景には、コロナ禍での「バイト離れ」があるようです。当時、飲食店をはじめ、多くの店舗や施設が一時的に営業を止め、人材募集もストップ。その後、インバウンドが戻ってきて客足は増えたものの、一度離れたアルバイトがなかなか戻ってこず、深刻な人手不足が続いているんです。
そこで登場したのが「スキマバイト」。シェアフルでは、企業や店舗の審査をしっかり行ったうえで、「1日1時間だけ」といった短時間の求人も掲載されていて、こうした長期休暇の時期には、まさに助っ人として重宝されているそうです。
また、シェアフルがスキマバイトの利用者の中で、およそ3万人を対象にアンケートを実施したところ、「GW中に働きたい」と答えた人は、全体の「およそ43%」と、なんと半数近く。中には「旅行のついでに、1日だけ働きたい」という人もいるそうで、「ちょっと稼ぎたい」ニーズが、連休中にもたしかにあるようです。
その日だけの助っ人が頼りに
実際に、GW期間中もスキマバイトで募集をかけていたお店に、話を聞きました。「しゃぶしゃぶ温野菜」の鈴木 文生さんに聞きました。
「しゃぶしゃぶ温野菜」 鈴木 文生さん
1日「1~2名」を入れていますね。だいたい4時間から、長くて6時間ですね。例えば最初の15分間を使って、宅番(テーブル番号)を覚えてもらったりとか、あとは簡単な提供を覚えてもらったりとかというところでやっています。
注文も今、どんどんどんどんこういった機械で取れますし、弊社の場合ですと提供も「ロボット」が動いて持ってきたりだとかシステムが新しくなっているので、例えば鍋だったら出汁がなくなったりとか、そういうのは人間しか見えませんので、そういったところを担当してもらうと。
新宿っていう地域なのでいろんな地域から来るんですけど、「その日にお金が欲しいからこれをやっている」って方は多いですね。最初我々も導入するときに、「今日来た子が、急に仕事ができるわけないよ」って思ってたんですけど、やってみて全然それは覆されて、助かってますね。
スキマバイトは働いたその日に報酬が振り込まれる仕組み。空いた時間に働いて、「晩ごはん代にする」という人もいるそうです。
今回伺った「しゃぶしゃぶ温野菜」西武新宿駅前店では、普段は正規のアルバイトを含めて10人弱で営業していますが、このGW中も毎日スキマバイトの人に来てもらい、「求人を出せばすぐに埋まる」と話していました。
では実際に来ているのはどんな人かというと…「大学が休みの学生」はもちろん、「普段は派遣社員として働いている社会人」も多いそうです。派遣社員はGWのような連休があると、働ける日が減って収入も減ります。その分を補うために、スキマバイトを利用する人が増えているそうです。
「がんばった分、ちゃんと休む」 スシローの思い切った選択
つまり、「休みだからこそ働きたい」人たちが、いま現場で欠かせない戦力になっているようですが、一方で、「がんばったスタッフには、しっかり休んでもらおう」と、繁忙期の後にあえてお店を休みにする決断をした企業もあります。
それが、回転ずしの「スシロー」です。広報の奥 啓輔さんに伺いました。
「スシロー」広報 奥 啓輔さん
GW期間中は通常通り営業しているんですけども、GW明けの5月13日(火)、14日(水)の2日間に関しては、国内「スシロー」の全店651店舗対象に、「一斉に休業」させていただきます。
「店舗が一斉に休める休業日があったらいいな」っていうような声がありまして、このタイミングで決定しております。
やはり繁忙期を終えたタイミングで、従業員の方々に心身ともにリフレッシュしてもらってですね、より多くのお客様に美味しいお寿司をお届けできると。
スシローでは、GW明けの2日間、全国すべての店舗で「一斉休業」を決めました。対象となるのは、店舗で働く社員およそ2000人と、アルバイト・パートのおよそ5万人。繁忙期をがんばった従業員に、しっかりリフレッシュしてもらおうという思いが込められていますが、こうした“休ませる決断”は、外食業界ではまだ珍しい取り組みですが、「人が続けられる」仕組みづくりが、いま、どの現場にも求められているのかもしれません。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)